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 人は端っこが好き。端を象徴にしたり記念にしたり、端をテーマにした話題作りは豊かな生活に欠かせない。特にポピュラーである端ネタと言えば東西南北。鉄道では「駅」を東西南北端っこのランドマークに据えるのが定番で、趣味的にも訪れてみたい場所によく選ばれる。

 東西南北端にある鉄道駅が興味関心の対象となれば、同じ公共交通機関であるバス停留所の東西南北も気になってくるもの。東西南北最端のバス停はどこにあるのだろうか?

文・写真:中山修一


最北最東は北の大地に

 最北端のバス停は北海道にある。国道238号線上、最北の地を冠する観光名所として知られる宗谷岬の観光エリア内に停留所が置かれている。停留所名は地名と同じ「宗谷岬」。

 宗谷岬バス停は、最北の路線バス会社である宗谷バスが運行する、稚内〜音威子府間を結ぶ「天北宗谷岬線」の経由地のひとつだ。

 現地バス停の様子はどうなっているかと言えば、最北端を示すような装飾は特に施されていないようで、円い板に停留所名が書かれた、いわゆるバス停のポールのみが立ててある。

日本最北端のバス停がある北海道の宗谷岬へは稚内駅からアクセス可能

 最東端のバス停もまた北海道。根室から先の道道35号線・納沙布岬の観光エリア内に停留所があり、名称は地名と同じ「納沙布岬」だ。

 こちらは最東の路線バス会社である根室交通が運行する、根室〜納沙布岬間を結ぶ「納沙布線」の停留所(終点)となっている。

 宗谷岬と同様、現地の停留所周辺には最東端を記念するモニュメントや掲示はないようで、ごく普通のバス停留所の佇まいだ。

舞台は一挙、南の島へ!

 北と対極をなす南のバス停留所を目指すには、一気に海を越える必要がある……沖縄県の西表島だ。

 西表島唯一の幹線道路である県道215号線を南下、県道の終端近くまで向かった場所に位置する「豊原」停留所が、日本最南端のバス停にあたる。

 豊原停留所は、やはり最南端ということで最南の路線バス会社である西表島交通が運行する、豊原〜白浜間を結ぶ路線の停留所の一つで、バスの終点/始点でもある。

 現地には始点方向にのみ木製の停留所看板とベンチ、上家(屋根)が建てられており、看板には「日本最南端のバス停」を示すプレートが掲げられている。

日本最南端のバス停である西表島の豊原停留所

2カ所ある?最西端のバス停

 最南端が沖縄県なら、最西端もまた沖縄県で決まり。更に海を渡った与那国島に最西端のバス停が待っている。

 与那国島内を半周するような形で敷かれた県道216号線を西方向に進んだ、久部良(くぶら)漁港のすぐ近くに置かれた「久部良港」停留所が、これより先はない正真正銘・西の端のバス停だ。

 久部良停留所は、もちろん最西の路線バス会社となる最西端観光が委託運行する「与那国生活路線バス」の経由地の一つになっている。

 現地には最西端を記念する掲示物は特に見られないようで、小型の停留所看板を使った簡易タイプのバス停といった印象だ。一方で、西表島の豊原の反対側にある「白浜」バス停にも日本最西端の掲示がある。

 与那国島のほうが西にあるのは地図を見れば一目瞭然だが、実は与那国島の路線バスは無料で利用できるため、有償/無償で区別をつけるなら、有償路線バスとしての最西端バス停は西表島の白浜になる、というわけだ。

 東西南北最端のバス停…北と東は北海道、南と西が沖縄という超両極端な結果となった。

 最北端の宗谷岬から〜最西端の久部良港まで、距離にするとその差は驚きの3,500km! 一括りにバス停と言っても、キロメートルで見ればまるで別世界に感じるほど離れているのだ。つくづく日本は縦に長いと実感させられる。

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