メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、メルセデスにとって困難だった2022年シーズンは、チームの士気をふたたび高め、勝利の価値を再認識させるために必要だったと述べている。
F1第21戦ブラジルGPでジョージ・ラッセルが優勝を飾ったおかげで、メルセデスはすんでのところで無勝利のシーズンを免れた。しかしこの成果は、8シーズンにわたってF1で覇権を握っていたメルセデスの、当惑させられるような成績と信じられないほどのパフォーマンス不振を強調しただけだった。
「この難しい1年は、組織の意欲を再度高め、活性化させるために必要だったと確信している」とウォルフは、問題の多かったシーズンについて評価した。
「これによって我々は地に足をつけ、勝利を挙げた時の気持ちに感謝できるようになった」
しかしながらウォルフの現在の優先事項は、来シーズンにメルセデスがこの位置に留まらないようにすることだ。
「我々はそのことを考え、慎重になるべきだと思っている。なぜなら1シーズンはあっという間に過ぎてしまう。来シーズンやその次のシーズン後に同じ状態になってはならない」
チームがこの1年のほとんどを過ごしたのは、誰もが戻りたくないと考える暗い場所だったが、その不名誉な場所をクルーたちに思い出させるために、ウォルフは問題の多いW13を隠すのではなく、誰もが目にすることができるブラックリーの受付の廊下に設置するよう指示した。
「つまり毎回ここへ来るたびに、どれほどの困難になり得るかということを理解することになる」
「レギュレーションが変更され、我々は間違いを犯したが、そのほかの柱は今もすべて整っている」
「私はグラスに水が半分しか入っていないと思うタイプで、自分たちの仕事が十分だとは決して考えない」
「我々がタイトルを争っていたポジションに復活できるかどうかは、まったく分からない。なぜなら競争が激しいことを認める必要があるからだ。だが我々は高い目標を掲げてそれに到達するために全力を尽くしていく」
しかしながらウォルフは、主なライバルのレッドブルとフェラーリと比較すると、2023年のメルセデスはまだ追いついていく段階にあるだろうと主張している。ウォルフはその理由を詳しく語った。
「我々は何カ月もの開発時間を失った。なぜならマシンに機能を追加できるようになる前に、ポーパシングの問題を解決しなければならなかったからだ。ダウンフォースに関して何かを追加しようが、ドライバーたちはそれを感じることができなかった。いっそう予測不可能になり、バウンシングは悪化した。だからマシンパフォーマンスを上げるのに6カ月の遅れが生じたことを考えると、フェラーリとレッドブルに追いつくのは非常に困難だ」
「それに我々は100mの短距離走を他の全員より10m後ろから始めたようなものなので、より速く走る必要がある。だがこの組織にはより速く走るために必要なものがすべてそろっている」