笹原右京が今季2勝目。野尻智紀は2位フィニッシュでチャンピオンを決める!
10月29日(土)~30日(日)、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第7大会(第9戦および第10戦)が行われました。今回は土曜日に第9戦の公式予選および決勝、日曜日に第10戦の公式予選および決勝と、1大会に2レースが開催される形式で、シリーズ最終戦となる第10戦には、伝統ある『JAFグランプリ』のタイトルがかけられます。
29日は早朝から快晴となりました。午前9時15分から行われた公式予選Q1A組では#5牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がベストタイムを記録、#65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、#53 佐藤蓮(TEAM GOH)が続き、#15 笹原右京(TEAM MUGEN)を含む4名がQ2に進出しました。Q1B組では、2年連続シリーズチャンピオンを目指していながら金曜日のフリー走行で16番手のタイムしか出せず、不安の残る中で公式予選を迎えた#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が4番手タイムをマーク。#12 福住仁嶺(ThreeBond DragoCORSE)が5番手、#64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が6番手に食い込んでQ2へ進出しました。
9時50分から7分間で行われたQ2では、#1 野尻が渾身のタイムアタックを決めて今シーズン5回目のポールポジションを獲得。この時点でポールポジションポイント3点を加えてさらに王座へ近づきました。その後方3番手に#65 大湯、5番手に#15 笹原、6番手に#5 牧野がつけました。
#1 野尻を32点差で追う#20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)は予選11番手、34点差の#4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)は17番手に沈み、王座争いでは#1 野尻が圧倒的有利な状況で午後の第9戦決勝レースを迎えることとなりました。
最終コーナーから1コーナーへ向けて風が強まるなか、14時30分に決勝レースが始まりました。スタートで好加速を見せたのは、3番手スタートの#65 大湯、5番手スタートの#15 笹原でした。ポールポジションからスタートした#1 野尻は先頭を守り、#65 大湯、#15 笹原を従えてレースを始めました。ペースのいい#15 笹原は4周目に#65 大湯をオーバーテイクして2番手に上がり、TEAM MUGENがワン・ツー体制を築くと、その後、#65 大湯以下を徐々に引き離し始めました。
2番手の#15 笹原、3番手の#65 大湯は、タイヤ交換義務を消化するための最少周回数である10周を走ってピットイン、タイヤ交換を行ってコースに復帰しました。一方、首位を走る#1 野尻はその次周にピットへ入り#15 笹原の前でコースに復帰したものの、タイヤが温まっている#15 笹原のほうが有利な戦況に。#15 笹原はヘアピンで#1 野尻のインに飛び込み、事実上のトップに立ちました。
#1 野尻とシリーズチャンピオンを争う#20 平川はタイヤ交換を遅らせてステイする戦略を採り、見かけ上のトップを走り続けましたが27周を終えてピットイン、タイヤ交換を行って順位を大きく落としました。この結果、見かけ上も#15 笹原がトップ、2番手に#1 野尻、3番手に#65 大湯と続いてレース終盤を迎えました。
さらに、9番手スタートからハイペースで走り続けてきた#53 佐藤が4番手までポジションを上げていたことで、Honda勢が1-2-3-4体制を築きました。#53 佐藤はさらにレース終了直前の29周目に#65 大湯をオーバーテイクして3番手に順位を上げました。
こうして#15 笹原は今季2勝目となるチェッカーフラッグを受けました。#1 野尻は2位でレースをフィニッシュし、2年連続のシリーズチャンピオンを獲得。またTEAM MUGENが1-2フィニッシュを遂げたことで、TEAM MUGENはチーム部門でもシリーズチャンピオンを決定しました。3位にはルーキーである#53 佐藤が入り、初めての表彰台に上がりました。
●笹原右京 TEAM MUGEN
「とにかく勝ててうれしいのひと言です。今日は、TEAM MUGENの2台で、チームの底力を見せることができたと思います。チームが用意してくれたクルマがすばらしくて、自分が思うように操れる状態でした」
「スタートが決まって、クルマが完ぺきな状況であることが分かったので、あとはいつピットに入るかという状況でしたが、僕はミニマムで行こうと考えました。タイヤのことも考えてペースをコントロールするという選択肢も考えましたが、とにかく速さを出し切りたかったので、今あるモノを出し切ろうと思いきり走りました。前回の優勝は流れにも助けられた面もありましたが、今回は楽しんで鈴鹿を走れました
●野尻智紀 TEAM MUGEN
「金曜日の練習走行では不調で、夜遅くまでチームとミーティングして対策を考えました。僕がホテルに帰ってからもチームはいろいろやってくれたようです。結局ぶっつけ本番で予選を迎えましたが、自分でも珍しいなと思うほど緊張しました。そうした流れの中でもポールポジションを獲れたのは、エンジニアにも力づけられて、開き直れたおかげです。失いかけた流れをまた引き戻せたような気がしました」
「レースでは、最大の目標をチャンピオン獲得に置いて、タイヤを含めレースをマネージメントした面もあって優勝することはできませんでしたが、狙いどおり2年連続でチャンピオンになれました。チームのおかげであるとともに、応援してくれた皆さんのおかげでもあります。目標を達成したので、最後のレース(第10戦)は勝ちに行きます」
■チャンピオン野尻が独走でポール・トゥ・ウイン。大津が2位表彰台登壇
