【中野信治のF1分析/第19&20戦】メルセデス復調の背景。好調の今だからこそ伝えたい角田裕毅への厳しい提言

3年ぶりに開催されたF1日本GPでマックス・フェルスタッペンのドライバーズチャンピオンが決まった2022年シーズンのF1シーズン。タイトルが決まったとはいえ、ランキング2位以下の戦い、
そして2023年に向けて、チームもドライバーはまだまだアツい戦いを繰り広げています。日本期待の角田裕毅の2年目も集大成を迎えるなか、ホンダで若手育成を担当する元F1ドライバーの中野信治氏が独自の視点で振り返ります。今回は第19戦アメリカGP、そして第20戦メキシコGPの2連戦を総括。期待の高い角田だからこそ、メキシコでの接触リタイヤについて中野氏が提言します。

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第19/20戦】僚友とは対照的に落ち着きが出てきた。重要な来季に向けさらに成長を

 2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第19戦アメリカGP、第20戦メキシコGPについて振り返ってもらった。

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 まだ今年のシーズンが終わっていなかったというのは本当か? いったい何レースあるのだ。え、「まだたったの20戦しかやってない」だって? 「たったの」ではないと思うぞ。20戦でも十分多すぎる。そのうえ、まだあと2戦あると? こんなスケジュールに適応しなければならないとは、今のドライバーたちは本当に気の毒だ。

ピアストリ、2023年のF1デビューを前に、マクラーレンでの初テストを完了

 2023年にアルピーヌからマクラーレンに移籍し、F1にデビューすることが決まっているオスカー・ピアストリが、マクラーレンでのF1テストを行ったと、フランスメディアが伝えた。

 ピアストリは今年の12月31日まではアルピーヌとの契約下にあり、契約終了期間が短縮されるかどうかについては明かされていない。しかし先週半ば、フランスのポール・リカールでマクラーレンの2021年型マシンにより、2日間にわたるテストを行ったようだ。

「F1における史上最高のドライバー」ガスリーがアロンソを称賛。アルピーヌF1加入への期待も語る

 2023年シーズンはアルピーヌF1に加入するピエール・ガスリー(アルファタウリ)は、自身の前任者であるフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)について「F1における史上最高のドライバー」と、その実力を称賛した。

フェルスタッペン、ダメージ回避が最優先のF1スプリントレースを好まず「僕にとっては本当のレースではない」

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1のスプリントを好んでいない。30分間の猛ダッシュのレースはまず何よりダメージを避けることが重要なため、フェルスタッペンは「本当のレースではない」と主張している。

 F1は2021年シーズンに、土曜日の午後にグリッド順を決めるスプリントのトライアルを行い、今年も3戦で実験を継続することを決めた。2回のイベントは今年前半にエミリア・ロマーニャGPとオーストリアGPで開催され、3回目にして最後のスプリントレースは、今週末のインテルラゴスで開催される。2023年には、F1はこのフォーマットを6カ所のサーキットで行う予定だ。

【F1第20戦無線レビュー】フェルスタッペンの新記録樹立にレッドブルも歓喜「1年でこんなに勝ったのは初めてだ」

 2022年シーズンのF1は、すでにマックス・フェルスタッペンがドライバーズタイトルを、レッドブルがコンストラクターズタイトルを決め、選手権の決着はついている。しかし第20戦メキシコGPでは、フェルスタッペンのシーズン最多勝利記録の更新がかかっていた。そんなメキシコGPを無線とともに振り返る

レッドブルで才能あるドライバーの発掘・育成を務めるヘルムート・マルコ。自身への“冷酷”という評判を気にせず

 レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンのように、キャリアの非常に早い段階で未来のドライバーの才能を発掘し、育成することで高い評価を得ている。

 ふたりともレッドブルの若手育成プログラム出身だ。しかし、同時に将来のスターを特定するということは、見込んだドライバーがトップレベルに到達しそうにないタイミングを見極めることでもある。マルコには多くの悪い知らせをドライバーに伝える責任があり、伝える相手は、子供がF1へのはしごの1段目を登るのを助けようとしているドライバーの両親である場合も多い。

F1ドライバーらがパドックに入るファンとの間にガイドラインを求める「境界もあってしかるべき。敬意ある行動が必要」

 マクラーレンのダニエル・リカルドを含む多くのドライバーによると、近年世界中でF1人気が高まるなか、パドックでの問題も大きくなっているという。

 F1は、インディカーやNASCARなどのより一般大衆向けのシリーズと比べて、ドライバーとファンの間に大きな距離を置いていると批判されていたものだった。元F1のCEOであるバーニー・エクレストンは、レース経営に直接関与していない人物にパドックパスを配ることはほとんどなく、F1は「ハンバーガー店ではなく、ミシュランの5つ星レストランだ」と明言していた。

ベッテル、F1最終戦アブダビGPに向けファン1000人のポートレートをあしらった特別ヘルメットを用意

 今シーズン限りでF1を引退するアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは、最終戦アブダビGPで特別なヘルメットを用意するという。

 ベッテルは、11月18〜20日の最終戦アブダビGPでF1での人生に幕を下ろす。しかし4度の世界チャンピオンであるベッテルは、グランプリドライバーとしての最後のレースをどこで終えるかにかかわらず、前向きな形でグリッドを去りたいと考えている。