全日本スーパーフォーミュラ選手権は10月29日、鈴鹿サーキットで第9戦の予選・決勝が行われ、5番グリッドスタートの笹原右京が今季2勝目を飾った。2番手に野尻智紀が続き、TEAM MUGENのチームタイトル獲得、そして野尻のドライバーズタイトル2連覇が決する一戦となった。
決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、第9戦予選・決勝に挑んだドライバーたちの声をお届けする。
■大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)予選3番手/決勝4位
専有走行トップから予選ではセカンドロウ3番手を獲得し、好調と思われていた大湯。しかし、決勝ではペース不足に悩まされることとなった。
「序盤からずっとペースはもう(上がらなくて)。というか、走る前からちょっと(ペースが)駄目だろうなというのはありました。予選は一応3番手でしたけど、ロングランは相当だめだろうなと。ただ、なんとか4位を死守できたので、よかったです。ただ、普通に考えたらポイントも取れないレベルのペースしかなかったので、厳しいですね」
大湯は優勝した笹原右京(TEAM MUGEN)と同じく10周終了時点でピットに入った。そのタイミングでのピットインもペース不足が理由だったと明かす。
「そのタイミングしかなかったと自分で判断しました。おそらく僕に合わせてTEAM MUGENのどちらかは早めに入るだろうなとか、いろいろありましたけど。あの判断自体は間違ってなかったと思っています。あそこじゃないとペースが悪くて、どうにもならないという状況になりかねなかったので。あれはあれでよかったかなと思っています」
第10戦に向けて、課題となったペース不足の原因解析と対策を行うという大湯だが、その見通しは厳しい。
「正直、すぐにTEAM MUGENや他チームのペースまで上げれるかと言えば、そんないい話はないので。少しでも、今日で言えば終盤に佐藤蓮(TEAM GOH)選手に抜かれましたけど、そんな状況でもギリギリでもいいから抜かれないペースがほしいですね。なんとか抑えきれるくらいの……」
■関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)予選7番手/決勝6位
前戦ウイナーの関口雄飛は専有走行が行われた金曜日に「感触は今年の中で一番良いです」と語っていた。しかし、予選は7番手、決勝も序盤からバトルを繰り広げるも6位という結果に終わった。
しかし、関口は第9戦終了後も「今日も最高でした」と口にした。
「ただ、Q2は少しミスもあったので。そのミスがなければ3、4番手には行けたと思います。ただ、正直ホンダ勢が速いなというのはありますね」
マシンに手応えを感じていた関口。Q1からQ2へもほとんどセッティングを変える必要もなかったという。
「でももともとQ1でオーバー(ステア気味)だったので、そのまま触らなければ路面(の変化によりニュートラルに近づくの)でタイムは上げれたはずですけど、(ミスもあり)少し足りなかったですね。ただ、セッティングはやはりよかったなと思います」
「決勝も順位はよくないですけど、クルマ的にはここ2、3年で一番よかったので。ただ早めにピット入ったことや戦略で目立ってないだけで、単独で走ればすごくいいクルマなので、明日も楽しみですね」
第9戦の戦略については「結果論ですが(宮田)莉朋選手について行った方がよかったなというのはありますね。ただ、それは結果論なので仕方がないです」と語った関口。
後悔よりも、明日の第10戦に向けての期待の方が大きいようだ。
「(第10戦に向けて)車高を0.5ミリ変えるとかそれくらいでいけそうで、こういうのは久々ですね。楽しみです」
■宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)予選2番手/決勝5位
予選では今季3度目となる2番グリッドを手にした宮田だが、スタートでポジションを落とし、4番手でレースを進めることになった。
「イン側グリッドの人たちが遅かったように思えます。後ろの坪井選手も、抜いてこなかったし。多分、アウト側の陽が当たっている場所は、フォーメーションラップからグリッドで待っている状態でタイヤが温まっていた部分もあるかもしれません」と、状況を分析する宮田。
トップ3台が早めにピットインしたのに対し、宮田はレース後半までピットストップを引っ張る作戦を選択。課題としていたレースペースに関してもポジティブな部分はあったが、ピットストップでの作業に手間取ってしまい、思わぬタイムロスを強いられた。
終盤は猛烈な追い上げを見せ、ファイナルラップに入るところでは大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)とサイドバイサイドのバトルをみせたが、一歩及ばず、5位でチェッカーを受けた。
「レースペースは悪くないのかなと思っていました。ずっと1分41秒中盤から前半で走れていたので、このまま走れれば3番手は獲れましたし、うまくいけば2番手という情報も聞いていたので、自分のそういうつもりで走っていました。自分の中で課題はレースペースだと思っていて、それを克服しようとやっていたので、そこは良かったのかなと思います」
「ただ、ピットストップに関してはSUGOでも、それで順位を失ってしまっているので……“3度目の正直”なんていらないんですけど、明日は僕もしっかりと良いレースをするので、ピットストップも今までで一番と言えるような出来に(チームと一緒に)したいなと思います」
