女性限定シングルシーター選手権のWシリーズは、財政難のため、2022年シーズンに予定されていた残る2大会3レースの中止を発表。これにより、9月30日~10月2日にF1第17戦シンガポールGPのサポートイベントとして開催された第7戦をもって、2022年シーズンの終了が宣言された。
全10レースの開催を予定していた2022年シーズンのWシリーズだったが、同シリーズを支援するとされていた投資家との契約が急遽解消され、資金繰りが厳しい状況であると明らかにされていた。
この財政難に伴いWシリーズは2023年以降のシリーズ存続と、財務的健全性の確保を可能とするべく、長期的な資金調達プロセスに舵を取ることを選択。これにより、10月下旬に開催を予定していた第8戦アメリカ・オースティンと、ダブルヘッダー開催の第9戦&第10戦メキシコの3レースがキャンセルされることとなった。
これにより、第7戦シンガポール終了時点でランキングトップにつけていたジェイミー・チャドウィックが、2019年、2021年に続く3シーズン連続チャンピオンに輝くこととなった(2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でWシリーズは開催されず)。
WシリーズのCEOを務めるキャサリン・ボンド・ミューアは、「2022年シーズンの終盤3レースの開催を送ることとなり、大きな悲しみと悔しさを抱いている。初開催からまだ3シーズン目の新興シリーズとして、ビジネスを成長させ、継続させるため、我々は常に運営資金の確保に努めているが、不測の事態により、支払われるべき契約金を受け取れない状況となった」と説明する。
「そのため、予定していたカレンダーを完走できないという、苦渋の決断をせざるを得なくなった。オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズとメキシコシティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスには、それぞれプロモーターとしてサポートしてくれたことに感謝するとともに、レースを開催できないことを、両者およびファンに謝罪する」
2022年シーズンは短縮終了というかたちで幕切れを迎えたが、「Wシリーズの将来は明るい」という。
「私たちは2022年シーズンを完走するために必要な資金を調達するために懸命に働いてきた。しかし残念ながら、契約していた資金が届かなかったことに加え、世界的な経済不況のため、短期間で必要な資金を調達することはできなかった。このような決断をせざるを得なかったことに、私たちは非常に失望しているが、Wシリーズの将来について前向きだ」
「女性スポーツが男性スポーツに比べ、はるかに少ない資金で運営されていることはよく知られているが、Wシリーズも例外ではない。私たちが直面している財政難のニュースを受けて、ここ数週間、私たちが受けた信じられないほどの援助とサポートに感謝している。おかげで、私たちの資金調達プロセスが加速し、2023年以降の開催を見据えた大きな見通しを持つことができた」
「まだ正式に発表できる状況ではないが、多くの前向きな話し合いを進めている。すべての関係者が、女性ドライバーたちが才能を発揮し、世界中の熱狂的なファンの前でレースを繰り広げるためのプラットフォームを提供する、という我々の使命に情熱と信念を共有している。私たちは、この事業の長期的な財務的健全性を確保するためにできる限りのことを行っており、Wシリーズの継続的な成長と成功を楽しみにしている」
また、キャサリン・ボンド・ミューアCEOは、Wシリーズの将来について「今後数週間のうちに前向きなニュースをお伝えできればと考えている」と語った。
先述のとおり、2022年シーズンのドライバーズタイトルはジェイミー・チャドウィックが獲得。日本から参戦のJuju(野田樹潤)はランキング14位でWシリーズ参戦初年度を終えている。