10月2日、スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)最終戦が行われ、ダイナミック・モータースポーツの54号車ポルシェ911 GT3 R(クラウス・バクラー/アレッシオ・ピカリエッロ/マッテオ・カイローリ組)が予選3番手から逆転勝利を飾った。
チャンピオンシップ争いにおいては、ランキング1位でエンデュランスカップの最終第5ラウンドとなった同イベントに臨み、3時間レースの末に総合5位となった88号車メルセデスAMG GT3(AMGチーム・アコーディスASP)のラファエル・マルチェッロ/ダニエル・ジュンカデラ/ジュール・グーノン組が、2022年のエンディランスカップでドライバー、チームのダブルタイトルを獲得している。
決勝レースの前日、メルセデス“エースチーム”の3名に対し11ポイントのビハインドとなっていた、ランキング2位アントニオ・フォコの71号車フェラーリ488 GT3エボ(アイアン・リンクス)が予選でポールポジションを獲得。これによりフォコは1ポイントを追加し、79ptで首位に立つライバルとの差を10ポイントに縮めた。
迎えた日曜の決勝、ポールスタートの71号車は代役出場のアレッサンドロ・ピエール・グイディのドライブによって後続車を約8秒引き離す快走で序盤戦をリードする。対する88号車メルセデスは8番手スタートから順位をふたつ上げて6番手を走行。このままの順位ならフォコが逆転王者となる状況だ。
しかし、同じく代打起用のアレッシオ・ロベラのスティントではスピードを失ったフェラーリ。スタート直後に3番手から54号車ポルシェをかわして2番手となった63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(エミル・フレイ・レーシング)に迫られ、2時間目のピットストップ直前にはコース上で逆転を許してしまう。
その後、ピットストップでランボルギーニからポジションを奪い返したフェラーリだったが、その前方にはアンダーカットを決めた54号車ポルシェの姿があった。タイトルを争う88号車は5番手を走行中。2位ではチャンピオンになれないフォコは、優勝と自身のタイトルのために力走を見せ、終盤にポルシェの背後に迫る。だが、ポルシェのカイローリも粘りの走りでポジションをキープする。
■チームWRT富田竜一郎が2位表彰台を獲得
結局、スタートから3時間目のチェッカーは2台が連なるかたちで迎えることとなり、54号車がわずか0.873秒早くラインを通過し71号車から逃げ切ることに成功した。9秒遅れて63号車ランボルギーニが3位でフィニッシュ。4位にはアウディでのラストレースとなった“スプリントカップ3連覇王者”チームWRTの32号車R8 LMSエボIIが入り、88号車メルセデスが5位でチェッカーを受けた。
この結果、メルセデスAMGトリオのチャンピオン獲得が決まり、アコーディスASPはチームチャンピオンと合わせて2冠を決めた。新チャンピオンとなった3名と敗れたフォコのポイント差はわずか2ポイントだった。なお、同チームとマルチェッロはスプリントカップとエンデュランスカップを合わせたGTWCヨーロッパ・シリーズ全体のチャンピオンシップも制している。
シルバーカップは第4戦ホッケンハイムですでにエンデュランスカップ・タイトル獲得を決めていたチームWRTの30号車アウディR8 LMSエボII(ジャン・バプティスト・シムナウアー/ベンジャミン・ゲーテ/トーマス・ノイバウアー組)が勝利で有終の美を飾った。
ゴールドカップは“女性チーム”アイアン・デイムスの83号車フェラーリ488 GT3エボがタイトル獲得に向けて進んでいたが、ミッショントラブルによりその夢は無情にも潰えることに。代わってJPモータースポーツの112号車マクラーレン720S GT3(マチェイ・プラゼク/パトリック・クルピンスキー/ノルベルト・シードラー組)が今戦の勝者となり、耐久カップタイトルは7号車マクラーレン720S GT3(インセプション・レーシング)のオリバー・ミルロイ/フレデリック・シャンドルフ/ブレンダン・イリービ組が獲得している。
日本勢は根本悠生組563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(VSR)がシルバーカップ・クラス7位/総合18位でフィニッシュ。WRT離脱を示唆している富田竜一郎は同チームの33号車アウディR8 LMSエボIIでゴールドカップ・クラス2位/総合27位となり、アウディを走らせるチームWRTでのラストレースで表彰台に立ってみせた。
この他のクラスウイナーおよび各クラスのシリーズチャンピオンは以下のとおりだ。
・シルバーカップ・シリーズチャンピオン
ベンジャミン・ゲーテ/トーマス・ノイバウアー(30号車アウディR8 LMSエボII/チームWRT)
・プロ・アマクラス優勝
イアン・ロギー/バレンティン・ピアブルグ/ドミニク・バウマン(20号車メルセデスAMG GT3/SPSオートモーティブ・パフォーマンス)
・プロ・アマクラス・エンデュランスカップ・チームチャンピオン
SPSオートモーティブ・パフォーマンス
・プロ・アマクラス・エンデュランスカップ・ドライバーズチャンピオン
ルイ・マシエルス/アンドレア・ベルトリーニ/ステファノ・コスタンティーニ(52号車フェラーリ488 GT3エボ/AFコルセ)
・プロ・アマクラス・シリーズチャンピオン
ミゲル・ラモス(188号車アストンマーティン・バンテージGT3/ガレージ59)
・ブロンズクラス・エンデュランスカップ王者
リーマ・ジュファリ/ティム・ミューラー/バレンティン・ピアブルグ/ジョージ・クルツ(20号車メルセデスAMG GT3/SPSオートモーティブ・パフォーマンス)