全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ最終戦JAF鈴鹿グランプリが開催された10月30日(日)、鈴鹿サーキットの上空には薄い雲が浮かびましたが秋の太陽がコースに照りつけ、シリーズを締めくくるには絶好のコンディションとなりました。
チャンピオン野尻が独走でポール・トゥ・ウイン。大津が2位表彰台登壇
午前9時5分から行われた公式予選Q1A組では前日に引き続き#5牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がベストタイムを記録。前日の第9戦で優勝した#15 笹原右京(TEAM MUGEN)が2番手、#65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が6番手でQ2に進出しました。
Q1B組では前日の第9戦で2位に入賞し2年連続シリーズチャンピオンとなった#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)がベストタイムを記録。#6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手、ルーキーオブザイヤーを目指す#55 三宅淳詞(TEAM GOH)が5番手でQ2進出を果たしました。
9時40分から7分間で行われたQ2では、#1 野尻が圧倒的なタイムアタックで前日の第9戦に続き今シーズン6回目のポールポジションを獲得しました。3番手に#6 大津、4番手に#15 笹原、8番手に#55 三宅、9番手に#65 大湯、10番手に#65 牧野が続いてスターティンググリッドが決まりました。
決勝レーススタートが近づくにつれ上空の雲は減り快晴となりました。午後2時30分、決勝レースのスタートが切られると、3番グリッドから#6 大津が好加速を見せ、#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)をかわして先頭の#1 野尻に続く2番手で第1コーナーに飛び込みました。さらに#15 笹原も#37 宮田をオーバーテイクして3番手に続きました。ところが、その後方でアクシデントが発生したため、オープニングラップを終える前にセーフティカー(SC)が導入されました。
SCは2周目に退去、3周目からレースが再開しました。この再スタートの際、3番手の#15 笹原はトラブルによって失速し、順位を5番手へ落とす一方、先頭の#1 野尻はオーバーテイクシステムを使って後続の#6 大津を引き離し始めました。#6 大津も後続の#37 宮田との間隔を広げ、Honda/M-TECユーザーはワン・ツー体制をかためました。
#6 大津は11周を終えてタイヤ交換のためのピットに入りましたが、#1 野尻と#37 宮田はタイヤ交換を遅らせる戦略(ステイアウト)を選択。すると、シケインでアクシデントが発生したため13周目にふたたびSCが導入されました。このタイミングで#1 野尻と#37 宮田がピットに飛び込み、それぞれ順位を落とすことなくレースに復帰しました。
18周目にレースが再開されると先頭の#1 野尻はふたたびスパート、周回を重ねるごとに#6 大津との間隔を広げ始め、#6 大津は後続の#37 宮田との間隔を1秒5前後に保って2番手ポジションを守りにかかりました。#1 野尻はその後もペースを緩めることなく走り続け、最終的に#6 大津との間隔を6秒857にまで広げて31周のレースを走り抜きました。
#1 野尻はは前日のシリーズチャンピオン獲得に続き、JAFグランプリを制して最高のシーズンを締めくくりました。また、最終戦の結果、#53 佐藤蓮(TEAM GOH)が2022年のルーキーオブザイヤーに輝きました。
●野尻智紀 TEAM MUGEN
「今回のレースは自分好みのアンダーステア傾向のセッティングで臨みました。タイヤがどこまで保つか分からず、早めに後続を引き離しておく必要があったので序盤からスパートしました。今シーズンは“ポールを獲っても勝てないレース”が続き、チャンピオンを獲るためのレースをしようと自分自身を抑えることもありました」
「そうした積み重ねの結果、昨日のレースでチャンピオンを決められたので、今日は最初から最後まで全開で走ろうと心に決めていました。自分で自分に、どれだけプッシュできるか挑戦するレースでした。個人的にはこれまででベストのレースができたと思っています」
●大津弘樹 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
「レース前のウォームアップ走行でブレーキのタッチがあまりよくなかったので、スターティンググリッド上でエア抜きをしてもらいました。チャンスはスタートと考えていたので、そこに集中した結果、うまくスタートを決められて2番手に上がることができました。その後のレース展開もうまくまとめられたと思います」
「ピットインのタイミングは少し早かったかもしれませんが、うまくやれば野尻選手をかわしてトップに立てると思っていました。今年は新しいチームですばらしい体制を用意してもらったのに、なかなか結果が出せなかったので少し焦りましたが、最後の最後に表彰台に上がって結果を残せてうれしいです。チームに感謝しています
●佐藤蓮 TEAM GOH
「ルーキーオブザイヤーは、チームメートの三宅(淳詞)選手と切磋琢磨して、たまたま僕のほうがポイントで上回った結果ですが、今シーズンは2人とも表彰台に上がれたし、いいことも悪いこともあったとはいえ、ドライビング面で確実に成長できたと実感しています」
「スーパーフォーミュラは、自分が想定していたよりも難しいクルマでした。ちょっとしたミスでポジションが5個も10個も下がってしまうようなハイレベルの戦いの中で、全く気を抜けないレースを経験しました。その中で戦えたのは得がたい経験でした。最低限の目標として表彰台に上がることができましたが、当初の目標は優勝だったので、それについては残念です。でも今後につながるいいシーズンだったと思います」