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 横断歩道の歩行者から「どうぞ」と譲られたので進行したら歩行者横断妨害で捕まったという件で、すでに警察が謝罪していることはすでにベストカーWebでの記事でも紹介した。では、クルマを運転するドライバーとして横断歩道での自転車と歩行者の違いとはどういった部分にあるのだろうか?

 この件について、国沢光宏氏にしっかりと線引きしてもらった。

文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トビラ写真:xiaosan@AdobeStock)

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■「歩行者横断妨害」は歩行者の安全を確保するためのものだ

横断歩道での歩行者に優先権があるのは誰でも理解できる。しかし、自転車はどうなのかというとその解釈のしかたが難しい面も確かにある

 ここにきて「横断歩道の自転車にはどう対処したらいいのか?」ということをよく聞かれる。なかには「歩行者と同じで自転車に優先権がある」などと、拡大解釈したがる警察のお先棒を担ごうとする報道もあります。

 少し前に問題となった「歩行者に譲られても止まらなければ違反」も、大半のメディアは警察側に立った。たくさんの人が取り締まられているのに、国民側に立たず。

  この件、行動力のある弁護士が動いたところ、譲られて通過したのに違反切符を切られたドライバーは無罪放免。そのうえ、警視総監名で警察側が謝罪することになった。

 そもそも歩行者横断妨害は歩行者の安全を確保するためのもの。歩行者の安全が確保されていれば問題ない。少なくともメディアは警察の話だけを聞き、大本営発表の記事を書くのはアウツです。ということで自転車だ。

■歩行者横断妨害にもふたつの例外が存在する

横断歩道上での自転車は歩行者ではなく、軽車両に当たる。道交法的にはクルマやバイクが自転車に道を譲る義務はない(araho@AdobeStock)

 まず、自転車は歩行者じゃなくて軽車両であるということ。これ、大原則です。言うまでもなく軽車両の優先権は自動車やバイク同士と同じ。横断歩道にいる自転車であっても、歩行者じゃなく軽車両ということになる。

 従って道交法的に自転車に優先権はなく、横断歩道であってもクルマやバイクが自転車に道を譲る義務はなし。「歩行者の安全を担保するための違反」と言う位置づけの歩行者横断妨害にならないです。

 ただし、例外がある。自転車を降りて押している状態。これ、歩行者扱い。自転車だけでなくバイクを押している人も歩行者だ。

 ちなみに自転車を押しているという判断基準はキチンとある。まず、サドルに腰をかけていないことと、両足が付いていることのいずれか。両足を付いていてもサドルに腰かけていたら「運転中」ということで軽車両扱いになる。自転車から降りてないと歩行者じゃないワケ。

 もうひとつの例外は13歳未満の子供(小学生を想定)と70歳以上の高齢者。私は乳幼児を乗せている自転車もここに入れてもいいと思う。

 これらのケース、歩道の走行が条件なしで認められている。横断歩道を通行できる権利を持つため、扱いは歩行者。「年齢なんてわからない」と思うかもしれないが、横断歩道で停止できるよう義務づけられている。低い速度域で見たら明らかにわかります。

 ということで軽車両である自転車に優先権はなく、横断歩道で待っていても、ましてや歩行者の移動速度の5倍で横断歩道に向かって走ってくる自転車は常識的に考えたって優先義務などないことが誰にもわかるだろう。

 もちろん、横断歩道の自転車を見てドライバーが止まるのは自由なのだけど、後続車が走っていたら意味のない停車を迫ることになり、道交法の基本理念である「交通の円滑な流れ」を乱す。

■「自転車横断帯」がある場合は自転車が優先権を持つ

写真のように横断歩道に自転車横断帯がある場合、自転車は指定場所以外は走行できないが、クルマやバイクはこの場合、自転車の走行を妨げてはならない(Hassyoudo@AdobeStock)

 さて。ここから普通の横断歩道と違うケースとなります。『自転車横断帯』はどうか? 横断歩道の横に設けられており、自転車でこの横断帯のある交差点を通行しようとしたら、指定の場所しか走れない(歩道も車道も通行禁止)。

 その代わり、自転車横断帯を走行している自転車はクルマやバイクに対する優先権を持つ。クルマやバイクは自転車の通行を妨げちゃいけないのだった。

 道交法第38条第1項にある「又は横断しようとする歩行者等があるときは」の“歩行者等”に自転車が含まれるという拡大解釈をするケースも見かけるが、この“歩行者等”は自転車横断帯の自転車を示す。

 何度も書くが、軽車両は歩行者ではない。タイヤ付きの乗り物で歩行者になるのは、セニアカーや車椅子、乳幼児用の手押し車のみ。車幅70cmを超える人力車やリアカーも含まない。

 ただ、自転車横断帯は急速に減ってきている、信号のない横断歩道だと危険になるためか設定されておらず。信号のある交差点で自転車が走ってきているのに止まらないドライバーなんていないと思う。

 いや、自転車に優先権のない横断歩道であっても、すでに横断歩道を走行していれば誰だって止まる。円滑な流れと同等になっている道交法の「交通の安全」を守らなくちゃならない。

■ドラレコを設置して証拠は確保せよ!

横断歩道を止まらずに通過して違反切符を切られた場合に備え、やはりドライブレコーダーは用意しておきたいもの(Masaharu Shirosuna@AdobeStock)

 以上。道交法の解釈を紹介した。

 横断歩道の横に停車している自転車には、前に紹介した例外を除いて優先権はなし。クルマ側が止まらずに通過しても何ら問題はない。もし警察の取り締まりを受けたら、ドライバーは止まらなかった理由をキチンと述べればいい。

 ただ、証拠は必要になると思うので、やはりドラレコは必ず付けておきたい。ドラレコあるのにキップを切られたら動画を公開し、皆から募金してもらって弁護士に連絡です。

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