■三宅淳詞(TEAM GOH)予選14番手/決勝12位
予選14番手からスタートした三宅。実はメディアセンターに設置されているタイミングモニターや、スーパーフォーミュラ公式サイトのライブタイミングでは、三宅がピットインしたという表示がついていなかったのだが、11周目にタイヤ交換を済ませたとのこと。
ピットアウト後はペースよく走行し、12周目には1分40秒056のファステストラップを記録し、その後も1分41秒台をコンスタントに刻むペースを披露したのだが、思うように順位を上げることができず、12位でレースを終えた。
「今回はレースペースに関しては本当に良かったですし、ファステストラップも取れました。(結果に関しては)結局クリーンエアで走れなかったのが大きかったです。ただ、集団の中で、あのタイムで走れていることを考えれば、決勝に関してはクルマのパフォーマンスは高いのかなと思っています」
「逆に予選のパフォーマンスが出し切れない部分がありますし、前回のもてぎからスタートのフィーリングが良くなくて、全然前に進まないという現象が今日も出ていました。タラレバですけど、あれがなければポイント圏内も見えていたのかなと思います。それは言っても仕方ないですし、明日もう1レースあるので、そういうところは直していきたいです」
ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得のチャンスがある三宅だが、第9戦では僚友の佐藤蓮が3位表彰台を獲得したことで、両者の差が7ポイントに広がってしまい「ちょっと厳しくなりましたね(苦笑)」と三宅。「そこは考えずに、もう一度表彰台に乗りたいなと思うので、良い結果を目指して頑張りたいなと思います」と、今季2度目の表彰台を目指し、気持ちを切り替えていた。
■坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)予選4番手/決勝8位
予選は4番手で復調を感じさせた坪井。金曜日に行われた占有走行から手応えを感じていたという。
「今年は専有走行では調子がいいことが多々あったのですけど、予選、特にQ2で伸び悩んで下位に沈んでしまうことが多かったです。なので、今回はQ1からQ2にかけて、しっかりとタイムを上げるということを意識して、セットアップも含めて準備しました」
「Q1はいつもどおりかなという印象だったのですけど、Q2は結構タイムを上げられました。トップには届かなかったのですけど、乗っているフィーリングもよく、非常にいい予選だったかなと」
しかし、好調の予選から一転。決勝は4ポジションダウンの8位でチェッカーを受けることとなった。
「決勝はスタートでちょっと出遅れました。イン側がみんな遅かったのかなという印象ですね。グリッドにいる間ずっと日陰だったので、それは少なからず影響していると僕は思っています。イン側の人たちがみんな出遅れていたので。その中でも悪くないない方だったとは思います。ただ、そこからのペースが正直悪くて。予選より決勝のペースに自信を持っていたので、決勝がこれだけ遅かった理由はこれから見つけないといけません」
ただ、第9戦の結果を大きく左右したのはレースペース不足だけではなかった。
「ピットに入ったのに、なにも準備されていなくて。それで結構タイムロスがありました。あれがなければ、少なくとも牧野(任祐/DOCOMO TEAM DANDELION RACING)選手の前でコース復帰できていたと思うので、もったいないレースでしたね」
なお、このタイムロスの原因について坪井は無線トラブルなどはなく「完全に意思疎通ができてなかったかな」と明かした。
「決勝のペースも悪いし、予選に関してもトップと比べると0.3秒くらいありました。明日はコンディションも今日とは違うと思いますし、いろいろ改善して、予選・決勝どちらも課題が少しずつ残っているので、それをしっかり克服して来年に繋がるような、走りがしたいと思います」
■阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)予選13番手/決勝10位
一方、阪口は予選13番手から決勝は10位と、まだ完全な復調とはいかない様子だが、その表情は明るい。
「1周目で3台抜いて、2〜3周目にも1台抜いてという感じで、順位を上げてレースを終えることができたので、そこはよかったかと思います」
「今年は苦戦して、特に鈴鹿は苦手意識があったのですけど、苦手の鈴鹿でもレースペースはあったので、そこはかなり進歩してると思います。ただ、予選でQ1落ちてしまったので、予選の一発はまだ詰めきれてないですね。そこは解決策というか、だいたいの傾向は見えているので、明日は一発決めてQ2行きたいと思います」
そんな阪口は第9戦で山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)と激しく1ポイントを争った。幾度となくポジションを入れ替えたが、10位を死守。第8戦もてぎに続いて今季3回目の入賞を果たした。
「山本選手とめちゃくちゃ入れ替わりがありました。OTSで僕が前に出ると、僕がOTSを使えないタイミングで山本選手に前にいかれて。今度は山本選手がOTS使えなくなると僕が前に出てみたいな。3回ほどそんな攻防がありましたね」
「結果的にギリギリ前で終えることができましたが、これまでのレースの傾向とタイヤの落ち具合とかが少し違っていました。戦略がうまくいかず、もう2つくらいポジションを上げられた可能性もあるので、そこは反省点です」