南半球を代表する人気カテゴリー、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで、2023年の導入が予定される新規定車両“Gen3”のうち、フォード陣営が投入する『フォード・マスタング・スーパーカー』が化粧直しを受けることに。この9月14日に世界初公開された量産モデルの“第7世代”刷新に合わせ、最新フェイスを採用。カラーリングも施されたテスト車両が、10月6~9日に開催されるシリーズ最大の祭典『レプコ・バサースト1000』の会場でお披露目されることが決まった。
今月に入り、北米でワールドプレミアされた最新型『フォード・マスタング』の発表と同時に、同社のモータースポーツ活動を担うフォード・パフォーマンスは、都合6カテゴリーに向けたプレゼンテーションも実施。そのなかには、話題をさらったGT3版の初公開に加えてフェイスリフトが施されたGen3規定スーパーカーも含まれていた。
ラウンチ時にはアニメーションとレンダリングの公開に留まっていたが、豪州大陸を代表する“聖地”マウントパノラマのイベント会場では、現実に存在する第7世代ベースのレーシングモデルとして世界初公開され、2022年RSCカレンダーの各イベントで実施されてきたデモランも兼ねたテストも実施。レースウイークの木、金、土の各日程で、ライバルのGM(ゼネラル・モータース)が用意する『シボレー・カマロZL1スーパーカー』とともにトラックインすることになる。
2021年最終戦の『バサースト1000』で初お披露目されて以降、両Gen3規定モデルはサスペンションを中心にあらゆるメカニカル・コンポーネントのアップデートが続き、公式テストではオイルタンクとアンチロールバーが承認され、各イベントのデモラン兼任セッションでは各種の制御コンポーネントや燃料タンク、オイル系統の仕様などがフィックスされてきた。
フォード陣営にとって、こうしたテストのすべては“S550”と呼ばれる先代マスタングのデザイン形状で続けられて来たが、ホモロゲーション登録を担当するディック・ジョンソン・レーシングは、今後シリーズの運営委員会や前出のフォード・パフォーマンスと協力し、事実上“ふたつめ”となる空力パッケージを開発しなければならないことを意味する。
■マスタングGT3のバサースト12時間参戦も「考慮されている」
すでに予備的なエアロパッケージとして、現行S550での『VCAT』と呼ばれるホモロゲーション適正検査は、この6月にもブリスベン近郊のウェルキャンプ空港で実施され承認登録済みであり、事実上ふたつめの空力パッケージは、2022年の年末を前に公式VCATテストでふたたび実施、承認される予定となっている。
フォードのモータースポーツ部門でグローバルディレクターを務めるマーク・ラッシュブルックは、伝統的なバサーストの会場が新型『S650/Gen3フォード・マスタング・スーパーカー』の出発点となることに「とても興奮している」と語った。
「スーパーカーからアナウンスされた計画は、我々にとっても素晴らしいニュースであり、このマスタングのGen3レースカーにとっても素晴らしい未来だ」と続けたラッシュブルック。
「DJRは我々のホモロゲーション担当チームであり、ボディパーツのデザインを含むエアロ開発の面でも非常に緊密に連携している」
「車両のトランスフォーメーションとパネルの改修は順調に進んでおり、バサーストのスケジュールには間に合うだろう。現状のVCATはまだ暫定的な仕様であり、この時点で可能な限り最終的なものにはなっているものの、エンジンや空力などの点でも、さらなる変更や修正対応が可能なものなんだ」
その空力面に加え、フォード・パフォーマンスはエンジン開発でも重要な役割を果たしており、2023年型の5.4リッターV型8気筒OHVユニットは、現在は耐久性テストのために本国に運ばれており、台上でのテストが続けられている。
また新型のGT3版は2024年のロレックス・デイトナ24時間でのデビューが予定されているが、将来的にはバサースト12時間耐久への参戦も「プログラムとして大いに考慮されている」という。また、2023年夏より北米でのロードカー発売が開始される計画のS650モデルは、同年のNHRA(National Hot Rod Association/全米ホットロッド協会)ファニーカークラスへの参戦や、2024年のNASCARカップシリーズ投入も決まっている。