9月25日、MotoGP第16戦日本GPの決勝レースが栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、MotoGPクラスはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が今季初優勝を飾った。ポールポジションからスタートしたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は、表彰台獲得は逃したものの4位フィニッシュを果たしている。
決勝レースは気温22度、路面温度は36度のドライコンディション。激しい雨によってセッションディレイなど天候に翻弄された土曜日から一転、日曜日は快晴となって日差しが降り注ぎ、このために路面温度はこの週末で最も高くなった。このためライダーはタイヤ選択に頭を悩ませたようで、多くのライダーがグリッド上でタイヤを変更している。また、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)はウォームアップ・ラップ中にマシンについて気にするそぶりを見せ、その後ピットイン。急きょスペアマシンに乗り換えたがピットレーンスタートとなり、本来は6番グリッドスタートだったところから大きく後退することになった。
ホールショットを奪ったのは3番グリッドスタートのブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)である。しかし、ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)がトップに立ち、ビンダーは2番手に後退。3番手にジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)、4番手にミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が続く。ポールポジションスタートのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は5番手に後退した。
3周目、ミラーがマルティンに並びかけると、インサイドにマシンを入れてオーバーテイク。ミラーがトップに浮上した。トップに立ったミラーは、次第にマルティンを引き離し、11周目には3秒以上のアドバンテージを築く。2番手はマルティンは次第にビンダーから遅れ出し、3番手にビンダー、4番手にオリベイラとKTMのふたりがつける。マルク・マルケス5は番手をキープする。
10周目、2コーナーで長島哲太(チームHRC)が転倒。13周目には津田拓也(チーム・スズキ・エクスター)のマシンから火が出て、津田はコースサイドにマシンを止めた。レース中盤にはワイルドカード参戦のふたりのリタイアが相次ぐ形となった。さらにアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)は16周目にピットイン。ここでリタイアしている。2022年をもってMotoGPから撤退することを発表しているスズキは今大会が最後の日本GPだったが、リンス、津田のふたりがそろってリタイアという結果となった。
レース終盤になると、4番手のオリベイラと5番手のマルク・マルケスが接戦を展開。マルク・マルケスは残り3周の9コーナーでオリベイラをオーバーテイク。4番手に浮上した。その約4秒前方にいるビンダーは、2番手のマルティンとこちらも接戦を繰り広げると、マルティンをかわして2番手に浮上した。
最終ラップにはチャンピオンを争うライダーの間でドラマが待っていた。ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)と8番手を争っていたフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が3コーナーで転倒を喫したのである。クアルタラロとタイトルを争うバニャイアにとって、痛恨のクラッシュとなった。
レースはミラーが独走態勢を崩さなかった。2番手以下に5秒以上の差をつけて、今季初優勝を上げた。2位はビンダー。開幕戦カタールGP以来の表彰台獲得。3位はマルティンだった。
そしてポールポジションスタートのマルク・マルケスは、復帰後2戦目で4位を獲得。もちろんホンダ勢として最上位フィニッシュである。5位はオリベイラ。KTM勢としてはビンダーとそろって上位に食い込む形となった。
そして、チャンピオンシップのランキングトップであるクアルタラロは8位。ピットレーンからのスタートとなったアレイシ・エスパルガロは16位。タイトル争いを展開するバニャイア、アレイシ・エスパルガロがそろってポイント獲得を逃す結果となった。
日本人ライダーとしては中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が20位でフィニッシュしている。