運悪く交通事故を起こしてしまった際に、後続車にトラブルを伝えるため。そして自らの安全を守るために使用する三角表示板。もしこの行為を怠ると違反となってしまうのだが、実は今はオプションであるケースがほとんど。
にもかかわらず、高速道路だと携行義務となっており、これまた不思議。なんで三角表示板は標準装備じゃないのか!? いい加減つければいいのに!!
文/小鮒康一、写真/AdobeStock(トップ画像=mpix-foto@AdobeStock)
【画像ギャラリー】昔のベンツは超合理的!? そのワケがコレ(6枚)画像ギャラリー
■三角停止板なけりゃ罰則も! トラブル時の盲点とは!?
事故が発生してしまったときや車両トラブルでやむを得ず公道上に停止する際、掲示しなければならない三角停止板(三角表示板や停止表示板とも言う)。夜間や見渡しの良くない場所では二次被害を誘発させる可能性も高いため、マストで用意しておきたいものだ。
また高速道路上でやむを得ず停止する際は、道路交通法第七十五条の十一に
「自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線(以下「本線車道等」という)またはこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなったときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない」
と記されており、三角停止版を表示する義務があるとされている。
この義務に違反した場合は「故障車両表示義務違反」となり、普通車の場合、点数は1点、反則金は6千円が課せられるれっきとした道路交通法違反となってしまうのだ。
そんな重要なものであれば、新車時に最初から搭載しておいてくれればいいものの、実はほとんどの車種で三角停止板が標準搭載されているケースはないのである。これは一体どういうことなのだろうか?
■三角表示板は搭載しなくてもイイ!? そのワケは納得の理由だった
実はこの三角停止板、前述したように事故や故障などで停止してしまった際に表示する義務はあるのだが、車両に搭載しなければならないという義務はないのである。
なんだかややこしい話に感じるが、事故や故障などによって路上で停止することさえなければ、車内に三角停止板が搭載されていなくても何ら罰則はなく、もちろん車検も問題なくパスできてしまう。
そのため、標準搭載はされずに「必要ならどうぞ」というスタンスであり、ディーラーオプションなどで設定されるに留まっているというワケなのだ。
また三角停止板は基本的に消耗品ではなく、長期間使用できるものとなっているため、すべての車両に標準搭載しなくても、以前乗っていた車両から載せ替えるということも十分可能であるということもあり、商品コストを下げるために標準搭載していないという側面もなくはないだろう。
ただ荷物を載せて走行するケースが多いユーザーにおいては、積載した荷物が原因で三角停止板が破損してしまう可能性もゼロではないので、積んだだけで満足せず定期的なチェックをオススメしたい。
■自作もアリだが基準がしっかりアリ!!
ほとんどの車種で標準搭載されていない三角停止板ではあるが、過去のメルセデスベンツのセダンモデルにはトランクの裏側に三角停止板が標準搭載されていて、トランクリッドを全開することで後続車に危険を伝えるというタイプのものが採用されていたことがあった。
これにインスパイアされて自作で愛車のトランクに三角停止板を設置したユーザーも存在しているが、実は三角停止板には定められた基準があり、大きさや視認性などが決められているため、安易に自作したものではその基準を満たさない可能性もある。
ここではその詳細の紹介は省かせていただくが、気になる人は道路交通法施行規則 第二章の六「停止表示機材の基準」をチェックしていただきたい。
また自立せずにトランクに固定するようなものだと、ブラインドコーナー出口のような場所で停止してしまった場合、トランクに張り付けられた三角停止板を認識したときには、すでに衝突寸前だったというケースも考えられるので、こちらも検討の余地があるだろう。
このように、法令で設置することが義務付けられている三角停止板。もちろん違反になるからという理由だけではなく、万が一のときに二次被害を防ぐという意味合いにおいても非常に重要な役割を果たすものである。
前述したように半永久的に使用することができるにも関わらず、1000円~2000円前後で買えるものが多く揃っているので、もし車載していないという人がおられたらぜひ購入することをオススメしたいところだ。
【画像ギャラリー】昔のベンツは超合理的!? そのワケがコレ(6枚)画像ギャラリー
投稿 高速では必須装備なのに!! なぜ三角表示板は標準装備にならないのか問題 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。