2022年F1シンガポールGPの土曜予選で、レッドブルのマックス・フェルスタッペンはQ3終盤、燃料不足のためアタックラップを諦めなければならず、8番手に沈んだ。
ウエットから路面が乾いていくコンディションのなか、Q3ではほぼ全員が最初からソフトタイヤに履き替えてアタックした。ソフトタイヤで走り続けたフェルスタッペンは、終盤のラップで、セクター1、セクター2と最速タイムを出した後、セクター3でタイムを落とし、その後、路面が最もドライの状態の最終盤の1周にすべてをかけようとするが、突然チームの指示により、そのラップを走り終えることなくピットに入った。そのため、フェルスタッペンは、まさかの8番手に終わった。
このラップを走り切っていればポールポジションの可能性が大いにあったため、フェルスタッペンは激怒し、無線で「なぜだ? 何を言っているんだ? 信じられない」と叫んだ。この時にはチームは「後で説明する」と述べたのみだった。後から明かされたところによると、予選後に採取される燃料サンプルの量が十分に残らない可能性があったことが理由だったということだ。
チームはフェルスタッペンの最後の2周について次のように説明している。
「(最後から2周目に)マックスは最初のふたつのセクターでパープルタイム(全体の最速)を記録し、(トップの)フェラーリにチャレンジできる見通しだったが、最終セクターでペースを落とさなければならなかった。残り数秒のところで最後のラップに入ることができたため、もう一回チャンスがあり、ミドルセクターでは自己ベストタイムを出していたものの、マックスはピットに呼び戻された」
チーム代表クリスチャン・ホーナーは、予定よりも1周多く走ることになり、燃料不足が心配されたため、ペナルティを受けてピットレーンからスタートする事態を避けなければならなかったと語った。
「路面が改善するなか、走れるのは最大で5ラップだと考えていた。だが、フライングラップに際し、燃料が限界に近づいていた。(ペナルティにより)ピットレーンからのスタートになるよりは、フライングラップを断念することを選んだ。それはマックスにとってもチーム全員にとっても、フラストレーションのたまる判断だった。これにより彼は8番手まで落ちてしまったが、それでもピットレーンスタートよりはいい」
「厳しいレースになるけれど、今シーズンのF1マシンならオーバーテイクが可能なので、何事も諦める必要はない。まだここからたくさんのことをかけて戦うことができるし、この状況を好転することができると確信している」
ホーナーは『Sky Sports』に対し「我々のミスだ」とも述べていた。
■マックス・フェルスタッペン(オラクル・レッドブル・レーシング)
FP3 2番手(1分58秒308:インターミディエイトタイヤ/12周)
予選 8番手(Q1=1番手1分53秒057:インターミディエイトタイヤ/Q2=3番手1分52秒723:インターミディエイトタイヤ/Q3=8番手1分51秒395:ソフトタイヤ)
僕たちはプッシュラップを最後まで走り切ることができなかった。マシンに十分な燃料が残っていなかった可能性があったからだ。セッションのなかでそのミスに気付かなかった。
終盤追加の1周を走ることに少し驚いた。そうなることを予想していなかったんだ。良いラップを走っていたけれど、最後のラップをスタートする前に断念した。ポールを取れたかもしれないラップだった。
今思えば、最後から2番目のラップをしっかり走り切っておくべきだった。僕は終盤の2ラップを断念しなければならなかったんだ。でも後からあれこれ言うのは良いことではない。
明日何ができるかを見ていくつもりだが、フラストレーションがたまるレースになるだろう。このサーキットで8番手からスタートというのは、モナコと似たような状況になる。オーバーテイクのチャンスはあまりないし、追い越しがとても難しいコースなんだ。
(『Sky Sports』に語り)ラップに良い感触を持っていたのに、アタックを中断しろと言われた。最後のラップでピットに戻れと言われたんだ。それで何が起こるのかが分かった。燃料が足りなくなっていたんだ。信じられないほど悔しい。あってはならないことだ。燃料が足りなくなりそうで、6周走る予定を立てている場合には、少なくともセッションの間、そうならないようにチェックするものだ。もっと早い段階で状況を把握しておくべきだった。このことに不満を持っている。
もちろん、F1はチームで戦うものだ。僕がミスをする可能性もあるし、チームがミスを犯す可能性もある。でもこのことは決して受け入れられない。もちろんこの経験から学ぶことはできるだろうが、正直言って、ひどいことだ。決して起きてはならないことだよ。