2022年F1アブダビGP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンはトラブルによりリタイア、ジョージ・ラッセルは5位だった。
ハミルトンはスタート直後にカルロス・サインツ(フェラーリ)を抜いたが、サインツが抜き返そうとするなかでハミルトンは行き場をなくしてターン6でコース外にはみ出した。縁石に乗って跳ねながらコースに復帰し、再びサインツの前を走り続けたハミルトンだが、チームの指示でポジションをサインツに返すことに。
ハミルトンはその後、再びサインツを抜いたものの、ペースが悪く、サインツ、ラッセルに抜かれて6番手に。セカンドスティントでは、ライバルたちが2回目のピットストップをした後、3番手に繰り上がり、ステイアウトしてそのまま1回ストップで走り切るかに思われたが、マシンにトラブルが発生。58周のレースの55周目にピットに戻り、そのままリタイアとなった(18位完走扱い)。チームによると、ハイドロリックプレッシャーが失われ、ギヤシフトができなくなったということだ。メルセデスにとってメカニカルトラブルによるリタイアは今シーズン初。
ハミルトンが16年のF1キャリアのなかで1勝もできなかったのは初めてのことであり、ポールポジションが1回もなかったのも初めて。ランキング6位はF1キャリアでのワーストに当たる。
ラッセルは、1回目のピットストップでロスがあった上に、チームによる危険なリリースで5秒のタイムペナルティを受けた。終盤は6番手を走っていたが、ハミルトンがリタイアし、ラッセルは5位でフィニッシュした。
メルセデスはコンストラクターズ選手権でフェラーリに届かず、3位でシーズンを終えた。
■ルイス・ハミルトン(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム)
決勝=18位(DNF)
5番グリッド/タイヤ:ミディアム→ハード
2022年F1ドライバーズ選手権6位(240ポイント)
今年一年全体を表すような最終戦だった。今シーズンが終わってうれしい。これからは来年を楽しみにすることができるからね。
すごくいいスタートを決めたけれど、カルロスとの接触でフロアが大きな衝撃を受け、その後、いろいろな影響が出た。ああいうことが起こると、パフォーマンスが多少低下するし、バランスが前寄りに変わってしまった。フロントウイングの荷重が増したようになったが、その調整はピットストップまで待たなければならなかった。調整してもらってバランスは改善したよ。
週末を通してマシンは難しかった。そのうえ、完走を目の前にして、ハイドロリックプレッシャーの低下でリタイアしなければならなかった。
この後、2週間はファクトリーで過ごして、来年強くなって戻ってこられるように、集中して作業に取り組む。今年の苦労が力につながり、今後勝利をかけて戦うためのツールとして機能してくれることを願う。ブラックリーとブリックスワースのチームは一年中、懸命に働いてくれている。その働きにふさわしいのは勝利なんだ。
これからも努力し続けるよ。この冬から来シーズン開幕にかけて、僕たちの強さを示す必要がある。
(レース後の会見で語り)望んでいるものとは異なるマシンでシーズンをスタートし、望んでいるものとは異なるマシンでシーズンを終えた。基本的に同じマシンでやってきたんだ。作業に取り組み、少しずつ改善していったけれど、基本的な部分は最後まで同じだったと思う。それが今週末、分かった。
チームがテストを重ねた一年だった。皆のことを心から誇りに思う。世界タイトル獲得を祝うことはできないけれど、彼らのハードワークと努力を称えることはできるよ。
■ジョージ・ラッセル(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム)
決勝=5位
6番グリッド/タイヤ:ミディアム→ハード→ミディアム
2022年F1ドライバーズ選手権4位(275ポイント)
記憶に残るようなレースになった可能性もあったが、実際には今日の僕たちは、正しい行動よりも間違った行動の方が多かった。今週末はペースがなく、できる限りの努力はしたけれど、シーズンで一番タフなレースのひとつになってしまった。
僕のレースがこういう展開になったのが残念だ。強力なスタートをして、カルロスと戦っていたのに、最初のピットストップで時間がかかってしまい、さらに5秒のタイムペナルティが出たことで、実質的に僕のレースは終わってしまった。
今回のレースで僕たちは現実に引き戻された。ブラジルはマシンとの相性が良かったために好調だったけれど、今日は、とっくに分かっていたはずのことを改めて思い知らされた。冬の間に大規模な改良を成し遂げる必要があるということをね。
ブラックリーとブリックスワースのチームメンバー全員が全力を注いで努力してくれているし、僕たちは正しい方向に向かっている。来年はもっと強いマシンを作り上げることができると信じているよ。