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 2014年から2020年まで、F1において圧倒的優勢を誇ってきたメルセデスF1は、2021年に激しい議論を引き起こした状況下でドライバーズタイトルを失った後、今年はまだ一勝も飾ることができずにいる。2022年型マシンW13のパフォーマンスが安定しないことに苦労していたためだが、チームはようやくW13の問題の核心を突き止めたことから、来年シャシーコンセプトを一新しなければならないとは考えていないと述べている。

 トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、イタリアGPの週末、ポルトガルの『Sport TV』に対し、次のように語った。

「多くの状況下でマシンがうまく機能せず、他のやり方をすると競争力が極めて高くなるという状況について、今ではすべての原因を突き止めている」

「シーズン開幕以来、マシンがコースに出て初めて明らかになる問題に、常に驚かされてきた。シミュレーションでは、マシンの挙動は完全に異なっていたからだ。しかしこれまでの15戦で収集した膨大なデータをもとに多くの分析を行ったことで、マシンがどういう形で機能し、どういう形で機能しないかが分かった。そのため、自信を深めてシーズン終盤に臨むことができる」

2022年F1第14戦オランダGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 2023年、F1テクニカルレギュレーションに変更点が導入されることで、W14の設計アプローチを変更する必要があるかと尋ねられたショブリンは、次のように答えた。

「ファンにとっては、外見の変化はそれほどない。一方で、来年の変更によって、多くのメカニカルコンポーネントの配置が影響を受けることは考慮に入れなければならない。たとえばサイドポッドの高さを引き上げる必要がある。つまりラジエターとクーリングシステム全体を再配置しなければならないということで、空力コンセプトを理想の状態に保つためにやるべき作業が大量にある。それと同時にクーリングシステムがその機能を確実に発揮するようにしなければならない」

「もちろんマシンの多くの部分を再設計する必要はあったが、現在のコンセプトが機能していることは分かっているし、言ってみれば暗号を解いたようなものなのだから、そこから逸脱する理由はない」

 F1イタリアGP終了時点で、メルセデスは、コンストラクターズ選手権2位のフェラーリを35ポイント差で追っている。ドライバーたちは残り6戦のなかで勝利を挙げることを強く望むだろうが、チームとして最優先するのはコンストラクターズ2位を確保することだと、ショブリンは言う。

ルイス・ハミルトン、ジョージ・ラッセル、トト・ウォルフ代表(メルセデス)
ルイス・ハミルトン、ジョージ・ラッセル、トト・ウォルフ代表(メルセデス)

「ドライバーに尋ねれば、彼らの優先事項は今シーズン中に優勝することだと言うだろう。特にジョージ(・ラッセル)はまだF1で優勝を経験していないから、彼がそう望むのも理解できる。ルイスが望んでいることについても我々は理解している。彼は2007年のF1デビュー以降、一勝もできなかったシーズンはなく、勝つことに慣れているのだ。それ自体が素晴らしい実績だ」

「しかしチームの観点からは、コンストラクターズ選手権を2位で終えることの方が、今シーズン中に1回の優勝を達成するよりも優先度が高いと言わねばならない。ランキング2位という結果を得ることの方が、チームの士気に大きな影響を及ぼすし、財政面にも関わることだ。チームが獲得できる分配金はコンストラクターズ選手権の最終順位で決定されるからね」

「従って、エンジニアリングおよびレースチームにとっては、最優先事項は、フェラーリを破ってチャンピオンシップで2位につくことにある。その過程で何度か優勝できるのであれば、もちろんその方がはるかに喜ばしい」