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 子どものころからの夢であった世界最高峰の舞台へデビューを果たした長島哲太(HRCチーム)。開発ライダーとして走り込んでいる、モビリティリゾートもてぎならば、フリープラクティス1で上位に進出できる可能性があるのでは? という思いもあったが、現実はここまで15レースを戦ってきたレギュラーメンバーたちとの“レース感”の差があることを感じることになった。

 日本GP、2日目は雨に見舞われ長島は1分57秒229をマークし19番手。

「初めてMotoGPで雨を走って、難しいところがたくさんありましたし、まだまだ詰め切れていない部分がありした。その中で順位は満足いくものではないのですが、感触は悪くないです。もっと、うまくまとめることができれば、もう少し前に行くことができたと思うと悔しさもありますね」

長島哲太(HRCチーム)/2022MotoGP第16戦日本GP
長島哲太(HRCチーム)/2022MotoGP第16戦日本GP

 初めてRC213Vをウエットコンディションで走らせたが、マルク・マルケスと一緒に走る機会もあった。マルクがポールポジションを獲ることになるのだが、その走りを間近で見て、映像でも見て、そのすごさを感じた。

「2日目も貴重な経験ができたと思いますし、ライディング面、スキル面で足りない部分がたくさんあるのが分かったので有意義な一日になりました。マルクのブレーキングでのリヤの出し方は、特に印象的でした」

「Moto2のダンロップだと勝手にリヤが出てしまうのですが、ミシュランだと、すごく難しい。うまくコントロールしながらスピードを乗せてコーナーに入っていくのを見たときに“あぁ、そこまで操れるんだ”と思いました。自分は、まだ、そのスピード領域で同じことをできる余裕がないので、スピードの感じ方やライダーが動く仕事量の多さが全然違うことを一緒に走って感じました」

マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)/2022MotoGP第16戦日本GP
マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)/2022MotoGP第16戦日本GP

 同じマシンを駆るエースライダーのすごさ、何度もチャンピオンを獲得してきたライダーのすごさを、まざまざと見せつけられた。そんな走りを少しでも吸収しようと長島は気持ちを切り換える。

「レース前はシングルフィニッシュは、いけるかな? と思っていましたが、いざ蓋を開けて、FP1を終えて見ると“さすがだな”と思いました。テスト時の自己ベスト付近で走っても全然かなわない。3年振りに走っても、最初から、こんなに速く走るだって驚きもありましたし、ここをよくすればというのも分かったので、修正して決勝に挑みたいですね。レースは長いので、後ろでしっかり他のライダーの走りを見て勉強したいです」

長島哲太(HRCチーム)/2022MotoGP第16戦日本GP
長島哲太(HRCチーム)/2022MotoGP第16戦日本GP

 レーシングライダーとして、もっと成長することがマシンを開発することにも生きHRCへの恩返しになる。

「トップライダーとスキルがかけ離れていると開発も進んでいかないですし、自分自身も、もっと(MotoGPの)現場のことを肌で感じて理解し経験値を上げることが、今後の開発にプラスになりますし、今回ワイルドカードで出た意味があると思います」

「ポイントを獲ることができれば上出来でしょう。レースを楽しむことを忘れずに、世界最高峰で臆することなく全力で頑張ります」