予選2列目獲得のミケル・アズコナが初王座。決勝はジル・マグナスが“最後の勝者”に/WTCR最終戦

 バーレーンに続くシリーズ初の中東連戦であり、2018年から創設されたWTCR世界ツーリングカー・カップの歴史に幕を降ろす“真のフィナーレ”でもある2022年第9戦が、11月25~27日にサウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ市街地サーキットで開催され、予選でQ2突破を決めたBRCヒョンデN スクアドラ・コルセのミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)が、ライバルの脱落もあり自身初のワールドチャンピオンを獲得した。

 決勝はアウディ陣営のコムトゥユー・レーシングが席巻し、レース1はナサニエル・ベルトン(コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、レース2はジル・マグナス(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が制覇し、マグナスはWTCR“最後の勝者”の称号を得て、シリーズは5年間の波乱と蓄積に終止符を打った。

中東初開催イベントはアズコナ&ミケリスの“ヒョンデ・デュオ”が1-2含む週末完全制覇/WTCR第8戦

 8月以来、約4カ月ぶりの再開となった2022年WTCR世界ツーリングカー・カップ第8戦が、11月10~12日に初開催の地である中東のバーレーン・インターナショナル・サーキットで争われ、酷暑のナイトレースでBRCヒョンデN・スクアドラ・コルセのミケル・アズコナと僚友ノルベルト・ミケリスが躍動。レース1では選手権首位のアズコナが予選ポールポジションからミケリスを従え“ライト・トゥ・フラッグ”での1-2フィニッシュを達成し、続くレース2でも2019年王者ミケリスが復活の今季初優勝を飾るなど、ヒョンデ・エラントラN TCRがライバルを圧倒する速さを見せた。

週末を支配したマグナスが無念のストップ。金メダルはオランダ代表コロネルの手に/FIA MSGs

 フランス、ポール・リカールで10月26~30日に開催された第2回『FIAモータースポーツ・ゲームス』のうち、世界的に展開されるTCR規定車両を採用した“ツーリングカー・カップ”の競技は、公式練習からグリッド予選、そして予選レースまで全セッションを制圧する勢いを見せたベルギー代表のジル・マグナス(アウディRS3 LMS 2)が、最終メインレースでまさかの事態に。

 30分ヒートのオープニングラップを終え、メインストレートに戻ったところで彼のアウディは力尽き、その横を駆け抜けていった僚友トム・コロネル(アウディRS3 LMS 2)が母国オランダに金メダルをもたらした。

コロネル、バックマン兄、17歳の新鋭モンテネグロも参戦。各国TCR代表が続々確定/FIA MSGs

 2019年にイタリアはバレルンガでの初開催を終えて以降、度重なる延期や大会中止でようやく2度目の開催に漕ぎ着けた“モータースポーツ界のオリンピック”こと第2回『FIAモータースポーツ・ゲームス』に向け、TCR規定を採用したツーリングカー・カップに参戦する各国代表ドライバーが続々と確定。オランダからはトム・コロネル、北欧からはバックマン兄妹の長兄であるアンドレアス、そして南米アルゼンチンからは17歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロらが名を連ね、すでにエントリーは2桁台に到達している。

 今季10月26~30日の日程にてフランス、ポール・リカールで開催される同イベントは、スポーツの祭典オリンピックの要素を導入するカテゴリー横断型の国別対抗戦となり、このTCR規定ツーリングカーに加えてGT3規定を採用したGTとそのスプリント部門や、ラリー競技ではラリー4、ラリー2規定にクラシック部門も設定。FIA-F4のフォーミュラやレーシングカートにオートスラローム、ドリフトやバギーを採用したクロスカー、さらに『アセットコルサ・コンペティツィオーネ』を用いたファナテック・Eスポーツ・カップも開催される。

フランコ・ジロラミが予選で初戴冠も強豪チーム間で“情報盗難”告発の泥試合に/TCRヨーロッパ最終戦

 全7戦のシーズンフィナーレとして、10月14~15日にスペイン・バルセロナで開催された2022年TCRヨーロッパ・シリーズ最終戦は、週末にわずか7点を獲得するだけで初チャンピオンが確定する圧倒的優位を築いて乗り込んだフランコ・ジロラミ(コムトゥユーPSSチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、予選で4番手グリッドを確保し、今季最後の2ヒートを残して早々にシリーズタイトルを確定する展開に。

 その一方、ジロラミの所属するアウディスポーツトップカスタマーのコムトゥユー・レーシングに対し、同じくヒョンデ・モータースポーツの強豪チームとして参戦するターゲット・コンペティションが、日曜に「知的財産の盗難」を告発する非難の声明をリリース。これにチャンピオンチームが「断固否定」の態度で応じるなど、スキャンダル勃発の泥試合と化す後味の悪い状況に陥った。

SLRのジョン・フィリピが雨の高速戦で勝利。ネストール・ジロラミも初戴冠に王手/TCRヨーロッパ第6戦

 9月23~25日にイタリア伝統の高速トラック、モンツァで開催された2022年TCRヨーロッパ・シリーズ第6戦は、雨絡みの予選で自身約2年ぶりのポールポジションを獲得したジョン・フィリピ(セバスチャン・ローブ・レーシング/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が、続くレース1でも一時ポジションを奪われながらも逆襲に転じ、難コンディションのなかポール・トゥ・ウインを達成。リバースグリッドのレース2は、選手権リーダーのフランコ・ジロラミ(コムトゥユーPSSチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が制し、最終戦を前にしてタイトルに王手を掛けている。