もっと詳しく

 2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終大会となる第9戦/第10戦『第21回JAF鈴鹿グランプリ』のレースウイーク初日となった10月28日、舞台となる鈴鹿サーキットにて最終戦恒例の『金曜会見』が行われ、シリーズタイトルを争う野尻智紀(TEAM MUGEN)、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)が登壇。それぞれシリーズタイトルへの思いを語った。

 10月29〜30日に開催される2022年シーズン第9戦/第10戦『第21回JAF鈴鹿グランプリ』は、土曜日と日曜日にそれぞれ予選・決勝が行われる『1ウイーク2レース制』での開催となり、残る2戦で獲得できる最大得点は46ポイントとなる。

 そのため、タイトルの可能性を残すのは、113ポイントを保持する野尻を筆頭に、32ポイント差のランキング2位フェネストラズ(81ポイント)、そして34ポイント差のランキング3位につける平川(79ポイント)の3名となる。ただ、野尻と追うトヨタ勢2名の差は先述のとおり大きく、野尻はあと15ポイントを獲得すれば2年連続のタイトル獲得を決める状況だ。

 最終大会への意気込みを尋ねられた野尻は「もちろん、1年間チャンピオンだけを目標にしてきたので、チャンピオンをかたちにできるように精一杯やるだけかなと思っています」と語る。

 追う立場のフェネストラズは「今シーズンはいいときもあれば本当にも大変なときもあったね。不安定なしシーズンだったよ。完璧ではなかったのが残念だけど、まだチャンピオンシップ争っているところだから、ベストを尽くしたい。(逆転タイトルへ向けては)難しいとも思うけど、絶対諦めないで頑張るよ。チャンスはやってくるかもしれないしね」と振り返り、さらに次のように続けた。

「改めて振り返ると、今年は富士でクラッシュもあり、新しいクルマをまた作ってもてぎ戦に臨むことになったり、その前はブレーキの問題でなかなか思うような、安定した結果を出すことはできなかった。しかし、日本であまり走ることもできなかった(SFは2戦のみ)昨年と比べると今年はベストを尽くして、頑張ることができている。今週末も頑張ってチャンピオンを争うよ」

 また、平川は「僕としては、シーズンの初めはすごくいいかたち(優勝)でスタートを切れましたが、サッシャと同じで、優勝か2位もしくはリタイアかみたいな、安定したシーズンではなかったと思います。けど、しっかりと最終戦までチャンピオン争いに残ることができているので、諦めずにしっかりと残りの2戦を戦いたいと思います」と意気込みを語った。

 なお、JRPはこの金曜会見に向け、スーパーフォーミュラのオフィシャルTwitterアカウントでファンからタイトル候補の3選手へ向けた質問を募った。下記にその質問と各ドライバーの回答をお届けする。

ランキング首位で最終2連戦に臨む野尻智紀(TEAM MUGEN)
ランキング首位で最終2連戦に臨む野尻智紀(TEAM MUGEN)

Q:チャンピオンに向けてプレッシャーと楽しみな気持ち、どちらが強いでしょうか?

野尻
「いやぁ……正直、楽しみなんて気持ちはひとつもないなという感じですね。昨年よりも今年の方が重たいという感じはあります。選手権はリードしてるいますが、やれて当たり前みたいな。1回タイトルを獲った後はそういう気持ちも出てくると思うので、そういったところが非常に良い自分をコントロールする上で難しいところだと思います。けど、2度目のチャンピオンになった瞬間とか、その辺の未来を思い浮かべて。なるべく自分自身の気持ちを、そういう方向にうまく持っていけるといいなと思っています」

フェネストラズ
「僕は楽しみでしかない。損をすることもないからプレッシャーはない。ランキング2位のまま終わるためじゃなく、チャンピオンシップを獲得するために僕は参戦しているからね。今週末に関しては、予選で(ポールポジションの)3点を獲得することが非常に重要になる。だから予選からベストを尽くさなければいけない。だから、プレッシャーはないんだ。僕が一番最後にチャンピオンを争ってたのはいつ頃だったかなと思うほど久しぶりだし、それをとても楽しみに今週末は頑張りたいと思っている」

ランキング2位のサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
ランキング2位のサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)

平川
「プレッシャーはあまり感じてはいないですね。ポイント差的にもかなり離れてしまっているので、現実的なプレッシャーは感じていないです。楽しみという気持ちもあまりないと思うのですけど、今シーズン自分は予選で苦労してるので、しっかりとそこで明日、明後日で発揮できるよう準備してきたので、そこに対しての楽しみはありますね」

野尻へのQ:今シーズンを戦ってきて、一番印象に残っているレースはどのレースですか?(良くも悪くも)

野尻「一番よかったと思うのは第2戦富士ですかね。優勝したというのもあるのですけど、今シーズンのこれまでの流れを決定づけられたひとつのきっかけとなった瞬間かな、というところもあったので」

「悪かったのは第5戦のSUGOですかね。あのときは本当にクルマの調子も良く、勝たないとおかしいくらいなパフォーマンスがあったと思うのですけど、スタートを失敗して。その後もなかなか抜き切ることもできずにレースを終わらせてしまいました。そこは非常に反省点があったレースだったと思います」

フェネストラズへのQ:1日で予選と決勝を行うことに対して、メンタルの部分できつくはないですか?

フェネストラズ「同じ日に予選とレースをやるというのは少し難しいね。クルマも僕たちの肉体的にも、メンタルもまだウォームアップしていないところで、いきなり朝からニュータイヤを履いてアタックを迎えるから。まるでアグレッシブなアラームで目が覚めたような、そんな感じなのだけど、それは僕だけじゃなくて全員一緒だからね。個人的にはワンデーで予選と決勝を行うことは結構ノリノリで楽しい。大変だけど面白いから楽しみだよ」

平川へのQ:今シーズン、レース中にかなりオーバーテイクをしてきましたが、その中で一番印象に残っている会心のオーバーテイクはどれでしょうか?

平川「難しいですね。このふたり(野尻とフェネストラズ)を抜いたときでしょうか。野尻選手は第1戦富士。サッシャも抜かれてから抜き返したりとか、たくさんありますね。ひとつに絞るのは難しいです」

「個人的にはやはり、最前列からスタートしてそのまま逃げ切るというかたちがいいと思っているので、選ぶとすると第1戦富士で野尻選手を抜いて優勝したのが一番です。明日と明後日でそれ以上の結果を出せるように、しっかりと頑張りたいと思います」

ランキング3位の平川亮(carenex TEAM IMPUL)
ランキング3位の平川亮(carenex TEAM IMPUL)

* * * * * * *

 なお、昨年はこのタイトル候補が登壇する金曜会見は第6戦もてぎで行われた。その際にはすでに、自力タイトルの可能性を残すのは野尻のみだったため、会見には野尻がひとりで登壇した。今年はフェネストラズ、平川とともに会見に臨むこととなり、「去年のこの会見は楽しかったなという印象があるのですけど。今年はやはり違いますね」と、野尻は昨年との心境の違いを語った。

「去年と今年では、今年の方がだいぶピリピリしているなと。ポイント差が大きく開いているとはいえ、やはりライバルがいるということが一番のポイントですね。そして、今大会はダブルヘッダーで2レースあるので、言ってしまえば流れをつかめなかったら逆転もあるのではないかと。僕自身、逆転される可能性も結構あるのではないかと思っています」

「そこを乗り切るっていうのがどれだけ大変なことか、それは自分たちが一番よくわかってるいますので、ピリついてるなと思いますね。これが1大会1レースで、残り2大会だったら、また話は違う気もするのですけどね」