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 バス事業者名に付く、業態を表す説明語で最も多いのは「○○バス」だ。反対に使われる機会が少なく超ユニークとも取れる説明語には、どんなものがあるだろうか? 657事業者をサンプルにレアな名称を探る!!

文:中山修一
写真:中山修一/バスマガジン編集部


(A)○○交通部:3事業者

 657事業者のうち「交通局」が付くバス事業者は13ある。「交通部」もまた交通局に性質がよく似た公営のバス事業者だ。

 青森県青森市の青森市企業局交通部、八戸市交通部、大阪府高槻市の高槻市交通部がそれに該当し、いずれも市内を結ぶ一般路線バスを運行している。

 正式な事業者名こそ交通部であるが、いずれもバス自体は「市営バス」の通称で呼ぶほうが一般的となっている。車体に書いてある表記は「○○市営」だ。

(B)○○電気軌道・○○高速電気軌道:各1事業者

 「電気軌道」が付く限り電車を走らせていそうな説明語である。鉄道でなく軌道であるのは、その事業者が運営している電車の路線が、軌道法に基づくか鉄道事業法に基づくかの違いだ。軌道と言うと路面電車のイメージが特に強い。

 まずは北海道の旭川電気軌道。路線バス・貸切バスの事業者であるが何故か電気軌道を説明語に据えている。これは元々、電車を使った軌道線の事業を行うために設立された会社であった名残だ。

旭川市内を手広く結ぶ旭川電気軌道の路線バス

 軌道線は1973年に廃止されている。市街地の道路に敷かれた軌道上に至るまで、普通の電車と変わらない大型の車両で運行していたのが特徴であった。

 一方、大阪府にあるのが大阪市高速電気軌道だ。実は2017年に発足した新しい会社で、「Osaka Metro」の愛称で言うと分かりやすい。

 旧大阪市交通局から引き継いだ地下鉄と新交通システムを運営しており、一部の路線が軌道法に基づいている。基本的には軌道と鉄道の事業者であるが、大阪シティバスに委託する形でバス事業を行っている。

(C)○○トランセ:1事業者

 かなりユニークな説明語が「トランセ」だ。こちらは東急バスの子会社である東急トランセが採用している。

 トランセとは、英語のトランスポート(Transport)をフランス語調に見立てた造語。一般名詞ではないため、どちらかと言えば説明語よりも固有のブランド名である。

 東京都区内の一部路線バスや高速バスなどを運行している。一般路線バスの車体にはトランセのロゴステッカーが貼られており、東急バスとほぼ同じ塗装でも区別が付けられる。

カラフルな車体の東急トランセの高速バス向け車両

 ちなみに、千葉県を本拠地に置く複数のバス会社を統括する会社に、ビィー・トランセホールディングスがある。

(D)○○ジャストライン:1事業者

 非一般名詞タイプの説明語で印象深いものに「ジャストライン」が挙げられる。こちらは静岡県にある静岡鉄道の子会社・しずてつジャストラインの社名にしてブランド名だ。

 ジャストラインの由来は、「ジャスト(正確に、きっかりと)に、お客様をお届けできるライン(線、路線)を目指し、静岡鉄道グループの中核企業として、ひらがなで「しずてつ」を冠に配したもの」となっている。

 主に静岡市内の路線バスをはじめ、高速バスや貸切バスの運行も取り扱うバス事業者だ。

(E)○○BRT:1事業者

 バス車両を使用した高速輸送システムのことをBRT(Bus Rapid Transit)と呼ぶ。このBRTを説明語に据えた事業者が、東京都の東京BRTである。

 2019年に設立された新しいバス事業者で、2020年10月にプレ運行の形で虎ノ門ヒルズ〜新橋〜勝どき〜晴海を結ぶ路線が開業した。今後も路線数を拡充させる予定とのこと。

連接バスが投入されている東京BRT

 2022年現在のところ高速バス等の取り扱いはなく、BRT専業となっている。バスの運転は京成バスが担当している。

 浸透度の高い一般名詞で手堅く決める事業者から創意工夫を凝らす事業者まで、「説明語」の使い方も種々様々だ。

投稿 レアな方が目立つってマジ!? バス事業者名の極少数派な“説明語”5選自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。