マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が母国グランプリ2連勝を飾った2022年F1第15戦オランダGPの裏側に密着した映像をレッドブルが公開した。
36年ぶりの開催となった2021年のオランダGPから早一年が経ち、F1がまたオランダに帰ってきた。舞台となるザントフォールト・サーキットにはのべ30万人以上もの観客がつめかけ、スタンドはオレンジ一色に染まった。彼らのお目当てはもちろん、オランダ人史上初のF1ワールドチャンピオンとなったフェルスタッペンだ。
「またここに戻って来られて嬉しいよ。チャンピオンになったこととは関係なく、こうしてオランダのファンと会って、素晴らしい週末を送れるのが楽しみなんだ」
自身2度目の母国GPを前にそう語るフェルスタッペンは、父ヨスのカラーリングを再現したスペシャルヘルメットでこのレースに臨む。「レースを始めたばかりのころ、父と同じヘルメットをかぶっているのが誇らしかったのを覚えているんだ」と語る彼は、ヨスが息子からのサプライズに感動した様子だったことも明かしてくれた。
フェルスタッペンは昨年のオランダGPをポール・トゥ・ウインで制し、今シーズンもここまで3連勝中と勢いに乗る。もちろんファンからの期待は大きく、金曜日になり走行が始まると、彼がコースインするたびに“オレンジアーミー”と呼ばれるファンたちが大歓声で彼を出迎える。
そんなファンを前に、「観客たちは僕が勝つことを期待しているし、それに応えなければいけない」と意気込みを語ったうえで、フェルスタッペンはこう付け加える。「だけど、このホームグランプリ以外でも、僕はどの週末でもベストを尽くしているんだ」
決勝レースはタイヤ戦略が異なるメルセデス勢と激しい攻防を繰り広げる展開になった。フェルスタッペンはレースエンジニアとタイヤの状況について細かくやり取りし、チャンスを伺う。そしてセーフティカーのタイミングにも助けられ、トップでチェッカーを受けた。
決して一筋縄ではいかないレースだったが、結果的にフェルスタッペンは2年連続で母国GPポール・トゥ・ウインを果たした。しかも、今年は父ヨスと同じヘルメットをかぶっての勝利。チーム代表のクリスチャン・ホーナーから「初めてそのヘルメットがレースに勝つところを見れて嬉しいよ」と無線が飛ぶと、彼も「僕の父もやっと勝てたよ」とジョークで応じる。
父が果たせなかったF1での勝利とチャンピオン獲得を果たし、母国凱旋をポール・トゥ・ウインで飾ったフェルスタッペン。そのヨスは新型コロナウイルス感染により現地に駆けつけることができなかったが、フェルスタッペンはレース後に詰めかけた観客に向かって父との思い出を振り返ることで、彼への感謝を伝えた。
「F1に乗るようになったとき、父は僕にある人生の教訓を伝えてくれたんだ」
「それは、なにかに流されそうになるときがあっても、常に自分らしくあり続けること、自分に正直でいることが重要だというものだった。僕はできる限りそうしようと努力しているんだ」