DTMドイツ・ツーリングカー選手権でレースディレクターを務めるスコット・エルキンスは、彼にとっての初年度となった2022年に、ドライバーと競技団が「互いに尊重しあう」ことができた、と語っている。
かつてIMSAでシニア・テクニカル・オフィシャルを務めていたアメリカ人のエンルキスは、すでに慣れ親しんでいたABB FIAフォーミュラE選手権でのレースディレクターとしての役割に加え、1年前にDTMのレースディレクターにも任命された。
エルキンスは、FIAへと移ったニールス・ヴィティヒの後任として、DTMのレースディレクターを務めた。ヴィティヒはマイケル・マシの元で副官として職務をこなした後、現在ではF1のレースディレクターを務めている。
慣れないドイツでDTMと、そのサポートシリーズであるDTMトロフィーのレースディレクターを務めたエルキンスは、最初のうちは環境に適応するための時間が必要だと感じたことを認めている。
「私が“水から出てしまった魚”であったことを考えれば、信じられないような一年だった」と彼は言った。
「DTMは初めてだし、ドイツ語は昔も今も全然ダメだけど、DTMファミリーのみんなに歓迎されたのは、本当にうれしかった」
「それは私が思っていたとおりのチャレンジだったし、私の観点からは、とてもうまくいったと思う」
「ドライバー、オフィシャル、そして私の間でお互いを尊重し合うことができたから、一緒に仕事をするのがずっと楽になったんだ」
エルキンスをはじめとするレースオフィシャルは、レース中のドライビング・スタンダード(基準・マナー)について、シーズンを通して何度も批判にさらされてきた。
ニコ・ミューラーは、16台がリタイアしたノリスリンクの土曜日のレース後、その状況を「ばかばかしい」と表現した。複数の接触に巻き込まれたレネ・ラストは、このシリーズが「もはやレースをするのが楽しくない」と主張した後、エルキンスと個人的にこの問題について話し合いたいとの意向を示していた。
「これはすべてのレースディレクターが対処しなければならないトピックであり、単に仕事の一部である」とエルキンスはドライビング・スタンダードの議論について語った。
「どのケースでも、どちらか一方は不満に感じるものだ。しかし、我々はできる限り公平に判断し、ドライバーやチームに対して、ドライビング・スタンダードの面で何が期待されているのかを、明確にしなければならない」
エルキンスは、今季の成果を来年につなげようと意欲を見せる。
「2022年に行ったことを継続し、これを延長することが必要だ」と彼は言う。
「レギュレーションの策定にドライバーやチームマネジャーを参加させ、全員が同じ考えを持つようにすることだ」
彼は、シリーズが1年を通して進歩した重要なポイントのひとつとして、トラックリミットの取り締まりを挙げ、シリーズがこの問題についての議論を鎮めることができたと主張している。
「正直なところ、それはすでに目立たないものになっていると思う」とエルキンスは言った。
「我々は、トラックリミット違反を自動的に抽出するカメラシステムの新しいテクノロジーに投資した」
「これにより、論争を少し落ち着かせた。このシステムでは、違反があったかどうかを白黒はっきりさせることができるし、ドライバーに写真を提供することもできる」
DTMはまだ2023年のカレンダーを発表していない数少ないシリーズの一つだが、4月に開幕する可能性が高いものと理解されている。