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 9月11日に行われたWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースのLMP2クラスで2位となったJOTA38号車オレカ07・ギブソンのウィル・スティーブンスは、たとえ「とても短い」ものだったとしてもFCY(フルコースイエロー)が導入されていれば勝てていたという富士戦について、クラスタイトルへ向け歩みを進めることにはなったと評価している。

■序盤に戦略変更。1スティント1周延ばす

 スティーブンスがアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、ロベルト・ゴンザレスとシェアした38号車は、日曜日の6時間レースでLMP2クラスのライバルたちとは異なる戦略を取り、1スティントあたり1周多く周回を稼いで最後のピットストップ時間を短縮しようと試みた。

 通常、LMP2マシンがピットインせずに走りきれる安全圏である残り40分を前にスティーブンスがピットインし、その目標達成に近づいた。

 しかし、スティーブンスは残り4分で給油のために再度ピットインし、WRT31号車のロビン・フラインスにトップを譲り、フラインスはショーン・ゲラエル/ドリス・ファントールとともに表彰台の中央に立った。

 セーフティカーやFCYの介入が一度もないクリーンなレースは、JOTAの戦略プランに影響を与えることとなった。

 スティーブンスは「僕らは燃料を節約して、より長いスティントを走ることにしたんだ」と説明している。

「終盤には全車にスプラッシュの必要があることは分かっていた。だから、僕らはそれをできるだけ短くしようとしていたんだ」

「FCYが必要だった。ものすごく短時間のFCYであっても、成功したと思う。それがレース序盤からの、僕らの戦略的なギャンブルだったんだ」

「燃料を節約して、各スティントで1周多く走るのは簡単なことではないよ。僕らは正しい選択をしたと思うし、もしレースをやり直せるとしても、戦略的になにか違うことをするとは思わないね」

「全体的に見れば良い結果だと思うし、バーレーンに向けたチャンピオンシップ争いのためにも、よかったと思う」

 JOTAはレース序盤の2回のスティントのあとで、1スティント28周の作戦に切り替えた。

 チーム代表のサム・ヒグネットは、短いFCYがあればJOTAに有利になると考えており、WRTのゲラエルが27周のセカンドスティントを行ったのを見て、燃料節約のオプションを選択したと語っている。

 WRTはゲラエルのドライブで最初の1時間をリードしたが、その後、もう1台のJOTA28号車に乗るジョナサン・アバディンに抜かれることになった。

 一方、38号車は2ポジションほど後方に位置し、上位に食い込むために異なる戦略をとることにした。

「僕らは、レースで自分たちがどの位置にいるのかを純粋に見ていた。そしてそれ(1周多い走行)ができれば、誰に対しても大きな差をつけることができると思ったんだ」とスティーブンスは語った。

「レースのある部分まで達してしまえば、他陣営はラップを取り戻すことができないから、僕らと同様の作戦に切り替えることはできないんだ」

「僕らはレースに勝つことができると感じたことを実行し、週末を通してそれを徹底した。僕らはレースに勝つために懸命にプッシュしてきた。優勝すれば、チャンピオンシップにも近づくからね」

 38号車の3人は、28点差でLMP2のランキングを大量リードする結果となった。最終戦バーレーン8時間レースで獲得可能な最大得点は39。これについてスティーブンスは「素晴らしいポジションにいる」と付け加える。最も近くにいるライバルは、ランキング2位はユナイテッド・オートスポーツUSA23号車のオリバー・ジャービス/ジョシュ・ピアソンとなる。

「バーレーンは長いレースで、非常にタフなサーキットで、(すべてが)とても異なるものだ。 僕らは、同じ考え方をもってそこへ向かう」とスティーブンス。

「パフォーマンスが良くて、表彰台を目指して戦うことができれば、他のクルマのポジションを心配する必要はない。僕らは自分たちのやるべきことをするだけだ」

LMP2クラスで2位となったJOTA38号車のウィル・スティーブンス、ロベルト・ゴンザレス、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ
LMP2クラスで2位となったJOTA38号車のウィル・スティーブンス、ロベルト・ゴンザレス、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