2022年シーズンをもってLMGTEプロクラスが終了となるWEC世界耐久選手権。現在参戦するポルシェ、フェラーリが2023年以降、最高峰ハイパーカークラスでの活動へと移っていくなか、シボレー・コルベットC8.Rの動向が注目されていたが、この度、来季もC8.Rを用いて唯一のGTカテゴリーとなるLMGTEアマクラスへ参戦することが決定された。
ドライバーにはテキサス出身のトップアマチュア、ベン・キーティングを起用する。キーティングは現在、LMGTEアマクラスにTFスポーツのアストンマーティン・バンテージAMRで参戦、最終戦を前にポイントランキング首位に立っている。
キーティングは、ニッキー・キャッツバーグと、未発表のシルバー・レーティングのドライバーとトリオを組み、2023年のWECにフル参戦を果たす。
パドックで最も成功したブロンズドライバーのひとりとされるキーティングは、ル・マン24時間レースのGTEアマクラス優勝者であり、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデイトナ24時間、セブリング12時間などの主要耐久レースや選手権でもクラス優勝を収めている。
キーティングは2020年、元BMWファクトリーチームであるMTEKがオペレートするカスタマーコルベットC8.Rをドライブするという契約に近づいていたが、結局実現することはなかった。
「長い間、コルベットでレースをしたいと願ってきたし、自分が売ったブランドの車両でレースをしたいから、これを実現するために少しずつ努力してきたんだ」と、本業として自動車ディーラーを経営する51歳のキーティング。
「僕はクルマを仕事にもしているし、レクリエーションとしても楽しむことができる、ユニークな立場にある。これは、僕が長い間夢見てきたことだ。このチャンスにとても興奮しているよ」
「コルベット・レーシングはこのプログラムにとても期待をかけているし、僕もそう思っている。ル・マン100周年、GTE仕様車最後の年、そしてアメリカ人ドライバーがアメリカのチームでレースするというのは、何か特別な感じがする。レースに勝てば、アメリカ国歌が聴けるんだ！ これまでイギリスやドイツのチームでドライブしてきたから、そのようなことはなかった。だから、これはすごいことだよ」
「ニッキーとはチームメイトになったことはないけれど、彼のことはよく見ていた。彼がル・マンで初めてコルベットをテストしたとき、テストデーで誰よりも速いGTクラスのラップを記録していたのを覚えてる。だから、彼は見ていて楽しいんだ」
「彼は非常に速く、WECの全コースを熟知しており、僕と非常に気が合う。彼とチームを組めるのはすごく楽しみだね」
キーティングが初めてコルベットで参戦する一方、キャッツバーグはこのブランドに定着しつつあり、来年初めてフルシーズン・シートにステップアップする。
2020年にプログラムに参加して以来、キャッツバーグは2021年のデイトナ、2022年のセブリングでアントニオ・ガルシア、ジョーダン・テイラーと共に勝利を記録している。
「コルベット・レーシングのフルタイムドライバーになることは、チームに加入した当初からの目標だった」キャッツバーグは語っている。
「デイトナ、セブリング、ル・マン、プチ・ル・マンのようなレースに（追加ドライバーとして）参加するのは超クールだ。でも、ずっとこのチームでフルタイムでやりたいと思っていたんだ」
「それが実現し、コルベットのフルタイム・ドライバーと名乗れることはとても嬉しいし、誇りに思う。最高だし、夢のような話だよ。早くシーズンを始めたいね」
キーティングは、WEC最終戦の翌日11月13日に行われるバーレーン・ルーキーテストで、コルベットを初めて走らせる予定だ。
2023年のコルベットのWECプログラムは、IMSAにおけるコルベットC8.R GTDのプログラムと、同時並行で行われるものだ。
GMのスポーツカーレース・プログラム・マネジャーのローラ・ウォントロプ・クラウザーは、「今年は、IMSAとWECで同時並行プログラムを実行することについて、非常に多くのことを学んだ」と述べている。
「IMSAでは、（2024年デビュー予定の）コルベットZ06 GT3.Rのための土台作りをしながら、非常に競争力のあるメーカーを相手にGTD Proに参戦する予定である」
「同様に、コルベット・レーシングのWECプログラムでは、世界選手権でコルベットの世界的な存在感を高め続ける機会を得ることができる」
