コンパクトミニバンとして高い注目を集めている新型シエンタが2022年8月23日に発売された。使い勝手に優れたパッケージングや高い燃費性能などからたちまち人気車となっている。
多くの人気車をラインナップするトヨタだけに、気になるのは納期だ。新型コロナの影響や半導体不足による部品調達の遅れから納車が遅れ、現在オーダー停止となっている車種もある。
そこでシエンタは発売直後に注文できるグレードを絞り込むなどの対策を行っている。今回は、そんなシエンタの納期を早めるコツを伝授しよう!
文/小林敦志、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
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■新型トヨタ シエンタは一部グレードのみ先行生産?
8月23日にトヨタより新型シエンタが正式発表された。販売現場などで話を聞く限りでは、当初は6月末あたりにデビュー予定だったとのこと。すでに世の中では当たり前のようになってしまった、新車の長期的な納期遅延が収束を迎えないなかでは、予定通りデビューさせることは諸般の事情で難しい。
またスケジュール通り無理に発表しても事態を混乱させるだけなので、デビュー日の変更があってもやむを得ないことなのかもしれない。
新型シエンタは正式デビュー前から、人気モデルでもあるため販売現場は混乱していた。それは、X、G、Zと3グレードあるのだが、購入できるグレードというかデビューしても当面は一部グレードしか生産が行われないとの話があった。
正式発表前には、あるトヨタ系ディーラーでは、「最上級のZ以外のグレードは2023年4月以降生産が開始される」との説明を受けた。
しかし、異なるトヨタ系ディーラーでは、「Zをメインで販売しております。Gもご注文は受け付けますが、メーカーオプションをいっさい装着しない仕様以外は生産開始が遅れる予定です」と異なるニュアンスの説明を受けた。
ディーラーによって説明が異なるほど情報が錯綜し混乱しているのだなと判断したが、“Zがメイン”という共通の説明を受けたことにはなる。
■新型トヨタ シエンタの推奨グレードは……
メーカーのウエブサイトをみると、ハイブリッド、ガソリンを問わずXグレードは2023年4月以降の生産予定となっているとの説明があった。それでは正式発売後はどうなっているのかを確認してみると、Zが“販売推奨グレード”として紹介された。
現状の販売動向を現場で聞くと、「専用装備も多いですし、推奨グレードのZが発売直後ということもありよく選ばれております。予算的にどうしても合わないというお客様がGを選ばれるケースもあります」とのこと。
専用グリルモールを装着し、ハイブリッド車はエレクトロシフトマチック、オプティトロンメーター+7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイなど、G以下ではオプションでも装着できない専用装備の多いZ。
予算に余裕があれば積極的に選ばれるのは当たり前のような内容となっているし、Gとの価格差も割高なイメージはあまり感じないだろう。
推奨グレードであるZは以前聞いた限りでは、優先的に生産されるので納期遅延の影響はほかのグレードより少なくなるだろうとのことだったが……。
「確かにZは納車がほかのグレードよりは早まる予定とご説明させていただいているのですが、選ばれるメーカーオプション次第では、納期が遅れることになります」と説明してくれた。
新型シエンタはZとGにはETC車載器が標準装備されるのだが、これをETC2.0に付け替えることができるオプションがある。そしてこれはセットで標準装備となる前方カメラのみのドライブレコーダーが前後方向タイプになるのだが、これを選ぶと納車が大幅に遅れるとのこと。
また、ハイブリッドではアクセサリーコンセント(AC100V-1500W/インパネ1・荷室1/非常時給電システム付き)を選んでも納車が大幅に遅れるとのことである。なお、ツートンカラーを選ぶと生産開始は2023年4月以降になっている。
いずれのオプションも、いまどき新車の購入を検討している人ならば是非装着したいともいえるオプション。とくにメーカーの工場で後付け感もなく前後方向のドライブレコーダーが装着できることには魅力を感じる人は多いだろう。
前方ドライブレコーダーのみの装着というのは、後付けを検討している人でもいまでは少数派ではないかと考える。アクセサリーコンセントだって、レジャーだけでなく災害時にも役立つ装備なのだから注目している人も少なくない。
推奨グレードのZであっても、選びたいと思う人の多いメーカーオプションを選ぶと納期は見えなくなると販売現場では説明してくれた。
■長納期時代のクルマの買いかた
ただ事情通は「シエンタはJPNタクシーと共用する部品が多いと聞いております。JPNタクシーは香港で“ハイブリッド コンフォート タクシー”としてラインナップしているものを除くと国内専売に近いモデル。部品の国内調達率が高いようで、その面では納期の大幅な遅延は起こりにくいのではないかといわれています」としている。
新型シエンタのガソリン仕様のZで、前述したようなメーカーオプションを選択しない仕様の受注を端末入力したら、契約月内にラインオフして出荷されることになって驚いたとの話も聞いている。
どんなにメーカーが部品の供給体制に配慮しても、シエンタのようにドライブレコーダーやETCなど周辺機器のほうが、サプライチェーンの混乱や、半導体不足による生産遅延が深刻なので、結局車両の納期遅延では足を引っ張ってしまっているようにも見えるのも、いまの“ものづくり”の世界の現状なのである。
「きちんと供給できる体制を作ってから正式発売しろ」との意見もあるだろうが、それを待っていたら新車のリリースなどができないのもまた現状。
ある新車ディーラーのセールスマンは、「あくまで私見ですけど、納期を意識するあまり、本命でもないおクルマや、欲しい装備が満足についていない仕様を選ぶのは賢いお買い物とはいえませんね。そこまで同じおクルマで仕様を変えるほどは納期に大差はついていない車種がほとんどです」と語ってくれた。
どこまで待てるかについては個人差があるだろうが、人気車ほど納車を待たされる現状が解消されるには長い年月がかかりそうなのは間違いないだろう。
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