プジョーは9月15日、ニコ・ミューラーと契約を交わしたことを発表した。前日にアウディからの離脱が発表されたミューラーは来季、プジョー・ハイパーカープログラムの一員としてWEC世界耐久選手権に参戦する予定だ。
DTMドイツ・ツーリングカー選手権でシーズン2位を2度経験しているミューラーは現在、GT3ベースの同シリーズでチーム・ロズベルグに所属し、アウディR8 LMSエボIIで2022年シーズンを戦っている。
また、WECでは振興チームのベクター・スポーツからLMP2クラスに参戦。北米IMSAシリーズのデイトナ24時間では、ハイクラス・レーシングから同じくLMP2クラスにエントリーした。
14日に今季限りでのアウディ陣営離脱がアナウンスされたスイス人は、新たに契約したプジョーのもとで当分の間テストと開発の任務に就き、来季2023年はプジョー9X8のフルタイムドライバーとして世界選手権を戦っていく。
なお、このスイス人が来年、2台のプジョー9X8のうち、どちらのクルマでチャンピオンシップに参加するのかは明らかにされていない。
「この冒険に参加できること、そして2023年にプジョー・トタルエナジーズでWECに参戦できることに興奮している」とミューラーは語った。
「ル・マンと耐久レースにおいて、輝かしい記録を持つメーカーに参加することは、その歴史の新しい章が開かれようとしている今、とくにこのスポーツの新しいレギュレーションと予想される接近戦を考えると、僕にとって非常に大きなチャンスだった」
「プロとして、非常にエキサイティングな挑戦であり、すべてのドライバーにとっての夢でもある」
「僕は2007年から耐久レースとル・マンに興味を持ち始めたのだけど、プジョーが持つ非常に強いマシンを作り出す能力に感銘を受けていた」
ミューラーの加入によってプジョー・ワークスドライバーはふたたび7人となった。これはF1に戻るため、今年3月にケビン・マグヌッセンがプログラムを離れて以来のことだ。
プジョーは当初、モンツァと富士で94号車をドライブしたジェームス・ロシターをテスト兼開発ドライバーとしていたが、マグヌッセンの離脱後ロシターをレースドライバーに起用した。彼の名前は最近発表された次戦バーレーン8時間のエントリーリストでも確認することができる。
フランスのメーカーは、ミューラーが近い内にプジョー9X8で最初のラップを刻むことを示唆した。参戦初年度は無制限で行うことができるメーカーのテストプログラムは、先週末のWEC富士ラウンド終了後すぐにテスト車両で再開される予定だ。
プジョーのWECテクニカル・ディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、「ニコ(・ミューラー)は、WECを含むいくつかのシリーズで素晴らしい記録を持つ才能あるドライバーだ」と述べた。
「彼は今年LMP2カーをドライブし、プジョー・トタルエナジーズがドライバーに求めるスピードと安定性を実証している。彼は良いチームアプローチを持っており、ル・マンとチャンピオンシップで勝つために全力を尽くしている」
一方でジャンソニーはロシターについて、彼がプログラム初期に与えられたポジションへ戻ることを示唆するコメントをしている。
「ジェームス・ロシターは、2021年に発表したように、我々のテスト兼リザーブドライバーだ。彼の経験とパフォーマンスは、レーストラックとシミュレーターの両方で9X8の開発プロセスの重要な部分を担っているんだ」
正式に中止が発表されたアウディLMDhプログラムの最初のドライバーに指名されていたミューラー。彼が加入したプジョーには、ロシターのほかジャン-エリック・ベルニュ、ポール・ディ・レスタ、ミケル・イェンセン、グスタボ・メネゼス、ロイック・デュバルという面々が今季のレギュラードライバーとして名を連ねている。