【浅木泰昭HRC四輪開発部長インタビュー後編】HRCの存在意義はレースでの研究「レース屋だからこそ社会に貢献できることもある」

 量産部門ではEV(電気自動車)へと大きく舵を切ったホンダだが、そんな状況だからこそ「内燃機関屋としてまだまだやることはある」、そして「レース屋だからこそ社会に貢献できることもある」と、HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)四輪レース開発部部長の浅木泰昭は力説する。

 果たしてその流れで、パワーユニット規約の大きく変わる2026年以降に、ホンダのF1への復帰も選択肢としてあり得るのだろうか。多くの要因が絡んでくるだけに、もちろん予測は不可能だ。しかしHRCの四輪開発部門は、どんな状況になっても対応できるだけの準備をしている。浅木の言葉からは、そんな自負が感じられた。

F1メキシコGP金曜FP1:ローソンが角田裕毅に代わり出場へ。デ・フリースはメルセデスで最後の走行

 スクーデリア・アルファタウリは、F1第20戦メキシコGPの金曜フリー走行1に、レッドブルジュニアドライバーのリアム・ローソンを起用することを明らかにした。若手ドライバーのFP1起用レギュレーションにより、ローソンは角田裕毅のマシンで走行する。

 レッドブルのリザーブドライバーを務め、現在FIA F2に参戦するローソンは、2021年12月のアブダビ・ヤングドライバーテストにアルファタウリから参加した後、今年のベルギーGPでは同チームでピエール・ガスリーのマシンに乗り、FP1デビューを果たした。

【浅木泰昭HRC四輪開発部長インタビュー前編】新生HRC四輪開発トップが語るF1PU競争。研究所とレース会社の違い

 HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)は、1982年に設立されたホンダのレース専門会社だ。これまでは二輪に特化していたが、2022年の4月から四輪も含めた総合的なモータースポーツ活動、開発組織として生まれ変わった。

 2021年までF1パワーユニット開発の陣頭指揮を取ってきたエンジニアの浅木泰昭は、新生HRCでは四輪開発部門のトップに就任した。ホンダは公にはF1から撤退した。しかし、レッドブルとの協力関係はいっそう緊密になったように見える。

 今季となる2022年シーズンも4戦を残して第18戦日本GPでマックス・フェルスタッペンのドライバーズタイトル連覇を決めたレッドブルは、ホンダへの感謝を真っ先に表明し、日本GPの表彰台に浅木を上げた。その浅木への前後編インタビューとして、まずは今季の戦いぶり、そしてレッドブルとの関係深化について聞いた。

ガスリー、ふたつのペナルティで入賞のチャンスを逃がす。ペナルティポイントは出場停止まであと3点/F1第19戦

 2022年F1アメリカGP決勝で、スクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリーは13位完走という結果だった。ガスリーはファーストスティントはポイント圏内を走っていたが、ふたつのペナルティにより入賞のチャンスを逃した。

 まず、セーフティカーピリオドに、前のマシンとの距離が10車身を大幅に上回ったとして、5秒のタイムペナルティとペナルティポイント2を科された。

【角田裕毅F1第19戦密着】「少しでも恩返しをしようという思いだった」オーダーにも冷静に対応、13戦ぶりの入賞を掴む

 F1第6戦スペインGP以来、13戦ぶりにポイントを獲得した。レース後、角田裕毅(アルファタウリ)は56周を戦い抜いた疲労感を心地よさそうに感じてメディアの取材に応対していた。

「やっと(ポイントが)獲れて、よかったです。特に昨日(ディートリッヒ・)マテシッツさんが亡くなったので、少しでも恩返ししようと思っていたので、それができてよかったです」

ガスリー「ブレーキに苦しみ、Q3に届かなかった。ポテンシャルがあっただけに悔しい」:アルファタウリ/F1第19戦予選

 2022年F1アメリカGPの土曜予選で、スクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリーは13番手だった。他のドライバーたちのグリッドペナルティにより、ガスリーは11番グリッドからスタートする予定。

■ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ)
FP3 10番手(1分37秒290:ソフトタイヤ/18周)
予選 13番手(Q1=9番手1分36秒577:ソフトタイヤ/Q2=13番手1分36秒740:ソフトタイヤ)
土曜時点の暫定グリッド:11番グリッド

【角田裕毅F1第19戦密着】FP3でもマシンと格闘。Q3にはわずかに届かずも「いまのクルマの能力はすべて出し切れた」

 F1第19戦アメリカGPの初日のフリー走行を終えて、指定された時刻にアルファタウリのガレージ裏へ行くと、ピエール・ガスリーが予定よりも早くテレビ取材を開始していた。

 この日のフリー走行2回目はピレリの2023年用タイヤのテストが行われるため、通常より30分長い90分間で実施された。しかし、各ドライバーに与えられた2セットの2023年用タイヤは、1セットにつき13周しか走行が許されていないため、26周を走行したドライバーはその時点でセッションが終了となる。

角田裕毅「Q3に進める速さがなく悔しい」順調に進めてきたはずのセットアップが予選で効果を見せず/F1第19戦

 2022年F1アメリカGPの土曜予選で、スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅は15番手でQ2敗退となった。Q2最後のアタックラップで1分36秒439を記録したが、このラップはターン9でのトラックリミット違反により抹消、1分37秒147で予選15番手となった。抹消されたタイムは予選13番手に当たるものだった。

 角田は予選中にピットレーン速度違反(10.3km/h超過)を犯し、チームに1000ユーロ(約14万円)の罰金が科された。

ガスリー「アメリカでは苦労することを覚悟していたが、マシンの感触が最初からいい」:アルファタウリ/F1第19戦金曜

 2022年F1アメリカGPの金曜、スクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリーはフリー走行1=8番手/2=9番手だった。

■ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ)
フリー走行1=8番手(1分37秒810:ソフトタイヤ/24周)/2=9番手(1分39秒840:2023年用プロトタイプタイヤ/26周)

【角田裕毅F1第19戦密着】丁寧なメディア対応で見えた成長。2023年は「リーダーシップをとれるようなドライバーに」

 F1シンガポールGP後に新型コロナウイルスに感染したため、筆者は日本GPを欠席した。国際自動車連盟(FIA)の新型コロナのルールにより、陽性になった場合は週末にサーキットに入ることができないため、この『角田裕毅密着』と『レッドブル&HRC密着』の執筆担当はお休みとなった。急きょ代役として担当していただいた吉田知弘さんと柴田久仁夫さんには、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 欠席はしたが、じつは日本GPを取材するために鈴鹿には行っていた。またアルファタウリの広報や取材仲間たちが、角田裕毅(アルファタウリ)の音声データを送ってくれたので、日本GPで角田がどんな戦いをしていたのかはその音声データを通して伺い知ることができた。