【浅木泰昭HRC四輪開発部長インタビュー後編】HRCの存在意義はレースでの研究「レース屋だからこそ社会に貢献できることもある」

 量産部門ではEV(電気自動車)へと大きく舵を切ったホンダだが、そんな状況だからこそ「内燃機関屋としてまだまだやることはある」、そして「レース屋だからこそ社会に貢献できることもある」と、HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)四輪レース開発部部長の浅木泰昭は力説する。

 果たしてその流れで、パワーユニット規約の大きく変わる2026年以降に、ホンダのF1への復帰も選択肢としてあり得るのだろうか。多くの要因が絡んでくるだけに、もちろん予測は不可能だ。しかしHRCの四輪開発部門は、どんな状況になっても対応できるだけの準備をしている。浅木の言葉からは、そんな自負が感じられた。

【浅木泰昭HRC四輪開発部長インタビュー前編】新生HRC四輪開発トップが語るF1PU競争。研究所とレース会社の違い

 HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)は、1982年に設立されたホンダのレース専門会社だ。これまでは二輪に特化していたが、2022年の4月から四輪も含めた総合的なモータースポーツ活動、開発組織として生まれ変わった。

 2021年までF1パワーユニット開発の陣頭指揮を取ってきたエンジニアの浅木泰昭は、新生HRCでは四輪開発部門のトップに就任した。ホンダは公にはF1から撤退した。しかし、レッドブルとの協力関係はいっそう緊密になったように見える。

 今季となる2022年シーズンも4戦を残して第18戦日本GPでマックス・フェルスタッペンのドライバーズタイトル連覇を決めたレッドブルは、ホンダへの感謝を真っ先に表明し、日本GPの表彰台に浅木を上げた。その浅木への前後編インタビューとして、まずは今季の戦いぶり、そしてレッドブルとの関係深化について聞いた。