9月24日(土)、岡山県の岡山国際サーキットでファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイAWS第5ラウンドのレース1となる第9戦の決勝が行われ、横溝直輝/藤波清斗組ヨギボー・レーシングの27号車フェラーリ488 GT3が第7戦以来となる今季2勝目を飾った。
マレーシア・セパンで開幕した2022年のGTWCアジアは、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGOと転戦し、第5ラウンドの舞台・岡山を迎えた。
当初最終戦として予定されていた第6ラウンドのマンダリカ(インドネシア)がキャンセルされたことにより、この岡山での2レースで2022シーズンはフィナーレを迎える。日本で開催された第2〜5ラウンドにかけられた『ジャパンカップ』含め、すべてのシーズンタイトルがこの週末に決することになる。
24日午前に行われた予選の結果、レース1のポールポジションは、ヨギボーの横溝が獲得。2番手にAASモータースポーツの18号車ポルシェ911 GT3 R(カンタディ・クシリ/タナート・サティエンティラクル)が続き、シルバークラスの2台がフロントロウから並んでスタートすることとなった。
予選3番手には、ブロンズドライバー最速タイムを星野敏がマークしたDステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(星野/藤井誠暢)がつけたが、黄旗区間での減速違反があり、3グリッド降格に。他にもポルシェセンター岡崎30号車ポルシェなどを含めた5台のマシンが、この違反によりグリッド降格ペナルティを受けた。
60分の決勝レースでは、25〜35分の10分間にドライバー交代を伴うピット作業が義務づけられている。最低ピットタイム(ピット入口〜出口間の時間)は全車一律に90秒だが、前戦トップ3にはハンデが設けられており、SUGOのレース2で優勝したDステーション・レーシングの47号車は15秒、2位だったプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ5号車は10秒、3位のカーガイ・レーシング777号車は5秒が、岡山のレース1での最低ピットタイムに加えられる。また、SUGO戦を欠場したポルシェセンター岡崎30号車(富士戦レース2で2位)にも、+10秒のハンデが科せられている。
夏の暑さを感じさせる晴天のもと、14時50分にフォーメーションラップがスタート。1周のフォーメーションを終えてもセーフティカーはピットインせず、そのままエクストラ・フォーメーションラップへと突入した。
14時52分、正式スタートが切られると、6番手スタートだったDステーションの47号車星野がポジション争いのなかで1コーナーを大回りする形となり、9番手にまでポジションを落とす。
前方では99号車メルセデスをドライブするH.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒムがカーガイ・レーシングの777号車木村武史をパス。スタートから3番手の座を守った888号車H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒムに続き、トリプルエイトJMR勢が3、4番手でオープニングラップを終えることとなった。
3周目、47号車星野はアトウッドカーブででリープ・フューエリング・アンビションズ19号車ランボルギーニの濱口弘と接触があったようで、スピン。ほぼ最後尾にまで順位を落としてしまう。これにより、19号車にはドライブスルー・ペナルティが科せられた。
首位の27号車横溝は快調に飛ばし、2番手の18号車サティエンティラクルに対し5周で約4秒のギャップを築く。3番手以下は数珠つなぎの状態で混戦模様となるが、19号車がバックストレートでマシンを止めたため、残り43分というところでセーフティカーが導入された。
スタートからちょうど25分が経過したタイミングで、セーフティカーが退去となると、うまいリスタートを切った27号車がリードを広げた一方、3番手以下の上位勢は一斉にピットイン。トリプルエイトの2台はピットでロスがあったか順位を下げ、実質の3番手には+5秒ハンデも消化した777号車が浮上する。その背後にはABSSAモータースポーツの澤圭太、チーム・ウエマツ2号車植松忠雄という、2台のマクラーレン720S GT3勢がつける展開となった。
トップ2のヨギボー27号車、AAS18号車は2周後にピットインし、ドライバー交代を行うと、順位をキープしたままコースへ復帰。
しかしそこへニュータイヤで圧倒的なペースを刻むカーガイ777号車のケイ・コッツォリーノが瞬く間に迫っていった。残り22分のバックストレートエンド、アウトから18号車をかわしたコッツォリーノは2番手に順位を上げる。
このあとAAS18号車はピットストップ違反による1秒のストップ・アンド・ゴーペナルティが科せられ、3番手にはマクラーレン勢をパスしてきたトリプルエイト99号車のニック・フォスターが浮上してきた。
首位をゆくヨギボー藤波とコッツォリーノのギャップは、残り15分の段階で5.4秒、残り10分では4.4秒、残り5分では3.3秒と徐々に詰まっていったが、藤波がリードを守り切ってポール・トゥ・ウインを決めた。。
