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 尾灯はクルマ後部のカタチを彩る象徴的なパーツだ。路線バスの車両にも、ひと目見れば懐かしさを覚えるような、印象深いデザインのテールランプが数多く存在する。そんなバスのテールランプの今昔をたどってみよう。

文・写真:中山修一


全社共通だった!? なつかしの柿の種テール

 路線車のテールランプのうち、特に目立つのがウインカーとブレーキランプだ。日本全国各地で使われた数多くの路線バス車両には、ウインカーとブレーキランプが1ユニットになっている、六角形のランプが取り付けられていた。

 この六角形のランプのことを「バス協テール」と呼ぶ。路線車のメーカーに関係なくパーツ類を共通化して、コスト削減と効率アップを狙うべく、バス協会が標準仕様に定めたものだ。

 六角形と言っても若干丸みを帯びていて、ランプユニットの形状が新潟名物の米菓にどことなく似ていることから「柿の種」または「柿の種テール」の俗称でも知られる。

昔のバス後部の顔役を担った柿の種テール

 柿の種テールには長い歴史があり、車体の箱型/ボンネットバス問わず、少なくとも1960年代には同じ形のテールランプを取り付けたバス車両が登場している。

 リアエンジンのバス車両が主流となり、バスボディの全体的なシルエットが角張り始めた後も柿の種テールは変わらないまま使われ続けた。

 柿の種テールはごく普通の汎用パーツなのだが、あまりに多くのバス車両に付いていたのもあり、路線バスの後ろ姿といったらコレ!と言えるほどの看板スタイルになった。

 ロングセラーであった柿の種テールも、1995年頃を最後に標準装備の座から外れていった。

 2022年現在、車齢27年以上ともなればクラシックカーに迫るものの、道路上から完全に消えたわけではく、全国各地の一部地域では少数ながらも柿の種テール車が活躍を続けている。

一転、現在は四角に!

 六角形の柿の種テールが“引退”となった後に選ばれたのは、ずっとシンプルなラインを描く四角形のランプだ。

 デザイン的に「アッサリ」しているのは否めないが、柿の種よりもサイズが大きくなり、後方を走る車両からの視認性が向上している。

 現在も使われる四角形のランプは、ブレーキランプ用・ウインカー用など各種サイズが共通で、高さ約20.5cm、幅が約16cmとなっている。寸法は同じまま、ウインカー(またはブレーキランプ)/バックランプが半々になっているタイプもある。

 柿の種テール後は、バスのメーカーに関係なく四角形の汎用ランプが使われているため、どのバスも後部の見た目がまったく同じになったのかと言えば案外そうでもなく、メーカーによってランプの取り付け方が異なっている。

一例を表すと、1999年式いすゞキュービックの後部には、ウインカーの横にブレーキランプを並べた横置きが採用されている。

 2009年式日産ディーゼル スペースランナーAでは、ウインカーとバックランプを半々にしたランプの下にブレーキランプを取り付けた縦置きの配置だ。

1990年代中頃〜現在では四角形の汎用タイプが主流

 現行車種でも、三菱ふそうの路線車はランプ縦置き、いすゞと日野の路線車は横置きと、四角形ランプの取り付け方に特色がある。

 質実剛健な現行テールランプも、よくよく観察してみるとバス事業者ごとに配置を変えていたり、ランプの種類の組み合わせ方が違ったりと、パーツの形状は同じでも細かな差異が見られ、これはこれで奥が深い世界を作り出している。

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