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どんどん進むクルマの大型化 乗り心地・4WD性能・お買い得感… テーマ別で選んだ5ナンバーサイズのオススメ国産車

「5ナンバーサイズのクルマが欲しいけどどれがいいのか?」と悩んでいる人もいるだろう。

 ここでは5ナンバーサイズ車限定で、『乗り心地のいいクルマ』、『4WD性能に優れたクルマ』、『買い得感の高いクルマ』というニーズの高いテーマを設け、それぞれオススメ3台を自動車評論家 斎藤聡氏、渡辺陽一郎氏が選び、その理由を解説していく。

※本稿は2022年10月のものです
文/渡辺陽一郎、斎藤 聡、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月10日号

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■テーマ別5ナンバーサイズ車 オススメ3選

 全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下が5ナンバーサイズと規定されている。

 ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下と規定されているがディーゼル車は適用外で、5ナンバーサイズなら排気量が2000ccを超えても、5ナンバーとなる。

 日本の道路幅の平均値は5.9m。

 数字だけ見れば充分広いじゃないか、と感じるかもしれないが、都市部や主要街道の複数車線の道路、新興住宅地などの余裕のある幅広道路を含めた数字と考えると、自動車がすれ違うことができないような幅の道路がかなりの割合を占めることを示しているのだ。

 これは並列駐車場にしてもしかり。最近の駐車場は区画が大型化しているが、ドアを開けるにもひと苦労するような駐車場はまだまだ多い。

道幅だけの問題ではない、ここまで大型化が顕著になれば、わかりやすい例で言えば、すれ違い時などの自車がすり抜けるスペースだって狭まる可能性が必然的に高くなる。運転に慣れていない相手であればさらに難儀する可能性も高くなってしまう

 それなのに最近の日本車は、全幅が1800mmを超えるモデルも珍しくなくなっている。

 人気のSUVは視界がいいのでボディの大きさが気にならない、大きくても車両感覚は慣れだから恐れるに足らない、という意見もあり、これについてあえて否定はしない。

 しかし、日本で運転することを考えると、5ナンバーサイズ車の扱いやすさという魅力は捨てがたい。

 ここでは5ナンバーサイズ車限定で、『乗り心地のいいクルマ』、『4WD性能に優れたクルマ』、『買い得感の高いクルマ』というニーズの高いテーマを設け、それぞれオススメ3台を自動車評論家 斎藤聡氏、渡辺陽一郎氏が選び、その理由を解説していく。

■「乗り心地」のいい5ナンバーサイズ車

 5ナンバー車は、経済性に重点を置くことが多い。

 そこでタイヤも、燃費の優れた転がり抵抗の小さなタイプを装着する。また価格競争も激しく、サスペンション関係のパーツもコストを抑える。

 この2つの要素は、乗り心地を悪化させやすい。そのために5ナンバー車で、路面の荒れた街中を40km/h以下で走ると、細かな振動を伝えやすい。

 この状況で、乗り心地が比較的快適な車種はアクア(トヨタ)だ。低速域では硬めだが、路上の段差を乗り越えた時の突き上げ感は抑えた。

トヨタ アクアはTNGAのGA-Bプラットフォーム採用で乗り心地が劇的向上

 アクアと共通のプラットフォームを使うシエンタ(トヨタ)も、長いホイールベースと相まって、5ナンバー車では乗り心地が快適な部類に入る。

 低速域を除けば不満はない。特にハイブリッドは、ノーマルエンジンよりも、しなやかな印象に仕上げた。

新型トヨタ シエンタはサイズのわりにホイールベースが長いので乗り心地がしっとり

 そして価格の安いコンパクトカーでは、フィット(ホンダ)も満足できる。引き締まり感は乏しいが、乗り心地は柔軟だ。

ホンダ フィットはシャープさより乗り心地に振った足のセッティング

(TEXT/渡辺陽一郎)

■「4WD性能に優れた」5ナンバーサイズ車

 悪路走破性で選ぶならオンデマンド式でトラクション性能に優れ、かつ最低地上高が145mmあるマツダ2(マツダ)がオススメです。当然オンデマンドタイプの一押しもマツダ2!!

 トラクション性能に優れた電子制御多板クラッチタイプは、マツダ2のほかヤリス(ガソリン/トヨタ)がありますが、各種センサー(ワイパーのオンオフまで)を駆使して走行状態を認識し4WD制御を行っているマツダ2に制御のち密さで軍配が上がると思います。

マツダの電子制御4WDは悪路走破性に優れ、マツダ2はゴキゲンな走破性

 ハイブリッド車でリアがモーター駆動の4WDはノート(日産)のe-4WDに軍配。

パワフルなリアのモーターに押される感じがFR的な日産 ノート

 ヤリスも後輪がモーター駆動ですが、モーターの出力が6ps前後と小さく、70km/hになるとFFになる、低中速域に限定したアシスト4WDです。

 実用上は充分ですが、後輪用モーターに68psのモーターを採用するノートの走行性能は別格です。

 4WDの制御ロジックも積極的にリア駆動を行って操縦性と操縦安定性を高めています。

トヨタ ヤリスのガソリンモデルの4WDもかなり高性能で安心して走れる

(TEXT/斎藤 聡)

■「買い得感の高い」5ナンバーサイズ車

 最近は、軽自動車以外の5ナンバー車は選択肢が減ったが、売れゆきは軽自動車の次に多い。ニーズに応じて選べる車種構成は残してある。

 そこで買い得車を取り上げると、実用性を重視するファミリーには、ソリオハイブリッドMZ(スズキ)を推奨したい。

 全長と全幅は小さいから、買い物などにも使いやすい。その一方で背の高いボディによって後席も広く、スライドドアを装着するから子育て世代も使いやすい。

ハイトワゴン系ではスズキ ソリオハイブリッドMZの使い勝手のよさが光る

 SUVならライズG(トヨタ)だ。

 5ナンバーサイズに収まる貴重なSUVで、フロントマスクなどの外観には存在感が伴う。全長は4m以下でも車内は広く、4名で乗車しても窮屈ではない。価格はノーマルエンジンのG・2WDが180万円台で割安だ。

トヨタ ライズ。オールマイティに使えるSUVで5ナンバーというだけで価値あり

 スポーティ指向ならスイフトRS(スズキ)。1.2Lのノーマルエンジンに欧州仕様と同様の足回りとタイヤを組み合わせて、5速MTの価格は180万円弱に抑えた。

スイスポとはまた違った楽しみ方ができるスズキ スイフトRSの5MTはオススメ

(TEXT/渡辺陽一郎)


【番外コラム】5ナンバーサイズとうんちく

日本で5ナンバーサイズ車の需要が高かったのは、過去の税制も関係があった

●日本の税制と5ナンバーサイズ
 かつては高級車も5ナンバーサイズだったわけだが、日本で5ナンバーサイズ車の需要が高かったのは、道路事情だけでなく税制も関係。1989年4月の消費税の導入とともに自動車税が改正され、同時に乗用車への物品税も廃止となった。

 かつては3ナンバー車は特に贅沢な趣味品と捉えられていて、その分税額も高くなっていたのだ。

●なぜ全幅は1695mm?
 規定では全幅は1700mm以下となっているが、足並みをそろえるように上限は1695mm。これは工作精度を危惧したお上からのお達しで、5mmのマージンを要求されたのが現在まで残っている。

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