10月29日に鈴鹿サーキットで開催された2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦『第21回JAFグランプリ』。決勝後の会見で優勝を飾った笹原右京(TEAM MUGEN)、2位の野尻智紀(TEAM MUGEN)、3位の佐藤蓮(TEAM GOH)、そしてTEAM MUGENの田中洋克監督がレースを振り返った。
■笹原右京(TEAM MUGEN)
決勝 優勝
「本当に率直に嬉しいです。昨日は少しペースを上げることができなくて。予選も上げていく段階で終わってしまったのですけど、決勝に関してはチームが用意してくれたクルマが本当に素晴らしくて、スタートもうまく決まりました。その後も自分が思うように操れるマシンでした。本当にチームの底力のおかげですね」
「(前回の富士での初優勝と今回の優勝との気持ちの違いを尋ねられ)前回はさまざまな要素や流れに助けられた部分もあったので、100%実力で勝ち切ったかと言われると、そうではなかったと思います。ただ、富士に行くまでに本当にいろいろことがあって、すごくプレッシャーもかかる状況だったので、一気に解き放たれた感じでした」
「今回は純粋にこの鈴鹿を楽しんで、全力で走り切るというのと。とにかく結果というよりも、自分の今あるものをすべて出し尽くすことができればいいというのがありました。なので、最後の最後までトップでも諦めずに、プッシュし続けました。チェッカーを受けたときには、『なんかちょっと疲れた』というのが率直な印象でしたね。本当にすべて出し尽くせたというのが今日の感想です」
「(野尻をヘアピンでオーバーテイクした際の状況について)ピットでロスした部分もあったので、とにかく野尻選手がピットアウトしたときにどのくらいのギャップになるのか。それが少しわかりにくかったので、とにかくもう必死にプッシュするしかないと。ダンロップコーナーを立ち上がって、デグナーに行くくらいまでに『ヘアピンで追い越せるかな』という感覚はありました。野尻選手もすごくフェアに戦ってくレました。もちろん、チームタイトルもかかかっているし、野尻選手のドライバーズタイトルもあるので、すごく尊重しながら走りました」
■野尻智紀(TEAM MUGEN)
決勝 2位
「今日に関しては、チャンピオンシップのこともあるので、どれだけ自分がリスクを負うかというところが一番の軸となった部分かなと思います。トップでスタートをきれて、ペースを作っていたのですけど、プッシュしても笹原選手が結構追いついてきたので、『ちょっとこれは厳しいところもあるな』と。特にピットイン後は(タイヤが)低内圧で、そのままプッシュしてしまうと、鈴鹿はタイヤを壊す選手が多かったと思うので、無理をせず、きちんと状況が整うまで、プッシュしなかったというところもありました」
「とはいえ、チャンピオンシップを獲れたのは非常に嬉しいところで、それはまた違う会見(30日に実施予定のチャンピオン会見)でお話させてもらおうと思います。ただ、レースについては負けてしまったので。最近勝てないレースが続いて、勝ち方を忘れてるところがあるので、明日のレースに関しては、来年に向けてしっかりと勝ち方を思い出させて、また来年いいかたちで臨めるように、優勝だけを狙って戦いたいなと思います」
「(笹原の翌周にピットに入った判断について)元々戦略としてレース前に考えていたものは、右京選手はミニマムで入る方向の戦略で。僕は他の選手の動向を見ながらというところだったので、どちらかと言えば右京選手が10周目に入りたいのだったら、そこで入ってくださいというかたちでエンジニアたちが決めました」
「僕は大湯(都史樹/TCS NAKAJIMA RACING)選手だったり、あと平川(亮/carenex IMPUL)選手やサッシャ(フェネストラズ/KONDO RACING)選手がスタート後にもっと前の方に来ていたりしたら、(大湯以外の)違う選手をマークしなければいけなかったかなというところだったのですが、スタートしてもあまり彼らの順位がそこまでは変わらなかったので、あそこは純粋に大湯選手に対してどうかというところでしたね。途中で僕が10周目に入ると言ってもバタつくだけなので、そこは予定通りに右京選手が10周目に入って。すると大湯選手も同じタイミングだったので、僕は翌周というかたちで対応したというところですね」
