10月25日、全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するB-Max Racing Teamは、活動の本拠地(ホームタウン)である神奈川県綾瀬市と『綾瀬市の活性化に向けた連携協力に関する覚書』を締結した。10月29〜30日に三重県の鈴鹿サーキットで開催されるスーパーフォーミュラ第9戦/第10戦『第21回JAF鈴鹿グランプリ』には、『AYASE PRIDE』のロゴをサイドポンツーンに貼りレースに挑む。
スーパーフォーミュラをはじめ全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権など、さまざまなカテゴリーに挑むB-Max Racing Teamは、神奈川県綾瀬市深谷上にファクトリーを構える。周辺はさまざまな工場が建ち並ぶ地域で、自動車関連企業も多い。
B-Max Racing Teamは、2022年スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿でチームとして初めての優勝を飾ったが、レース後ドライバーの松下信治と、組田龍司総代表が綾瀬市役所を訪れ、優勝を報告した。ここで勝利と活動の内容を聞いた綾瀬市の古塩政由市長が「市としても応援していこうと思い、私も現場を体験したい」と7月16日に行われた第6戦富士を訪問。その後もオープンファクトリーや、県立綾瀬高校を松下らが訪問するなど地域との交流を深めてきたが、今回両者で連携し、地域の活性化を目指すとした覚書を交わした。
覚書には、両者が友好協力関係を構築しながら綾瀬市の魅力を高め、地域やレース活動などの活性化を促進させることや、両者が活動のPR、応援などを行うことなどが記され、この日綾瀬市役所で行われた締結式で、古塩市長、組田総代表が署名。チームからは松下、本山哲監督が参加したほか、立会人として日本レースプロモーション株式会社(JRP)の上野禎久代表取締役社長が出席した。
「チームと綾瀬市との関わりは今年からですが、レースを生で観戦し、工場も見学させていただくなかで、レースが速く走るということだけでなく、カーボンニュートラルにも取り組まれていることなどを見聞きし、行政としても大変参考になりました。今回の締結を機に、綾瀬市に素晴らしいレーシングチームがあることを市民に伝え、地域の活性化に繋げていきたいと思います。いろいろな形で両者にとってウイン・ウインの関係になることを期待しています」と古塩市長は語った。
また組田総代表は「私の知る限り、このような形での行政とチームの連携は初めてのことと思います。非常に光栄で身の引き締まる思いです。ぜひチームの活動を多くの方に知っていただき、応援をお願いしたいと思います」と語った。
さらに「今回の締結の目標として、チームが悲願の日本一を達成した際には、綾瀬市民の皆さまと喜びを分かち合いたいと思っています。また希望として、ぜひレーシングカーによる公道でのパレードランを実現したいと思っています」とも語っている。
また締結式に立ち会ったJRPの上野社長は「我々が運営する全日本スーパーフォーミュラ選手権は来年50周年を迎えますが、このタイミングでこのような行政とチームの連携が行われることは大変喜ばしいことと思います。レースは、自動車という道具を使う、産業との結びつきが非常に強いスポーツです。スーパーフォーミュラにおけるカーボンニュートラルの取り組みが、地域の産業にも良い影響を与えられるものと思っています。締結を機に綾瀬市が“モータースポーツのまち”として盛り上がっていただくことを心から願っています」と喜びを語っている。
今回の両者の連携にともない、JAF鈴鹿グランプリではB-Max Racing Teamの50号車には『AYASE PRIDE』の大きなロゴが貼られることになった。ロゴには『Kanagawa Ayase』、『City of Manufacturing』、そして綾瀬市のマスコットキャラクターの『あやぴぃ』、市の花であるばらがデザインされた。
そんなロゴが入ったマシンを駆りJAF鈴鹿グランプリに挑む松下は「プロのレーシングドライバーとしては、良い成績を上げることが自分のキャリアアップに繋がり、自動車メーカー、チーム、スポンサーなどの喜びになるということを考えてきました。そこに地域の方々の喜びが加わることによって、ドライバーとしての大きなモチベーションになると感じています。ぜひ最終大会では来年に繋がる結果を出したいと思います」と意気込みを語っている。
他のプロスポーツではホームタウンとの結びつきは非常に強いが、モータースポーツではそこまで多い例ではない。今回の綾瀬市とB-Max Racing Teamの取り組みは、新たな地域活性のモデルとなりそうだ。