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 F1第19戦アメリカGPの初日、フリー走行1回目が開始された直後に国際自動車連盟(FIA)からパワーユニット交換に関するリリースが出た。それによれば、2台がアメリカGP初日に新しい内燃機関(ICE)を投入した。1台は周冠宇(アルファロメオ)で、もう1台がレッドブルのセルジオ・ペレスだった。

 ペレスは今シーズンすでに4基のICEを使用しており、今回新規投入されるのは5基目となる。レギュレーションでは年間3基と定められているので、アメリカGPでペレスは5グリッド降格のペナルティを科せられることが決まっている。

 ただし、この交換はこれまで使用してきた4基のICEが使用できなくなったことが理由ではない。では、なぜ新しいICEを投入したのか? レッドブルの関係者によれば、「戦略的交換」だと言う。

 というのも、日本GP後にフェラーリがすでにアメリカGPに向けてシャルル・ルクレールに新しいICEを投入する予定にしていることを公言していた。つまり、フェラーリとコンストラクターズ選手権を争っているレッドブルにとって、ルクレールの5グリッド降格が決まっているなら、このタイミングで自分たちもペナルティを消化して新しいICEを投入しようと考えたわけだ。

レッドブル&HRC密着
2022年F1第19戦アメリカGPフリー走行2回目 セルジオ・ペレス(レッドブル)

 このレースでレッドブルがコンストラクターズ選手権制覇を獲得するには、フェラーリが1-2フィニッシュした場合には3位と4位になる必要があったが、ルクレールが5グリッド降格となったいま、フェラーリが1-2フィニッシュを飾るのは難しいと判断したわけだ。

 さらにシンガポールGPで優勝し、日本GPでもルクレールを逆転して2位に入賞したペレスは、ドライバーズ選手権で2位となっている。直接のライバルであるルクレールが新しいパワーユニットを投入するのに合わせて、レッドブルとHRCはペレスにも新しいパワーユニットを与え、選手権2位の座を守り、チャンピオンを決めたフェルスタッペンとともに選手権で1-2フィニッシュを飾って、シーズンを完全制覇しようとしている。

 果たして、土曜日のフリー走行3回目が開始されると、FIAからリリースが出され、ルクレールが6基目のICEとターボを投入したことが公表された。これでルクレールは10グリッド降格が決定。予選はフェルスタッペンが3番手、ペレスは4番手に終わったが、土曜日の時点での暫定グリッドはフェルスタッペンが2番グリッド、ペレスは9番グリッドとなった。

 ポールポジションは逃したものの、コンストラクターズ選手権制覇に向けて、レッドブルの戦略はしっかりと機能しながら、いよいよ日曜日の決勝レースを迎えようとしている。

レッドブル&HRC密着
2022年F1第19戦アメリカGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)