2位でフィニッシュした木村/コッツォリーノ組は、GT3プロ/アマのジャパンカップタイトルを確定。また、このレースで3位となった99号車組に対してGT3オーバーオール・カテゴリーでのリードを広げる形となった。
総合4位、プロ/アマクラス3位には16号車マクラーレンの小泉洋史/澤組が入り、嬉しい初表彰台獲得となった。GT3アマクラスでは、チーム・ウエマツ2号車の植松/内田優大組がトップチェッカーを受けた。
GT4カテゴリーのシルバー/アマクラスでは、クラスポールだったGTOレーシングチーム14号車メルセデスAMG GT4(ブライアン・リー/安岡秀徒)が優勝。GT4アマクラスは、アキランド・レーシングの71号車トヨタGRスープラGT4(大山正芳/植田正幸)が制している。
シーズン最終戦となる第10戦の決勝レースは、25日(日)11時40分にフォーメーションラップがスタートする予定だ。
■GTワールドチャレンジ・アジア第5ラウンド岡山 第9戦決勝結果
Pos. | No. | Cat/Class | Team | Car | Driver | Gap |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 27 | GT3 Silver | ヨギボー・レーシング | フェラーリ488 GT3 | 横溝直輝/藤波清斗 | 35Laps |
2 | 777 | GT3 Pro-Am* | カーガイ・レーシング | フェラーリ488 GT3 | 木村武史/ケイ・コッツォリーノ | 1.225 |
3 | 99 | GT3 Pro-Am | トリプルエイトJMR | メルセデスAMG GT3 Evo | H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/N.フォスター | 9.894 |
4 | 16 | GT3 Pro-Am* | ABSSAモータースポーツ | マクラーレン720S GT3 | 小泉洋史/澤圭太 | 22.919 |
5 | 8 | GT3 Pro-Am | EBMギガ・レーシング | ポルシェ911 GT3 R | S.サントソ/R.ハーカー | 23.743 |
6 | 888 | GT3 Pro-Am | トリプルエイトJMR | メルセデスAMG GT3 Evo | H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/J.ジャファー | 24.199 |
7 | 30 | GT3 Pro-Am* | ポルシェセンター岡崎 | ポルシェ911 GT3 R | 永井宏明/上村優太 | 29.197 |
8 | 47 | GT3 Pro-Am* | Dステーション・レーシング | アストンマーティン・バンテージAMR GT3 | 星野敏/藤井誠暢 | 32.524 |
9 | 60 | GT3 Pro-Am* | LMコルサ | フェラーリ488 GT3 | 中西慧/脇阪薫一 | 45.807 |
10 | 18 | GT3 Silver | AASモータースポーツ | ポルシェ911 GT3 R | K.クシリ/T.サティエンティラクル | 49.039 |
11 | 2 | GT3 Am* | チーム・ウエマツ | マクラーレン720S GT3 | 植松忠雄/内田優大 | 55.238 |
12 | 7 | GT3 Am* | コメット・レーシング | ホンダNSX GT3 Evo | 山﨑裕介/辻子依旦 | 1’06.313 |
13 | 51 | GT3 Am | AMACモータースポーツ | ポルシェ911 GT3 R | A.マクファーソン/W.ベン・ポーター | 1’17.844 |
14 | 5 | GT3 Pro-Am* | プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ | BMW M4 GT3 | 山口智英/荒聖治 | 2Laps |
15 | 14 | GT4 Silver-Am | GTOレーシングチーム | メルセデスAMG GT4 | B.リー/安岡秀徒 | 2Laps |
16 | 17 | GT4 Silver-Am* | クレフモータースポーツ | マクラーレン570S GT4 | YUKO/井上雅貴 | 2Laps |
17 | 44 | GT3 Am* | ビンゴ・レーシング | コルベットC7 GT3-R | BANKCY/武井真司 | 2Laps |
18 | 96 | GT3 Pro-Am* | Kチューンズ・レーシング | レクサスRC F GT3 | 野上昌範/新田守男 | 2Laps |
19 | 33 | GT4 Silver-Am* | チームGMB | メルセデスAMG GT4 | 羽田野宏明/細川慎弥 | 3Laps |
20 | 71 | GT4 Am* | アキランド・レーシング | トヨタGRスープラGT4 | 大山正芳/植田正幸 | 3Laps |
21 | 4 | GT4 Am* | コメット・レーシング | メルセデスAMG GT4 | 坂井一裕/藤井正明 | 4Laps |
– | 19 | GT3 Am* | リープ・フューエリング・アンビションズ | ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo | 濱口弘/大蔵峰樹 | 29Laps |
※リザルトは編集部集計