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もう一回教習所に通え!! 残念ながらたまに見かける危険で違法なクルマ関連しぐさ 6選

 日々ニュースなどで取り上げられる悲惨な事故。事故の原因は実にさまざまであり、また、ちょっとしたアクシデントで済むか、はたまた重大事故となってしまうかは紙一重の差。「こんなことで」と思うような原因でも、重大な事故につながってしまう可能性はあります。被害があった後では遅い、よく見かける危険で違法なクルマに関する行為をご紹介します。

文:吉川賢一
写真:Adobe Stock、写真AC、エムスリープロダクション

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ついやってしまいがちだけどめっちゃ危険!! 「サンダルを履いての運転」

 暑い季節についやってしまいがちな、踵が固定されていないサンダルやミュール、スリッパなどでの運転。問題がないように思える行為ですが、踵が固定されていない履物は不安定で脱げやすく、引っかかってしまったり、履物がずれることで操作が一瞬遅れてしまうなど、ペダル操作に支障をきたす可能性があります。最悪の場合、脱げてしまった履物がブレーキペダルの裏側に挟まってしまって、ブレーキが正常に作動させられない、という事態に陥る可能性も。

 サンダルを履いての運転自体を違反とする明確な規定はないものの、「運転操作に支障をきたす状態である」と判断されると、道路交通法第70条(安全運転の義務)違反となり、違反点数2点が加算され、反則金は9000円(普通車)が課されます。また、自治体によっては、都道府県の細則によって明確に違反と規定している場合もあり、この場合、道路交通法第71条の公安委員会遵守事項違反となり、違反点数はありませんが反則金6000円(普通車)が課されます。

 ちょっとそこまでだから…という気の緩みは、思わぬ事故につながる恐れがあります。クルマを運転する際はせめて踵が固定された履物を選ぶようにしてください。

だらしないだけじゃない!! 「助手席の人が足をダッシュボードに上げる」

 たまに見かける、助手席の人が、ダッシュボードの上に足を乗せている行為。「だらしない」とか「臭そう」とかでは済まされない、大変危険な行為でもあります。

 ダッシュボードの上に足を乗せるということは、座面にかなり浅く座っていることになり、シートベルトの腰ベルトが正しく装着されていない状態になります。この状態でクルマが衝突、もしくは急ブレーキなどで強い衝撃を受けると、その乗員はシートベルトの拘束から身体が抜け落ちて、ダッシュボードの下にお尻から潜り込み、腰や背中を骨折する、という大けがを負うことに(サブマリン現象といいます)。

 また、助手席の人がダッシュボードの上に足を置くことで、左前や左ミラーの視界が遮られてしまうため、「運転操作に支障をきたす」とみなされる可能性があります。左側通行の日本では、クルマの左側には歩行者や二輪車などの交通弱者がいることも多く、左側視界が遮られることは、大変危険なことです。安全運転義務違反は、反則金9000円(普通車)、違反点数は2点です。

もちろん、停車中ならば違反とならないが、走行中に助手席の人が足をダッシュボードにのせることは、違反となる可能性がある。もちろん、取り締まりされるのは、助手席の人ではなく、ドライバーだ(PHOTO:Adobe Stock_ Artem)

とっさの回避ができなくなる!! 「内掛けハンドル」

 交差点などで多めにハンドルを回す際に、ハンドルの内側から手を入れて回す「内掛けハンドル」。内掛けハンドルで回すと力を入れやすいため、パワステがない時代には多くのドライバーがやっていたようですが、内側から手を入れてしまうことで、とっさに回避しなくてはならない場合に、逆方向にハンドルを切ることができなくなる可能性があります。

 またエアバッグが作動した際に、バッグに押し潰されて腕を骨折する可能性も。パワステが当たり前である現代では内掛けハンドルが必要なシーンはありません。癖になってしまっている人は、意識して修正するようにしてください。

必要性は前も後も同じなのになぜしない!?? 「後席シートベルト未着用」

 2008年に義務化された、後部座席でのシートベルト着用。しかしながら、2020年に行われたJAFユーザー調査では、5人中3人はシートベルトをしていなかったそう。2016年の調査では、35%程度だったので、徐々に改善している傾向ではありますが、後席シートベルトに関しては、まだまだ、理解が進んでいない状況です。

 前席が厳しく取り締まりがされている一方、後席に関しては取り締まりも厳しくなく、また違反点数も、前席が違反点数1点となるのに対し、後席では高速道路のみ1点、一般道では口頭注意のみ。そのため、「締めなくても大丈夫」と思っているかもしれませんが、シートベルトの必要性は前席も後席も変わらず、むしろ後席乗員がシートベルトをしないことで、前席の乗員が危険な目に遭うことにも繋がってきます。後席でも必ずシートベルトを着用してください。

これだけ危険だといわれているのにまだやってる人がいる!! 「運転中のスマホ」

 2019年12月の道路交通法改正で厳罰化された、運転中のスマホ操作。しかし残念ながら、いまでも運転中のドライバーが片手にスマホを持っているのをみかけます。運転中にスマホやナビなどの画面を見ていると、前方不注意になるのは当然のこと、左右からの飛び出しや信号などを見落としてしまう危険もあります。罰則は、携帯電話使用等(保持)で、違反点数3点、反則金は18000円(普通車)です。

 ハンズフリーで通話をするぶんには、違反とはなりませんが、やはり注意散漫となりがちなので、通話をする際はできるだけ、クルマを安全な場所へ停車させてから行うようにしてください。

追い越し車線を走りっぱなし

 高速道路を走行中、追い越し車線をノロノロ走り続けるクルマに出くわすことがあります。「後ろ詰まってますよ」と伝えたいところですが、近年は煽り運転が社会問題化していることから、トラブルになることを避けるため、それを伝えることもできず、だからといって、右側から追い越しすることは道交法違反となりますし、後続のクルマにとって大変迷惑。

 道路交通法では、2車線以上の道路では、特に指示がない場合を除いて、左側車線が走行車線、右側の中央寄りの車線は追い越し車線と規定されています。通常は走行車線を走り、追い越し時には追い越し車線を使って前走者を追い越した後、走行車線に戻るのがルールです。つまり、追い越し車線を走り続けると、例え法定速度以内であっても「通行帯違反」です。罰則は、違反点数1点が加算され、反則金は6000円です。

 警察の取り締まりでは、交通違反とする目安を2km程度走り続けた場合、としているようです。すなわち、高速道路を100km/hで走行している場合は、時間にして1分12秒追い越し車線を走り続けると取り締まりの対象です。

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 ほかにも、無灯火での走行や、シートを倒しすぎての運転、ウインカーを出さずに車線変更など、「危ないなぁ」と感じる運転はいくつかあります。「自分(だけ)は大丈夫」「自己責任でやっている」「誰にも迷惑かけていない」「これまで事故になっていないし」と考えているようですが、事故になれば周囲に多大な迷惑をかけることになりますし、事故になってからどれだけ反省しても、もう取り返しはつきません。

 普段の何気ない運転中の気の緩みが、重大な事故に繋がってしまいます。日ごろから安全を意識した運転を心がけ、カーライフを楽しんでください。

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