F1第20戦メキシコGP2日目、レッドブルにとっての最大のライバルは、フェラーリではなく、メルセデスだった。
予選前のフリー走行3回目でジョージ・ラッセルがトップに立ち、ルイス・ハミルトンが2番手につけたメルセデス。その速さは予選に入っても衰えることなく、Q1はハミルトンがトップ通過。Q2もハミルトンがトップ、ラッセルは3番手と好調な走りを披露していた。
Q3でもラッセルは、1セット目のタイヤでのアタックでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からわずか0.132秒差の2番手につけ、ポールポジション争いをしていた。しかし、最後のアタックでは5コーナーでオーバーステアに苦しみ、バックストレートエンドの12コーナーでコースをはみ出してタイムを抹消され、最後のアタックで自己ベストを更新したがコンマ3秒以上の差をつけられて、2番手に終わった。
なぜ、レッドブルとフェルスタッペンは、メキシコGPの予選で苦しんだのか。
「フリー走行3回目は曇り空だったが、予選は青空が広がって路面温度が上がったためにちょっとトリッキーなコンデションとなった。だから、みんなグリップ不足に陥って、タイヤがスライドし、自分のリズムでアタックするのが難しかった」とフェルスタッペンは振り返る。
そのフェルスタッペンが自分のリズムをつかんだのは、マシンのわずかな修正だ。
「もちろん、予選が開始されてコースインした瞬間から、セットアップの変更は許されない。でも、何もできないわけじゃない。許される範囲内でセッション中に変更することはできる」と言うフェルスタッペンは、ステアリングホイール上のダイヤルを動かして、Q1からQ2にかけて、マシンに微調整を加えた。こうして、Q3で「ようやくいいバランスを見つけることができたと思う」とQ3の1回目のアタックで加えた変更が正しいことを確認したフェルスタッペンは、Q3の最後のアタックでいつもように思い切ったプッシュを開始することができた。
さらにフェルスタッペンは自分のドライビングにも修正を加えていた。
「タイムを少しでも刻むために縁石の乗り方を変えた。たとえば、2コーナーや3コーナーでは、多くのドライバーがアグレッシブに縁石に乗り越えていたので、それを取り入れた。最後のセクターも、縁石を使わなければ速く走れないので、縁石への当たり方を工夫しながらアタックしていたよ」
日本GPでドライバーズチャンピオンに輝いたフェルスタッペンは今回このメキシコGPで、全面金色を使用したゴールドヘルメットのデザインを採用している。この金色には22金の金箔を貼っているという。まさに王者の走りでメキシコGP自身初ポールポジションを獲得した。