ウイリアムズのチーム代表であるヨースト・カピートは、アメリカ人ドライバーのローガン・サージェントのF1昇格を急がせてはいないと否定している。
フロリダ出身で21歳のサージェントは、イギリスF4選手権とフォーミュラ・ルノー・ユーロカップに出場経験がある。2019年にはカーリンからFIA F3選手権にステップアップし、その後はプレマやチャロウズ・レーシング・システムからレースに参戦した。
サージェントは2021年にウイリアムズのジュニアドライバーアカデミーに加入し、今年はカーリンに戻ってFIA F2選手権に参戦している。彼は現在、フェリペ・ドルゴヴィッチとテオ・プルシェールに次ぐランキング3位につけている。サージェントがシーズン最終戦のアブダビをその順位でフィニッシュすれば、2023年にF1に参戦するのに十分なスーパーライセンスポイントを得ることになり、ウイリアムズは現在そうした計画があることを認めている。
カピートは、サージェントF1昇格は早すぎるとか、アメリカ人ドライバーをグリッドに誕生させるというビジネス上の要求を満たすために急いでいるのではないかという指摘を退けた。
「F1にとってアメリカ人ドライバーがいることはよいことだ」とカピートは語った。
「だが我々はローガンがアメリカ人だからという理由でアカデミーから選んだのではない。彼のレースにおける経歴と成功から選んだのだ」
「F1への準備が整っている若いドライバーがいて、空いているシートがあるのなら、そのドライバーにシートを与えなければならない。そうでなければ、間違いを犯していることになる」
「そのようにして、これは正しいことだという結論に至った。ローガンがアメリカ人なのはうれしいことだが、それは決定の発端ではない」
サージェントは今年4回表彰台を獲得している。そのうちシルバーストンではプルシェールを2位に抑えて初優勝を飾り、1週間後のオーストリアでは、レッドブルリンクでエンツォ・フィッティパルディを制して優勝した。しかしサージェントはカート時代から主要な選手権でタイトルを獲ったことがなく、これほど早くF1入りするほどの経験を持っているのか、疑問の声も多い。
「私は自分の経験から、若手ドライバーを早い段階で起用する。それがそのドライバーを足止めせずに、ポテンシャルを見極める最善の方法だからだ」とカピートは反論した。
「今シーズンのローガンのように用意ができているドライバーがいれば、決断を下すことができる。ルーキーとして入り、レースで勝ち、予選でパフォーマンスを見せる。それがステップアップのための正しいやり方だ」
しかしながら現在のF2では、3人のドライバーがたった9ポイント差でサージェントを追いかけている。シーズン最終戦でまずいレースをすれば、サージェントはF1参戦資格を得るために必要なスーパーライセンスポイント(40ポイント)に届かない可能性もある。
チームはサージェントにフリー走行の機会を与えてポイントを得る手助けをしてきた。彼にとって残念だったのは、メキシコシティでの走行が赤旗中断のためにたった22周で終わってしまったことだ。そのため走行距離はポイントを獲得するのに必要な100kmに及ばなかったので、サージェントは必要なポイントを得るのに5位以上でF2をフィニッシュしなければならない。カピートは、サージェントがポイント不足となった場合、チームには次の手があると述べている。
「契約のないドライバーたちがいる。スーパーライセンスポイントを保持している非常に優れたドライバーはまだいるので、何も問題はない」
結局ニコラス・ラティフィをもう1シーズン留めるという選択肢もあるが、ミック・シューマッハーやニコ・ヒュルケンベルグといった名前も挙がっており、ヒュルケンベルグにいたってはハースの2番目のシート候補にもなっている。
元アルファロメオのドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィも可能性のある候補とみられている。しかしカピートは、サージェントの状況が何らかの形で解決されるまでは、「具体的なことや名前は言わない」と語った。