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 9月25日(日)、岡山県の岡山国際サーキットでファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイAWS第5ラウンドのレース2となる第10戦の決勝が行われ、ポールポジションからスタートした星野敏/藤井誠暢組Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が終始レースをリードし、シーズン2勝目を飾った。

 オープニングラップの接触によりポイント圏外へと脱落した木村武史/ケイ・コッツォリーノ組カーガイ・レーシング777号車フェラーリは、アクシデント後も走行を続けて完走。ライバルの前でフィニッシュし、GT3カテゴリーのオーバーオール・タイトルを獲得している。

 マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGOと転戦してきた2022年のGTWCアジアも、この週末の岡山2連戦でいよいよ最終戦。24日に行われた第9戦では、横溝直輝/藤波清斗組ヨギボー・レーシングの27号車フェラーリ488 GT3が2勝目を挙げるとともに、2位でフィニッシュした木村/コッツォリーノ組777号車フェラーリは、日本での4ラウンドにかけられる“ジャパンカップ”のタイトル(GT3プロ/アマ、GT3オーバーオール)を手にした。

 GT3ドライバー選手権(オーバーオール)など未決のタイトル争いが注目されるなか、24日に行われた第10戦向けの予選では、星野敏/藤井誠暢組Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が藤井のアタックによりポールポジションを獲得。2番手にはカーガイとタイトルを争うトリプルエイトJMR99号車メルセデスAMG GT3(H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/ニック・フォスター)がつけ、3番手はプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの5号車BMW M4 GT3(山口智英/荒聖治)というスターティングオーダーに。カーガイの777号車は4番手スタートとなった。

GTWCアジア第10戦岡山の予選でポールポジションを獲得したDステーション・レーシング
GTWCアジア第10戦岡山の予選でポールポジションを獲得したDステーション・レーシング

 レースは全戦共通の60分、25〜35分の間にドライバー交代が義務付けられるフォーマット。前戦第9戦の各カテゴリートップ3には、最低ピットタイムに15秒、10秒、5秒が加算される。

 朝から続いた青空に薄い雲がかかるなか、11時40分にフォーメーションラップがスタート。この日プロ/アマクラスでは、レース2予選でアタックしたプロドライバーが主にスタートを務めている。

 1コーナーではスタートでやや出遅れたDステーション47号車をイン側に、中央に99号車、その外に777号車と3ワイド状態になるが、ここでは47号車の藤井が首位をキープする。

 しかし、続く2コーナーではやや前に出ていた777号車と、1コーナーの立ち上がりでアウトにはらんで遅れていた99号車が接触、777号車コッツォリーノはスピンしアウト側のバリアへとクラッシュしてしまう。これでセーフティカーが導入されることとなった。

 コースへと復帰したコッツォリーノはいったんピットへと自力でマシンを戻した後、再びレースに加わり、1ラップおくれで周回を重ねた。

 レースは3周を終えたところでリスタート。上位勢は順位変動なく進んでいく。47号車藤井はスタートから約20分が経過した11周目には、2番手の99号車フォスターに対し、2秒ほどのギャップを作っていた。

 25分のピットウインドウオープン直前、2番手を走る99号車に対して100秒間のストップ・アンド・ゴー・ペナルティが発出される。777号車との接触の非があると判定された形だ。フォスターは14周完了時点でピットにマシンを向け、ペナルティを消化した。フォスターは1周おくれとなり、カーガイの後ろでコースに戻った。

 ピットクローズ目前の21周目、藤井は3.2秒ほどのリードを築いてピットロードへ。その後ろも6番手までのマシンが続々とピットへ飛び込んでくる。ピットアウト時、上位勢の順位は変わらず、トップにDステーション47号車の星野、以下スタディ5号車山口、ポルシェセンター岡崎の30号車ポルシェ911 GT3 R(永井宏明/上村優太)の永井、トリプルエイトJMR888号車(H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/J.ジャファー)のイブラヒムと続くオーダーに。

 星野は2番手以下に対するリードをじりじりと広げていく一方で、山口と30号車永井による2番手争いは接近戦となる。しかし、残り12分というタイミングで追う永井がアトウッド立ち上がりでアウト側のグリーンにマシンを落とし、2秒ほどロスを喫する。

 残り1分、コメット・レーシング7号車ホンダNSX GT3 Evoと接触したAMACモータースポーツ51号車ポルシェ911 GT3 Rが最終コーナーアウト側のグラベルにスピンアウト。だが、レースはダブルイエロー対応で続行された。

 Dステーション・レーシングは38周を走破し、トップチェッカー。星野/藤井組はSUGOでの第8戦に続き、今季2度目の優勝となった。2位にはスタディ5号車、3位には最終盤に888号車イブラヒムの猛攻をしのいだポルシェセンター30号車が入っている。

 後方では終盤、ラップダウンの争いのなかで、777号車木村に99号車イブラヒムが接近。ダブルヘアピンひとつめのブレーキングで、イブラヒムがコースアウトしかかるシーンもあった。2台は総合13位、14位でフィニッシュしている。

