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 今やミニバンの代表格といえばアルファードであるが、かつてはエルグランドがその座にいた。高級ミニバン市場を開拓したエルグランドながら、後発のアルファードに完全に負けてしまっている状況である。

  現行モデルは登場から10年以上経過しており、まもなくのフルモデルチェンジが期待されている今、エルグランド復権に必要なコトを徹底解説! エクストレイルに続いてe-POWER化は必須として、他は何が必要なのか!?

文:小鮒康一/写真:日産・ベストカーWEB編集部

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常識変えた初代エルグランド!! 見た目にエンジンまで全部がフラッグシップそのもの

初代エルグランドが登場した当時のミニバンは商用車ベースのモノがほとんど。高級感のあるモデルはなく、エルグランドは常識を覆す仕上がりだったのだ

 今でこそアルファードのひとり勝ちとなってしまったといっても過言ではない高級ミニバン界隈。しかし、その礎を築いたのは間違いなく1997年に登場した初代エルグランドであることに異論はないだろう。

 それまでも広い室内空間を持った3列シートの多人数乗車が可能な車種は存在しており、ハイエースやキャラバンがその代表格となっていた。しかしこれらの車種はいくら乗用モデルの上級グレードであったとしても、ベースはあくまで商用ワンボックスカーであり、人員輸送車の枠を超えることはできていなかったというのが実情だった。

 そこへ登場した初代エルグランドは完全な乗用モデルとして開発されており、エルグランドをベースとした商用モデルも存在していなかった。そして搭載されるエンジンもガソリン車ではV6エンジンのみ(ディーゼルは直4)とまさにフラッグシップミニバンと言えるものとなっていた。

 また大型のメッキグリルを備えた威風堂々としたエクステリア、そしてクリーンかつモダンで広い室内空間を持ったインテリアなどは当時の高級セダンに匹敵するものとして瞬く間に人気車種となったのである。

 初代エルグランドのデビュー当時は、トヨタも大型ミニバンであるグランビアをラインアップしていたが、欧州向けのハイエースがベースということもあってかエルグランドほどの高級感はなかった。搭載するエンジンも直列4気筒エンジンのみ(のちのマイナーチェンジでガソリン車V6となる)ということで、完全にエルグランドの後塵を拝する結果となってしまった。

エルグランドのネガを払しょくした初代アルファード!! わかりやすい豪華さがウリ

FFとすることで室内スペースを拡大。それに見た目や内装の豪華さなど、わかりやすい高級感がバカウケした初代アルファード

 一躍大人気車種となった初代エルグランドに対し、手持ちのグランビアの改良や兄弟車種としてグランドハイエースを追加するも全く太刀打ちできなかったトヨタ。もちろんこのまま大人しく引き下がるわけにもいかず、打倒エルグランドを目標に徹底的にライバルを研究して生まれたのが2002年5月に登場した初代アルファードだった。

 奇しくもエルグランドも同じタイミングで2代目へとフルモデルチェンジを果たしていたが、基本的には初代のコンセプトを踏襲したものとなっていた。

 一方のアルファードは、まずプラットホームを室内空間が広く採れるFFレイアウトを採用。またエンジンもV6 3Lを設定しつつも税制面で有利な直4 2.4Lモデルを設定していた。

 また内外装も日本人好みの押し出しの強いフロントマスクと木目調パネルをふんだんに使用した分かりやすい豪華さを持ったものとして、一気に日本人の心をつかんだのだった。

 結局その後はアルファード(と兄弟車のヴェルファイア)の独壇場が続き、エルグランドも2010年に3代目モデルへとフルモデルチェンジを果たし、新たにFFプラットホームを採用するなどしたものの、残念ながら大きく水をあけられたまま現在に至っているというのが現状となってしまった。

新型エルグランドは全高アップで威厳を!! 運動性能より見た目が命

豪華さを保つため、あえて全高を下げずに開発された現行アルファード。これもウケている理由のひとつのため新型エルグランドもぜひ!!

 登場からすでに12年以上が経過した現行エルグランド。実際に乗ってみるとクルマとしての仕上がりは決して悪いものではなく、ハンドリングのよさなどはアルファードを凌ぐものを持っているのだが、如何せん高級ミニバン=アルファードというイメージが強すぎるというのが偽らざる現実となっている。

 では、新型エルグランドが登場すると仮定して、エルグランドが復権するためにはどんなことが必要なのだろうか?

 現行型は低床かつ低重心をアピールするために先代型よりも低い全高としたことで、運動性能は工場したものの、見た目の迫力や一見すると室内空間が狭そうという印象を持たれてしまった。そこで、新型では再び全高を高めて初代や2代目モデルのように威風堂々とした佇まいを復活させてみてはどうだろうか。

エクストレイルと同じ電動4駆で勝負を! EV化はまだ待て!!

新型エクストレイルから展開されている新世代e-POWER。未だ電動化モデルがないエルグランドにも採用してほしいところ

 マストで必要なのはパワートレインの電動化だろう。現行型のエルグランドはガソリンモデルのみのラインナップとなっているという点でハイブリッド仕様も持つアルファードに水をあけられている。

 そこで新型エクストレイルにも採用されて好評を集めている新世代のe-POWERとe-4ORCEを備えたパワートレインを採用することで、“日産らしさ”と“走りの楽しさ”をアピールしたいところだ。

 逆に一番して欲しくないのは、エルグランドの完全EV化だ。現時点で国産ミニバンの電気自動車としては過去に販売されていたe-NV200ワゴンのみであり、話題性は高いかもしれないが、多人数乗車かつ長距離を走ることが多い大型ミニバンは現状EVとの親和性が高いとは言えないので、ここは道を間違えて欲しくないところである。

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