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 2年連続チャンピオンを決めた野尻智紀(TEAM MUGEN)の強さがとにかく目立った今シーズンのスーパーフォーミュラだが、来季、その野尻のライバル候補のひとりとして有力な若手ドライバーがいる。JAF鈴鹿グランプリの第9戦、そして第10戦で予選で共に野尻の背後につく2番手を獲得して速さを見せた、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)だ。

 第9戦ではスタートで出遅れ、ピット作業でミスがあったこともあり5番手、第10戦でも予選2番手からスタートで後ろから2台に前を奪われながらも、宮田は3位表彰台を獲得してシーズンを締めた。

「今日のレースはスタートは改善されましたが、後ろのホンダ勢が速くて抜かれてしまって。SC(セーフティカー)明けには笹原(右京)選手がトラブルがあったのか、そこで3番手に上がって、そのあと(2回目の)セーフティカーが出るまではクリーンエアになってからペースを上げてプッシュできたのですが、ストラテジーどおりに進めようとしたところでセーフティカーが入ってしまって……ちょっと個人的には不運だったのかなという印象です」と、会見で最終戦を振り返った宮田。

 レース後に、今シーズンを振り返っての印象を聞いた。

「山あり谷ありのシーズンでしたね。チームと話をしても、もてぎ戦(第7戦9位、第8戦14位)がなければ、もっと上位に行けたなと(苦笑)。もてぎのような残念な結果の時もありましたけど、シーズンを通じて予選では上位に来れていましたし、あとは決勝で、まずはトヨタ勢のトップでいることができれば、シリーズランキングでも、もっと上にいることができたでしょうね。本当にもてぎでの取りこぼしが大きかったので、1年間速いクルマを作っていかないと、厳しいなというのが改めてわかったシーズンでした」と宮田。

 フルシーズン参戦2年目、宮田をコンビを組んできたトムスの小枝正樹エンジニアに、宮田の印象を聞く。

「基本的にはもともと自分で乗り方を改善して乗るタイプで、器用ですし、ドライビングでどこまでやれるのかをすごく考えてくれるドライバーですね。『今、クルマにこういう問題があって、それをドライビングでこうしてみたけど』という伝え方をしてくれます。何をしても、吸収して自分の糧にするような勉強熱心なドライバーですね。『ああしてみたら』『こうしてみたら』を、すごく考えてやってくれる。それに対して、『じゃあこうしよう』と進めることができています」

 今年の宮田のレースを見ると、ウエット時の走行やスタート、そして本人も話したもてぎ戦などに課題があるように見える。

「たしかに、まだいくつか穴はありますね。スタートもなんとかしたいのですけど、なかなか難しい(苦笑)。繊細なドライバーなのは間違いないですね。ブレーキングもすごく繊細です」と小枝エンジニア。

 それでも、「スーパーGTでも見ていますけど、バトルや決勝で強くなってもらいたいですので、何か自信が付くような結果が出れば、すぐにポンポンと上がっていくような気がしています。まだ若いですけど、完成しているドライバーのひとりだと思っています」と、これまでニック・キャシディやスーパーGTでは平川亮など数々のトップドライバーを輩出してきたトムス、そして小枝エンジニアの言葉からも、宮田のポテンシャルの高さがわかる。

 今季、ドライバーズランキング4位を獲得し、ますます来季が楽しみな宮田。本人の将来への希望も、まだまだ高い。

「やはり、先ほどのもてぎでの取りこぼしもあるので、できれば(ランキング)トップ3に入りたかったですけど、去年はランキング10位だったので、そこからは大きな前進だったかなと思います。将来的にはまだF1に乗ることを目指しているので、スーパーライセンスポイントを獲得する意味でも、4位でポイントを得ることができましたし、また次につなげたいなと思います」

 今季のスーパーフォーミュラでは宮田のチームメイトのジュリアーノ・アレジが低迷気味で、宮田からコンマ5秒以上離れることもあり、なかなかセットアップなどのデータ共有が難しく、1台体制に近い状態で戦わざるを得ない部分があった。来季の体制はまだだが、アレジも来年3年目になることで上積みがあれば、トムスとしても今年以上に強い体制になる。

 今年で23歳になったばかりの宮田。F1では若年化が進んでいるが、このスーパーフォーミュラで早くスーパーライセンスポイントをクリアし、世界に羽ばたいてもらいたい。そんな期待を抱かせるような宮田のスーパーフォーミュラ、フル参戦2年目のシーズンだった。

2022年スーパーフォーミュラJAF鈴鹿グランプリ
eスポーツでも欧州チームとプロ契約を結ぶ宮田莉朋。ドライビングやセットアップの知識は23歳の年齢以上に豊富だ

2022年スーパーフォーミュラJAF鈴鹿グランプリ
JAF鈴鹿グランプリでは2戦連続で予選2番手となった宮田莉朋。最終戦はポールの野尻智紀とわずか100分の4秒差だった。