FIAの暫定モータースポーツ担当事務総長のシャイラ-アン・ラオが、FIAの職を退くことになった。
ラオは、FIAのスポーツ担当事務局長でF1担当エグゼクティブディレクターのピーター・バイヤーが今年夏に退任したことに伴い、暫定的にその後任を務めた。ラオは2016年半ばから2018年までFIAで法務部長を務め、移行期間にある新会長チームの支援のために、暫定モータースポーツ担当事務総長としてFIAに復帰していたのだ。
「シャイラ-アンはこの移行期間の運営を成功させ、FIA会長およびFIAに貴重なサポートと支援を提供したが、任期は現在終わりを迎えている」とFIAの声明は述べている。
「したがってシャイラ-アンは、今年のF1シーズン末をもって、FIAを去ることになった。FIAは期間中のシャイラ-アンのサポートに感謝の意を表する」
FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは次のように述べた。
「FIAを代表して、組織の重要な移行期間におけるシャイラ-アンの、暫定モータースポーツ担当事務総長としての貴重な貢献に感謝したい。特にシャイラ・アンは、私に大きなサポートを提供し、F1に関して常にプロ意識と誠実さをもって行動していた」
ラオが今年6月にFIAに復帰した際には、特にフェラーリによって、利害の衝突の可能性があるとの懸念が示された。ラオが2019年からメルセデスF1の法務責任者を務めており、チーム代表のトト・ウォルフの特別顧問でもあったからだ。ラオの退任は、ラオが監督していたF1の予算制限の処理のなかで元雇用主だったメルセデスを優遇したという指摘を受け、ビン・スライエムが彼女を擁護した数日後のことだった。このさなかにレッドブルの過剰支出に関する機密情報が、一部のチームに流失したと報じられた。
「正直な話、私は自分の意見を擁護するが、シャイラ-アンに関しては、彼女が主にメルセデスの側に立っていたという告発があった」とビン・スライエムは先週末にアブダビで語った。
「しかし実際のところ、両チーム(レッドブルとアストンマーティン)に(予算制限の)ペナルティを科した時、私にしては少々厳しいのではないかと彼女は言った」
「私は言った。『なんと、メルセデスと彼女がつながっていると告発している者がいるのに、彼女はこれではレッドブルに厳しいと私に言っている』とね」
シャイラ-アン・ラオは事務総長として暫定の地位にあったことから、いずれは常任の事務総長が指名されることが考えられる。しかしラオの後任についてFIAの声明は触れていない。なお、モハメド・ビン・スライエム会長の指揮の下で行われている組織再編の一環として、今年9月にFIAは、初の最高経営責任者(CEO)としてアメリカ出身のナタリー・ロビンを任命している。