 この結果、GT3ドライバー選手権のオーバーオールのランキングで3ポイントのリードを保って最終戦を迎えていた木村/コッツォリーノ組がタイトルを獲得することとなった。一方、GT3プロ/アマドライバー選手権は、99号車の2名の手に渡っている。

2022GTWCアジア第10戦岡山を制したDステーション・レーシングの星野敏/藤井誠暢組
2022GTWCアジア第10戦岡山を制したDステーション・レーシングの星野敏/藤井誠暢組
1周目の接触のあと、左のサイドミラーがない状態でレースを続行したカーガイ・レーシング777号車
1周目の接触のあと、左のサイドミラーがない状態でレースを続行したカーガイ・レーシング777号車
GT3プロ/アマドライバー選手権を制したトリプルエイトの99号車陣営
GT3プロ/アマドライバー選手権を制したトリプルエイトの99号車陣営

 GT3アマクラスは濱口弘/大蔵峰樹組リープ・フューエリング・アンビションズ19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoが制した。

 GT4シルバー/クラスはポールポジションスタートのチームGMB33号車メルセデスAMG GT4がレースをリードしたが、最終ラップにGTOレーシングチーム14号車メルセデスが迫り、2台が並んでフィニッシュ。なんと1000分の1秒という差で、ブライアン・リー/安岡秀徒組14号車が大逆転勝利を遂げ、シリーズタイトルも獲得している。GT4アマクラスは、アキランド・レーシングの71号車トヨタGRスープラGT4(大山正芳/植田正幸)が制した。

 当初最終ラウンドとして予定されていたインドネシア・マンダリカでのイベントがキャンセルされたため、GTWCアジアの2022年シーズンはこれで全日程を終了。6ラウンドから成る2023年のカレンダーはすでに発表されており、来季は5月にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで開幕を迎え、その後日本で4ラウンドを開催、最終戦をマレーシアのセパンで行う予定となっている。

■GTワールドチャレンジ・アジア第5ラウンド岡山 第10戦決勝暫定結果

Pos. No. Cat/Class Team Car Driver Gap
1 47 GT3 Pro-Am* Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢 38Laps
2 5 GT3 Pro-Am* プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 1.268
3 30 GT3 Pro-Am* ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R 永井宏明/上村優太 7.457
4 888 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 Evo H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/J.ジャファー 7.921
5 18 GT3 Silver AASモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R K.クシリ/T.サティエンティラクル 9.826
6 27 GT3 Silver ヨギボー・レーシング フェラーリ488 GT3 横溝直輝/藤波清斗 33.044
7 19 GT3 Am* リープ・フューエリング・アンビションズ ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo 濱口弘/大蔵峰樹 34.709
8 8 GT3 Pro-Am EBMギガ・レーシング ポルシェ911 GT3 R S.サントソ/R.ハーカー 35.385
9 2 GT3 Am* チーム・ウエマツ マクラーレン720S GT3 植松忠雄/内田優大 1’02.169
10 44 GT3 Am* ビンゴ・レーシング コルベットC7 GT3-R BANKCY/武井真司 1’28.235
11 7 GT3 Am* コメット・レーシング ホンダNSX GT3 Evo 山﨑裕介/辻子依旦 1Lap
12 777 GT3 Pro-Am* カーガイ・レーシング フェラーリ488 GT3 木村武史/ケイ・コッツォリーノ 1Lap
13 99 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 Evo H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/N.フォスター 1Lap
14 16 GT3 Pro-Am* ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 小泉洋史/澤圭太 1Lap
15 96 GT3 Pro-Am* Kチューンズ・レーシング レクサスRC F GT3 野上昌範/新田守男 1Lap
16 14 GT4 Silver-Am GTOレーシングチーム メルセデスAMG GT4 B.リー/安岡秀徒 3Laps
17 33 GT4 Silver-Am* チームGMB メルセデスAMG GT4 羽田野宏明/細川慎弥 3Laps
18 60 GT3 Pro-Am* LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 3Laps
19 71 GT4 Am* アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/植田正幸 3Laps
20 51 GT3 Am AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 4Laps
21 17 GT4 Silver-Am* クレフモータースポーツ マクラーレン570S GT4 YUKO/井上雅貴 4Laps
22 4 GT4 Am* コメット・レーシング メルセデスAMG GT4 坂井一裕/藤井正明 5Laps

*=JapanCup
※リザルトは編集部集計

2位に入ったプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの5号車BMW M4 GT3
2位に入ったプラス・ウィズ・BMWチーム・スタディの5号車BMW M4 GT3
3位に入ったポルシェセンター岡崎の30号車ポルシェ911 GT3 R
3位に入ったポルシェセンター岡崎の30号車ポルシェ911 GT3 R
GT3アマクラスを制したリープ・フューエリング・アンビションズの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
GT3アマクラスを制したリープ・フューエリング・アンビションズの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
1000分の1秒差で決着したGT4カテゴリーのトップ争い
1000分の1秒差で決着したGT4カテゴリーのトップ争い
GT4アマクラス 暫定表彰式の様子
GT4アマクラス 暫定表彰式の様子