2012年以来、10年ぶりにWRCイベントとして開催された『ラリー・ニュージーランド』では、WRC世界ラリー選手権の歴史に新しい1ページが加わった。何を隠そう弱冠22歳のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、史上最年少でワールドチャンピオンに輝いたのだ。これまでの最年少レコードは故コリン・マクレーの27歳109日であったことから、トヨタの新王者はその記録を大幅に更新したことになる。今回のWRC Topicでは、この歴史的瞬間が生まれた週末のラリーを現地で取材していた、モータースポーツジャーナリスト/フォトグラファーの古賀敬介さん厳選の写真を半フォトギャラリー・半ブログ形式で紹介する。まずは前編からどうぞ。
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WRC第11戦『ラリー・ニュージーランド』のスタート前、9月29日・木曜の記者会見でタイトルを争うオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)と並んだカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)。その表情はとてもリラックスしているように見えた。
木曜日のSS1、オークランドで行われたセレモニアルスタートでは、地元の人々がマオリ族の伝統的な戦士の舞『ハカ』を披露。スゴイ迫力でした。
お姉さまたちも気合いが入りまくった表情で選手たちを応援。目玉が飛び出そう!
セレモニアルスタートでは途中で雨が降るもすぐに止み、美しい虹が選手たちの船出を祝福した。
SS1はオークランドの公園内でのターマック(舗装路)ステージで争われた。“ミリタリールック”のフォード・プーマ・ラリー1をドライブするのは、プラダ家の御曹司ロレンツォ・ベルテッリだ。
翌30日(金)、デイ2の舞台はラリー・ニュージーランドが誇るラグラン周辺のクラシックステージ。美しいファンガ・コーストを走行するのは、競技2日目にトップに立ったトヨタのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)。
ラグランのタイヤフィッティングゾーンで、タイヤの摩耗具合をサービスパークのエンジニアに報告するカッレ・ロバンペラ。今回のラリーでは雨がデイ2の出走順で不利となる彼に味方した。
久々にWRCに戻ってきた8度の世界王者セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、ファンガ・コーストのステージで貫録のベストタイム。一気に順位を上げた。
雨で水を含み滑りやすくなったグラベル、タナクは最高速からのフルブレーキング&ドリフトで前輪を一発でコーナーのインにピッタリつけた。これが世界王者(2019年チャンピオン)のテクニックだ。
ラリー3日目、10月1日(土)のデイ3。前日に総合首位に立ったエバンスがまさかのクラッシュ。ボロボロになってサービスパークに戻ってきたGRヤリス・ラリー1に、チームメイトのオジエも唖然。
メカニックとしても超一流のエバンスはラジエターの水漏れを自力で修理。リエゾンでのオーバークールを防ぐため、クラッシュ時に外部にクルーの無事を知らせる「OKプレート」でラジエターを塞いでいた。が、ロールケージが破損していたため無念のリタイアに。
デイ3の10月1日はロバンペラの22歳の誕生日だった。ミッドデイサービスでは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのチームメンバーがケータリングスタッフ特製のバースデーケーキで祝福した。
ヤリ-マティ・ラトバラさんもチーム代表らしからぬ!? パーティーハットとピロピロ(吹き戻し)でロバンペラの誕生日を祝福。右の渋い紳士はカッレの父親ハリ・ロバンペラさん。
パーティーハットをかぶりながらも、超真剣にロバンペラ車の整備をするトヨタのメカニック。そのサポートもあってロバンペラはデイ3で首位に立ち、タイトル獲得に王手をかけた。
後編に続く