マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・キーは、今シーズンにレッドブルとフェラーリが見せているパフォーマンスに少々驚いているが、この2チームがF1の2022年のルールを活用する上で素晴らしい仕事をしていると認めた。
2022年に向けてF1のテクニカルレギュレーションが全面改定され、新世代のグラウンドエフェクトマシンが導入されたことで、オーバーテイクとコース上でのショーが改善された。メルセデスはルール変更によって後退したが、レッドブルとフェラーリは変化にうまく対処し、序盤からF1のトップ集団として戦っている。レッドブルのRB18とマックス・フェルスタッペンは、最終的にはフェラーリに対して優位に立った。
「他のチームと比べてあの2チームが余分のパフォーマンスを引き出すことができたことに、私は少し驚いている」とキーはマクラーレンのウェブサイトのインタビューで語った。
「シーズン序盤のフィールドはより拮抗していたが、今ではばらけ始めている。フェラーリとレッドブルはさらに力を引き出すのに素晴らしい仕事をしたと言わねばならない」
「これは、たとえコスト制限があったとしても、大規模な施設を持ち、長年にわたって蓄積された多くの知識と方法論を持つ大チームであれば、それが大きな役に立つことを示している」
「予選面では公平になっているが、スタート時点の状況については公平ではないから、そこが目指すべき適切な基準点になるだろう」
キーが今シーズンの新レギュレーションに驚かされたもうひとつの要因は、全体的なマシンスピードに及んだ影響が最小限だったことだ。
「理論的には、同じシャシー性能があれば、2022年型マシンは2021年のものと比べて2秒遅くなるはずだが、そうはなっていない」
「今ではマシンは2021年型のパフォーマンスレベルにかなり追いついてきているし、なかにはすでに追いついたマシンもある。このことはF1チームの質の高さが反映されている」
今シーズンにマクラーレンが直面した課題について、キーはシーズン開幕戦と、上限が引き下げられた予算内でのチームの開発プログラムを引き合いに出した。
「複数の課題があったが、それは(2022年型マシンが)かなり違うマシンだからだ。でも一番の問題は今年の開幕戦が厳しいものだったことだ。なぜなら雰囲気が固まってしまったし、残りのシーズンの調子を決めてしまったからだ」
「その後のレースで何度か好結果が出たので、雰囲気はかなり急速に改善されたけれど、開幕戦は最大の課題だった」
「それに、当然ながら新レギュレーションのもとで開発競争を続けなければならないことだ。予算制限内で仕事をすることはかなりの影響がある。いつどのようにやるのかということを慎重に決めなければならない」
「開幕戦1週間前のバーレーンテストで見つかった問題について、信じられないほど迅速に対処しなければならなかった。チームとして団結して問題を解決した。解決策が見つかって、しばらくはそれでうまくいった」
「我々は速い時もあるし、十分な速さがない時もある。それは誰かのミスではなく、単にその時チームとしてそういう状態にあるからというだけだ」
「昨年も予算制限はあったが、その範囲内でうまくやっていた。一方で2022年は、昨年のように予算が段階的に調整されるということがなかった。予算はさらに削減された上に真新しいマシンになったから、はるかに厳しかった」
「これは学びのプロセスだ。我々のように4、5チームは予算制限ぎりぎりのところでやりくりしているだろう。適切なバランスを取ることが重要だ。実際、どこかの分野にさらに予算を使うというのなら、他の部分から出してこないとならない」