11月15日、モナコでプロドライバーマネージメントを行うモナコ・インクリース・マネージメント(MIM)社は、若手ドライバー育成のための『プロジェクト・ジャパン』と題したプログラムをスタートさせると発表した。このプロジェクトに沿って、スペイン人ドライバーのダビド・ビダレスとアルバニア系ドイツ人ドライバーのリリム・ゼンデリのふたりを、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦するB-Max Racing Teamのテストに参加させると発表した。
MIM社はモナコに拠点を置くマネージメント会社で、インディカー・シリーズでチャンピオンを獲得したアレックス・パロウをはじめ、フォーミュラEに参戦するパスカル・ウェーレイン、そしてビダレスをマネージメントしている。
そんなMIM社は、「積極的かつ創造的な方法で、ドライバーのキャリアを促進する」ことを使命としている。MIM社は、現在のヨーロッパのフォーミュラ界が「F1に向かうためにすべてのシナリオを提供しているわけではない」とし、自社がマネージメントするパロウがインディカー王者、そしてマクラーレンのテストをこなしたことで、「異なるアプローチを試す利点を明確にしている」という。
今回手がける『プロジェクト・ジャパン』という新たな試みは、パロウが歩んだキャリアをなぞるものだ。ヨーロッパで資金難に苦しんでいたパロウは、2017年にダラーラの推薦もあり来日。ThreeBond with Drago CORSEから全日本F3選手権に挑み印象的なスピードをみせると、2018年に一度ヨーロッパに戻った後、2019年にスーパーGTとスーパーフォーミュラに参戦。TCS NAKAJIMA RACINGから参戦したスーパーフォーミュラでは1勝を飾り、ランキング3位につけた。
その後2020年からは、TEAM GOHの援助もあり来日前から目標にしていたインディカーに挑戦。2021年にはチャンピオンも獲得したが、今回のプロジェクトではパロウ同様、MIMに所属するビダレス、そして新たにMIMのマネージメントドライバーとなったゼンデリのふたりを、スーパーフォーミュラ・ライツに参加させ、さらに「F1に続く空力とパフォーマンスをもつ(MIM社リリース)」というスーパーフォーミュラのシートを得るのが狙いだ。
『プロジェクト・ジャパン』に向け、パロウは「僕が日本で重ねた経験は、ひとりのドライバーとして成長を加速させるベストなステージだったと確信しているんだ」とコメントを寄せた。
「僕は2年間、全日本F3、スーパーフォーミュラ、スーパーGTを戦ったけれど、とても多くのことを学ぶことができた。日本のモータースポーツはどのシリーズも非常にレベルが高く、僕のお気に入りの鈴鹿サーキットのように、多くの他のドライバーたちも、日本には最高のトラックがあることに同意してくれると思う」
「またもうひとつの利点としては、日本はトヨタ、ホンダ、ニッサンがシングルシーターのシリーズに参戦していることだ(編注:パロウが全日本F3に参戦していたときはニッサン育成プログラムのNDDPが全日本F3に参画していた)。だからこそ僕は現在の地位を築くことができたし、多くの気づきと最高の機会を手にすることができたんだ」
「ダビドとリリムのふたりが、僕と同じくらい幸運であることを願っているし、彼らにふさわしい成功を得ることを祈っているよ!」
11月に岡山国際サーキットで行われるB-Max Racing Teamのテストでは、2022年にFIA-F3で優勝を飾った経験をもつビダレス、FIA-F2、F3のどちらも経験をもつゼンデリのふたりがドライブし、MIM社のCEOで創設者でもあるサルバトーレ・ガンドルフォ、そしてかつてスーパーアグリF1チームに携わり、MIM社のシニアコンサルタントを務めるダニエル・オーデットがテストに同行するという。