■田中洋克監督(TEAM MUGEN)
「嬉しいの一言です。ワンツーを獲りたいとはどのチームも当然思っていて、そういう価値を狙って皆さん戦ってるわけですけど、とてつもなく難しいことです。ドライバーズチャンピオンとチームタイトルをワンツーで決めるというのは、なによりも嬉しいですね。サポートしていただいた多くの皆さんに感謝するしかなくて……言葉にできないほど嬉しいです。本当にありがとうございます」
「今日は右京が今季2勝目を挙げることができました。前回(の優勝)はセーフティーカーのタイミングもあったなか、運も味方につけて勝ったのですけど。今日に関しては本当にもう“ガチ”で。自分のスピード、自分のテクニック、そしてクルマで、タイミング等々に関係なく勝てたので、本当によかったなと思います」
「右京は今まで運がなく予選でいいポジションが取れなくて。ただ、すごくいいレースを続けてきたと思います。予選さえある程度前に行ければ勝てるというようなクルマ、そしてドライバーではありましたので、ようやくここで。チャンピオンの野尻を抜いて(笑)、優勝できたことは本当によかったと思います」
「戦略的にも、当然野尻と被らないようにとチーム内で話はしていました。あと野尻のチャンピオンがかかったレースという部分で、オーダーを出すか出さないかはチームでも議論をしたのですけども、基本はもう自由に戦うと。野尻は十分にマージンがあると思っていましたので、自分たちのレースをそれぞれ戦ってくれとお願いをして戦いました。結果的に本当にいいレースができよかったです」
「昨日の占有走行では本当にクルマが速くなくて。チームのエンジニアも最終戦に向けてふたりともポール・トゥ・ウインを狙ってクルマを作ってきたのですけど、なかなか狙い通りいかないとのはスーパーフォーミュラの難しいところです。ハマってしまい、さらには(占有走行の)時間の中では修正できずに終わってしまい、本当に不安でしかなかったです」
「ただ、昨日の夜9時、10時くらいまでドライバーもエンジニアも残って。そこまでドライバーが(サーキットに)残ることもないのですけども、本当にどうするのかを悩んで分析した結果、うまくいきました。野尻も右京も、今日の予選が始まる前までは、不安な顔でしかなかったのですけど、予選が始まって、ふたりともQ1を突破したところでようやく一息つけたというか、安心したというか。そこからQ2に向けてまたセットアップを変えて、ポジションを上げることができたというのは本当によかったですし、彼らを信じてよかったなと思いました」
■佐藤蓮(TEAM GOH)
決勝 3位
「前日の占有走行では、少しハマっているところがあって。そこを夜遅くまでチームが分析してくれて、予選で大幅に改善することができました。決勝ではさらに、いいクルマを作っていただけたので、レース中もずっと良いペースで走れて、オーバーテイクして、この順位に来ることができました」
「初表彰台として嬉しいものではありますが、明日に向けてさらに期待を持てるように、今夜はさらに予選を改善できるように分析して備えたいと思います」
「(19周にピットに入り、そこからポジションを上げたことについて)宮田選手がピットに一番最後に入ったと思うのですけど、僕自身、走っていてこれ以上ペース上がらないと判断して。チームからもそこでボックス(ピットイン)という判断をもらって。残り周回数も10周くらいしかないなか、フルプッシュの指示があって。プッシュ中はかなりいいペースで走ることができたので、そこは決勝に向けて変えたものがうまくいったのかなと」
「あと、一番大きな要因としてはアウトラップのペースが非常に良くて、S字コーナーの段階でもうウォームアップできていました。それはスタートしてからもそうだったのですけど、そこが順位を上げることができたファクターだったかなと思います」