新車をお得に購入するたるには値引き交渉をうまく進めていくことは必要不可欠。しかし、あまりに前のめりな値引き交渉は営業マンをドン引きさせて、満足のいく値引き額が引き出せないことも……。では、値引きを成功に導くためにはどうしたらいいのか? 現役のディーラー営業マンが最大まで値引き額を引き出すためのコツを伝授する。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
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遠慮のしすぎは損!!
値引き交渉が得意ではない、好きではないという人も多いはず。しかし、こと新車の購入に関しては、値引き交渉することを躊躇してモジモジしていると損をする。
「車両本体価格は値引き前提で値づけされているため、値引きがゼロというのは国産車の場合はあまりないとは思います。遠慮して値引き交渉をしないというのは損です。本音を言うと、値引きゼロなら利益が大きくなるわけなので、こちらから値引きしましょうか? とは言わないですよね(笑)。ちなみに、国産車でも一部の高級車ではゼロというケースもあるようですよ」
ということで、値引き交渉自体は決して失礼なことではないので、必ず値引き交渉は自分から持ち掛けるようにしよう。
値引き額に限界があることは知っておこう
値引き交渉に挑む前に知っておきたいのが車両本体価格の値引きには限界があるということだ。
メーカーによって多少の差はあるが、おおよそ車両本体価格の10%の値引き額を提示してもらえれば大満足と考えるのが妥当。とはいえ、もともと安価なクルマの場合は値引き幅が大きくない場合もあるので、「10%を引くのは当然!」などと強硬に値引きを迫るのはかえって損。営業マンの心証を悪くして、ディーラーオプションやサービス品で頑張ってくれなくなる恐れがあるからだ。
「10%という数字がネットなどで紹介されている影響で、車両本体価格の10%は値引きできるでしょと迫ってくる人もいるのですが、すべての車種が当てはまるわけではないので、ちょっと困る時はありますね……。10%はあくまでも目安として考えていただければ」
ライバル車の検討匂わせ交渉は効果薄!?
過去に「別のクルマも考えているんだけど~」という”匂わせ攻撃”をしたことがある人も多いだろう。これは本当に効果的なのだろうか?
「車両本体価格に関しては車種ごとに値引きできる範囲が決まっているため、正直、ライバル車を引き合いに出されたところで値引き額がグンとアップすることはあまり期待しないほうがいいかもしれないですね」
特に、他メーカーの車種を引き合いに出された場合、モデルチェンジ時期、メーカーの販売戦略などによって値引き幅が大きく異なる場合があるため、張り合うために無理してでも値引き額を大きくすることはできないのが本音。
とはいえ、まったく効果がないケースもあるという。
「別のディーラーで同じ車種の見積りをとって1万円くらい値引き額が安かったといった場合は、店長などと相談して、じゃああと1万円くらいは値引きしましょうということになる場合もあります」
現金一括よりローン購入のほうが有利
ディーラーにとって現金一括購入の客よりもローンを組んでくれる客のほうがありがたい。ローンを組んだ時に発生する手数料が利益になるからだ。
「現金一括で購入するから値引き額を大きくできないかと交渉してくる方がけっこういるのですが、これは逆効果です。ローンを組むからもう少し勉強できないかと交渉されたほうが値引きはしやすいですね」
ディーラーオプションで補填してもらう
これは値引き交渉のド定番。営業マンの裁量で無理ができるのはディーラーオプションの値引きだからだ。しかし、値引きという言葉につられてなんでもかんでも購入してしまうというのは逆に損することになりかねないという。
「市販品でも十分で、さらに安価なものの場合は値引きされたからといって購入すると損することもありますね。例えば、2万円のものを1万円の半額に値引きすると言われて購入したものの、市販品でも同じくらいのクオリティのものが定価でも5000円くらいで購入できたなんてこともありますから」
大幅値引きが期待できるのは、カーナビ、ドライブレコーダー、ETC車載器など高額なオプションだという。カーナビ、ドライブレコーダー、ETC車載器はほぼ必須の装備なので、満足のいく値引き額であれば取り付けても損はないはずだ。
「特に、カーナビは比較的値引きしやすいオプションなので、積極的に交渉してみてください。とにかく、車両本体価格の値引きをしつこく迫るよりは、早めにディーラーオプションの値引き交渉にシフトしたほうが得な場合が多いですね」
ちなみに、納車前にメーカーの工場で取り付けされる後付け不可のメーカーオプションの場合は値引きはほぼ期待できないのであきらめよう。
知り合いに付き合いのあるディーラーを紹介してもらう
知り合いが長く付き合っている担当の営業マンを紹介してもらうのはかなり値引き交渉には有利に働く。
「長年、車検や整備に出してくださっているお客様からの紹介である方を無下にはできないですからね……。クルマを買ってくれるだけではなく、その後に定期的に整備や車検などに出してくださる方の存在は大きいんですよね。ディーラーにとってそこから得られる収益もけっこう大きいんで。ですから、かなり頑張って値引きやサービス品を付けたりしますね」
ただし、紹介されたからといって遠方のディーラーに出向くというのはお薦めできない。故障した時のアフターサービスなども考えると、後々、何かと面倒が発生する可能性もある。
下取り額アップの交渉を粘るのは得策ではない!?
では、下取り額をアップしてもらう交渉は可能なのだろうか?
「高く下取りをしてほしいと交渉してくる方は多いのですが、本音を言うなら、下取り額を重視するなら、買取専門店で現金化したほうが得なことが多いです。というのも、ディーラーでは下取り車を転売して儲けようということではないので、無理して査定額を引き上げるようなことをしたくないんです」
しかし、買取店では二束三文のような額、または買取り自体を拒否されたような場合はどうだろうか?
「そんな時はディーラーで下取りでいいと思います。次のクルマを買ってもらう方のクルマなので、極力、ご満足いただけるような額を提示する努力はしてくれると思います」
ただし、修理不能な故障がありまったく動かすことができないようなクルマの場合は買い替え前提であっても下取りを拒否される場合があるという。
「廃車にしなくてはならないようなクルマは処理費用がかかってしまうので、さすがに下取りはできないですね……」
「お客様は神様」という考え方は損を生む元凶
最後に、客だからと横柄な態度で値引きして当然といった態度をとるのは厳禁。営業マンは売りっぱなしではなく、その後の付き合いまで考えるもの。モンスター客と感じさせてしまうと、その後の付き合いも面倒臭そうと感じ、無理して値引きをしてまでクルマを買ってもらいたいと思わないものだ。
営業マンとはいえ、初対面の人なのだから敬語を使って会話をするなど、最低限のマナーは守って接することも得につながると考えよう。
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