メルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフは、メルセデスのリザーブドライバーを務めるニック・デ・フリースを大いに称賛した。デ・フリースは第16戦イタリアGPでウイリアムズからF1デビューを飾って入賞を達成したのだ。ウォルフは、友人で同僚だった故ニキ・ラウダがいたら、デ・フリースに対しトレードマークの赤いベースボールキャップを脱いで敬意を示しただろうと考えている。
デ・フリースはイタリアGPの土曜の朝に指名を受け、虫垂炎にかかったアレクサンダー・アルボンの代役という難しい仕事を任された。デ・フリースが初めてのF1の週末に向けてウォームアップができたのは、金曜日のフリー走行1回目だけで、しかもそれはアストンマーティンでのことだった。
元FIA F2チャンピオンであり、2021年のフォーミュラEタイトルをメルセデスで獲得した27歳のデ・フリースは、予選でウイリアムズのチームメイトであるニコラス・ラティフィの3つ上の13番手につけた。9人のドライバーがグリッド降格となったため、レースを8番手からスタートしたデ・フリースは、力強くミスのないレースをし、トップ10のなかで引けをとることなく9位という見事な順位でチェッカーフラッグを受けた。
デ・フリースの印象強い初戦をウォルフは心から称賛した。
「彼を気に入っている」とウォルフはモンツァで語った。
「素晴らしい若手だ。ジュニアカテゴリーで見せていたように速いだけではなく、知的で素晴らしいチームプレイヤーだ。だからこそ今日の結果にふさわしい。彼がやったよりも素晴らしい仕事を他の誰かができたとは思わない」
「アストンマーティンで何周か走行したその後、直前になって他のマシンをドライブするために選ばれ、大差をつけてチームメイトに勝った。8番手からスタートして9位でフィニッシュした」
「ニキだったらドライバーとして帽子を脱いで称賛しただろう」
チャンピオンシップリーダーで同じオランダ人のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、イタリアGPの前にグリッド上でデ・フリースにいくつか励ましの言葉をかけたが、彼もデ・フリースのことを褒め称えた。
「僕の前で、彼が10番手を守ろうとバトルをしているのを見たよ」とフェルスタッペンは語った。
「ニックがマシンに乗り込んでこのパフォーマンスを出すことは、決して簡単なことではない。彼は最高の仕事をしたと思う」
「防御する時は冷静さを失わず、ミスをしなかった。彼がポイントを獲得できてとても嬉しく思う。初レースなのだからもちろん素晴らしいことだ」
若手であるデ・フリースは、スキルを披露する突然のチャンスを“就職面接”のようなものだと考えており、2023年のF1グリッドに居場所を確保する役に立つことを期待している。
「走行中はいつでもいい仕事をするよう期待されるものだ」とデ・フリースは述べた。
「そしてF1マシンをドライブするチャンスがあったら、それはいつだってある種の就職面接やオーディションのようなものだ。そうしたチャンスをつかまなければならないが、チャンスは賢明に活用しなければならない。取引は大きすぎたり小さすぎたりすることが多いからね」
「でもレースがうまくいって僕たちの思うとおりになったことに感謝している。いくらかポイントを獲得したし、素晴らしいパフォーマンスだった。誰もそれを僕たちから奪うことはできない」
「将来僕がここにいるか否かにかかわらず、F1での最初の瞬間と誇り高いデビューを振り返ることができる。僕は楽しんだよ」