元トロロッソのF1ドライバーであるハイメ・アルグエルスアリは、レッドブルの育成ドライバーの頃に経験したトラウマが今も残っていることから、「とても奇妙な」夢を見るといい、そのなかには怒ったヘルムート・マルコが出てくることもあるという。
2009年、レッドブル・ジュニアチームの一員だったアルグエルスアリはフォーミュラ・ルノー3.5シリーズに参戦していたが、マルコに突然呼び出され、セバスチャン・ブルデーの代わりにトロロッソからハンガリーGPでF1デビューを果たすことになった。たった19歳と125日でアルグエルスアリは、F1史上最も若いドライバーとして、ハンガロリンクのグリッドに並んだのだ。
トロロッソには2011年まで在籍し、その間の2度の7位フィニッシュが、F1におけるアルグエルスアリのベストリザルトだった。アルグエルスアリはチームメイトだったセバスチャン・ブエミに引けを取ってはいなかったものの、残念ながら彼の成績はモータースポーツのエリートたちとレースを続けるのに十分なものではなかった。
2014年にフォーミュラEに参戦した後、モータースポーツでのプロとしてのキャリアに突如終止符を打ったアルグエルスアリは、DJとして音楽への情熱に没頭していった。
スペインの『El Confidencial』による最近のインタビューでアルグエルスアリは、「何年にもわたってレッドブルの支援を受けられて幸運だった」と認めているが、振り返ってみると、2009年のハンガリーGPでトロロッソにブルデーの後任として選ばれるには若すぎたし経験不足だったと感じているという。
「ノーとは言えない。またいつチャンスがあるか分からないからね」とアルグエルスアリは説明した。
「レッドブルはある意味両親のようなものだと感じている。彼らはレースのキャリアにお金を出してくれるし、決断をしてくれる」
しかし親が怒ったり非難の矛先を向けたりすると、子供が怯えたり震えたりするように、アルグエスアリも、F1で多くのドライバーのキャリアを左右してきた人物であるヘルムート・マルコに険しい様子で不満を表明されると震え上がった。F1からの引退を余儀なくされて10年以上が経った今でも、アルグエルスアリはレッドブルから拒絶された痛みを心の底で感じるという。
「実は、眠っていると当時のとても奇妙な夢を今でも見る」とアルグエルスアリは語った。
「特に達成できなかった時の無力さやフラストレーションについてだ。マルコはいつも怒っていて、僕たちのことを叱りつける。まるで僕たちが子供であるかのようにね」
「このことはトラウマになっている。ブエミや他の多くのドライバーたちも同じ思いをしてきたと思うよ」
「僕はこのことを消すことができていない。セラピーを受けた。引退した時に何人かの心理カウンセラーの世話になったんだ。それでも奇妙なことが今でも頭をよぎる」
「時々泣きながら目を覚ます。素晴らしいラップを走った夢だったのに、マルコは怒った顔をしているんだ」
インタビューを受けたアルグエスアリはその後自身の公式ツイッター(@SquireMusic)を更新し、マルコに出会えたことについて感謝しており、彼は自分にとって先生のような存在であると述べた。
「ヘルムート・マルコについてはっきりさせたいことがある。15歳の時に彼に出会えたことに深く感謝している。ヘルムートは僕の先生であり、常に自分を前へと押し上げることを要求してきた。それがジュニアチームのシステムであり、機能していた」
「レッドブルとヘルムート・マルコにはこれ以上ないほど感謝している。彼らは僕に規律、献身、ハードワークの方法を教えてくれて、それが僕の人生や音楽における他のゴールに到達する手助けになったからだ。レッドブルのなかにいなければ、今の自分はいないと100%確信している」
「F1でも、サッカーでも、ラグビーでも、ゴルフでも、最高レベルで競争するときは、より高いパフォーマンスを求めて非常に厳しい心が必要だ。たとえ勝ったとしても、レッドブルはもっと高く、もっと高く、もっと高くと要求してくる」