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 リヤウイングレスの新型ル・マン・ハイパーカー『9X8』でWEC世界耐久選手権に参戦しているプジョー。そのテクニカル・ディレクターは、11月12日に行われた2022年最終戦バーレーン8時間レースについて、2台のマシンにトラブルが発生するまでは「いいポジションにいた」と振り返っている。

 予選で2番手を獲得した93号車プジョー9X8のポール・ディ・レスタは、決勝の最初の1時間はポジションをキープ、トヨタGAZOO Racing8号車GR010ハイブリッドのセバスチャン・ブエミに次ぐ2番手を走行した。

 最初のピット作業で相対的に時間を要したことでトヨタの7号車に2番手は奪われたものの、その後も93号車は3番手をキープしていた。

 しかし2時間が経過する直前、ディ・レスタはギヤシフトの不調により、突然ターン1出口のグリーンゾーンにマシンを停めてしまった。その後、いったんは自走でピットへと戻った。

 テクニカル・ディレクターのオリビエ・ジャンソニーは、「序盤はかなり満足していた」と振り返る。

「いつくかの選択肢があったんだ。戦略上、1台の車両は少しオフセットしていたので、いくつかのオプションがあった」

「2スティントを経て問題が発生した後、ペースはあまり良くなかった。だから、そこからは比較することができないのだ。でも、最初の2スティントはその点ではかなりよかった」

「いいポジションにつけていた。94号車は別の(タイヤ)戦略を取っていたから、おそらくもう少しコンサバティブだったであろう。そのコンサバティブな戦略を活かして、もっと速く走る計画だったが、(その後のトラブルによる)ストップもあり、速さを発揮できなかった」

 同じ部品の緩みによるオイル漏れの影響を受けた富士6時間レースとは異なり、バーレーンでは2台のプジョー9X8に別々の問題が発生した。

 93号車は、フリープラクティス1終了後に装着に新ユニットのギヤボックスへと載せ替えていたが、8時間のレース後半に問題が再発、ガレージでリタイアを余儀なくされた。

「93号車はフリー走行でもギヤボックスの問題があった」とジャンソニー。

「そして、レースで再び問題が発生した。あれ(FP1でのトラブル)とは違うものだ。レース中に分析することは難しいから、我々はこれからすべてを調べなければならない。すべてをチェックする必要がある」

 94号車プジョー9X8は2度、コース上で停止したが、ギヤボックストラブルの兆候はなく、そのままトヨタ2台とアルピーヌA480・ギブソンに次ぐ4位でレースをフィニッシュした。

 ジャンソニーは94号車のコース上でのストップについて「システムに関する」問題であるとし、イベント終了後にさらなる調査をすると述べている。また、プジョーは後に94号車の燃料ポンプを交換したことを明らかにした。

トラブルによりコース上にストップする場面もあったが、完走を果たした94号車プジョー9X8
トラブルによりコース上にストップする場面もあったが、4位完走を果たした94号車プジョー9X8

 バーレーンの結果を「フラストレーション」としながらも、ジャンソニーはハイパーカークラスに新しいハイブリッドカーを導入することの「浮き沈み」の一端であることを認めている。

 9X8は第4戦モンツァでデビューした際には、長い間ガレージで過ごすことになったが、第5戦富士では表彰台に近いポテンシャルを発揮した。

 プジョーは、来年のWECフル参戦に向け、各レースの合間に非公開のテストを行っている。

「常にギリギリのところに立っているんだ」と語るジャンソニーは、信頼性の問題から、24時間耐久テストの必要性を指摘している。

「マシンはまだとても若いし、新しい問題もある。富士はかなりポジティブだった。でも、このレースはちょっと違う」

「だが、総合的に見れば傾向は変わっていないと思う。我々には浮き沈みというものがあり、最終戦は明らかに我々とっては落ち込んだレースだった」

 93号車をドライブするディ・レスタは、次のように付け加えている。

「マシンがまともで、競争力があるように見えるときもあるはずだ」

「たしかに苦労するときもあるけど、そのためにここにいるんじゃないのかな。僕らが新しい課題を見出したことは間違いない。そして僕らは、ものごとを改善しているところだ」

プジョー・トタルエナジーズで93号車プジョー9X8をドライブするポール・ディ・レスタ、ミケル・イェンセン
プジョー・トタルエナジーズで93号車プジョー9X8をドライブするポール・ディ・レスタ、ミケル・イェンセン