現地時間11月20日、2022年FIA F2の第14戦ヤス・マリーナのフィーチャーレース(決勝レース2)が開催され、ホンダ&レッドブル育成の岩佐歩夢(ダムス)がポール・トウ・ウインで今季2勝目。2位にフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、3位はリアム・ローソン(カーリン)が獲得している。
今回のポール・トウ・ウインについて岩佐は「初優勝を飾ったポール・リカールでのレースとはまったく別物でしたね」と語り始めた。
「たとえば、フェリペ(ドルゴヴィッチ)から大きなプレッシャーを受けていました。見てのとおりペースはあまりくよくなく、かなり苦戦しました。クルマの挙動やバランスは問題なかったのですが、スピードが足りませんでした。このあとデータを見て、このレースから改善できる点を分析する必要があると思います。とはいえレースには勝ったので、これは本当にうれしいです」
終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)については、少しだけ役に立ったという。
「1回目のVSCはリスタートがうまくできたのでよかったのですが、2回目はダメでした。スタートがうまくいかず、フェリペが近づいてきたので(ポジションを守れるかどうか)ギリギリのところでした。セクター3でイエローが出たときは、ちょうどフェリペが隣にいたので僕にとってはいいタイミングだったと思います」
「レース前はもう少しデグラデーションがよくなると思っていたのですが、クルマのバランスに悩んでいて少しオーバーステア気味になっていました。それでもバランスとタイヤをなんとかしようと思っていたのですが、思うようにはいかなくて。ピットインのタイミングは僕が決めたのではなく、エンジニアが僕にリクエストして同意しました。なのでかなり早めにピットインになりました」
予選とは対照的にペースに苦しんだスプリントレース(決勝レース1)では13位フィニッシュとなった岩佐。フィーチャーレース(決勝レース2)に向けて改善を尽くしたという。
「1周のペースはかなりよかったと思いますが、レースでのペースはあまり印象に残っていません。昨日もかなり苦労し、順位を落としてしまいました。今日のレースに向けて改良に集中し、昨日の夜もたくさん作業をしたんです。その結果、いくつかの改善点を見つけることができました。このレースではあらゆることを試してみましたが、実はそれでもまだ充分とは言えません。たぶん、もっとマシンを改善する必要がありますし、自分のドライビングデータもチェックしたいです」
2位表彰台を獲得しMPモータースポーツにチームタイトルをもたらしたドルゴヴィッチだが、開口一番に勝てなかった悔しさを吐露した。
「とても惜しかった、あと1回勝てばFIA F2最多勝になると言われていたからね。けれどそうはならなかったから、(ニック)デ・フリースと同じぐらいになったのかなと思うよ。チームのためにも選手権を優勝で締めくくりたかったけれど、それは叶わなかった。歩夢の後ろではタイヤがヒートアップして、僕は毎周少しでも近づこうとプッシュしていた。DRSに入るために5周ほどプッシュしていたと思うが、なかなか使えなかった。そしてVSCが来て、VSCの後にまた接近して最終セクターでイエローフラッグが振られた。ファイナルラップに1度だけチャンスがあったが、結局は失敗してしまった。彼はよくやったし、チームもとても喜んでいるよ」
「(マシンは)すごく、本当に最高でこれ以上は望めないほどにマシンは素晴らしかった。もう少し早くピットインすべきだったかもしれないが、それでもマシンは素晴らしかった。チームに心から感謝しているんだ。ターン6の進入で接触しそうになったとき、リアに大きなロックアップが発生したのは残念だった。5周はリアタイヤがなく、リアム(ローソンから順位)を守るためにかなりプッシュしなければならなかった。理想的な状態ではなかったけれど、それでもマシンは改善されていったんだ。だから、とてもうれしいよ」
「ここで過ごした3年間は、僕のキャリアの中でもっとも大きな部分を占めていると思う。MPは僕にとって家族のようなもので、彼らと一緒に働くのは本当に楽しかった。来年は別のパドックに移ると思うけど、FIA F2のパドックには何度も顔を出すつもりさ」
3位を獲得したローソンは、素晴らしいシーズンの締めくくりになったとコメントした。
「いい終わり方だね。全体的にかなり不安定なシーズンだったけど、こうやって終われたことはチームにとっても本当にいいことだ。チームランキングの順位はわからないけど、上位には入っていると思う。チームが今年やってきたことは本当に素晴らしかったから、それに報いることができてよかったよ。ただ、それを示すポイントがないのは残念だ。この週末には満足しているし、このような形でシーズンを締めくくることができてうれしいよ」
「(9番手スタートから表彰台を獲得した鍵は)ピットストップだ。スタートで2~3つ順位を上げ、最初の2~3周はトレインのような状態だった。前が詰まってきているのが見えたので、ピットウインドウが開いたらすぐにクリーンエアで走ろうと思った。幸いわいにも順位変動が起きてなかったので、僕はピットアウトしてからいいスペースを確保できた。ピットストップがうまくいって、デニス(ハウガー/プレマ・レーシング)の数センチ前に出ることができた。もし彼の後ろに詰まっていたら本当に損をしていたと思う。間違いなくチームのおかげさ」