「グッドスマイルの1勝は素晴らしい」メルセデスAMG首脳に聞く2022年総括と次期GT3車両、そしてル・マン参戦

 11月19〜20日に行われたマカオGTカップでは予選レース、メインレースともにメルセデスAMG GT3が優勝するなど、世界のGT3レースシーンで常にトップを走り続け、数多くの勝利を挙げるメルセデスAMG。現行GT3車両であるメルセデスAMG GT3 Evoのホモロゲーション期限も迫るなか、2024年にはWEC世界耐久選手権/ル・マン24時間がGT3車両に対して門戸を開くタイミングを迎える。

 そんなメルセデスAMGを取り巻く環境のいまと将来について、カスタマーレーシングを率いるシュテファン・ヴェンデル代表に聞いた。

■日本人のワークスドライバー誕生も願う

2024年に登場予定、アルピーヌLMDhの開発が加速。要因に“先行する”アキュラの存在

 アルピーヌ・レーシングのエグゼクティブディレクターであるブルーノ・ファミンは、オレカとシャーシ提携を結んでいるアキュラが来年1月の新型プロトタイプのデビューに近づくにつれ、ルノーブランドの2024年型LMDh車の開発が「加速している」と語った。

 アキュラがIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023年開幕戦である『デイトナ24時間レース』に間に合うよう、LMDhのホモロゲーション取得を支援したオレカの仕事と、フェラーリ296 GT3の組み立てやヘッドクォーターの拡張は、フランスのシャシーコンストラクターが今年いくつかのタスクを優先するように促した。

未だ見えぬ新・GT3クラス像。“プレミアムキット”は見送り?「さまざまな選択肢がある」とFIA&WEC

 FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブは、2024年のWEC世界耐久選手権から採用されるGT3ベースの新カテゴリーについて、計画されていた“プレミアムキット”の採用がコスト面の理由から取りやめになるとの噂も囁かれるなか、「複数の選択肢が残されている」と述べた。

フェラーリからランボルギーニへの移行に“空白の一年”。アイアン・リンクス、ポルシェでのWEC参戦を検討?

 ランボルギーニとパートナーシップを結び、2024年からWEC世界耐久選手権およびIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で公式オペレーティングチームとしてランボルギーニLMDh車両を走らせることになったイタリアのアイアン・リンクス。

 彼らはGT3プログラムにおいても2023年からランボルギーニのウラカンGT3 EVO2へと車両を切り替えることを明らかにしているが、ここで問題となるのが2023年のWECプログラムだ。

ランボルギーニがアイアン・リンクスと提携。LMDhの公式運営チームとして2024年WEC&IMSAに参戦へ

 ランボルギーニは11月5日、2024年から始まるWEC世界耐久選手権およびIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権におけるLMDhプログラムで、アイアン・リンクスが公式運営チームとなることを発表した。

 アイアン・リンクスはこれまで、フェラーリとともにWEC、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、ファナテックGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSなどのGTレースを戦ってきており、2021年のスパ24時間レースでは優勝も果たしているが、トップレベルのスポーツカーレースへのデビューにおいては、新たなマニュファクチャラーと手を組むこととなった。

盛況の陰で居場所と“優秀なプロ”を失うジェントルマン。2023年は「100%、WECから離れる」

 WEC世界耐久選手権のLMP2プロ/アマクラスに参戦するジェントルマンドライバー、フランソワ・ペロードは、2022年限りでWECから撤退し、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズへと活躍の場を移すことを明言した。

 LMGTEアマクラスで3度チャンピオンに輝き、今季LMP2へと復帰したペロードはこれまでWECとELMSに参戦していたが、来季からELMSへと集中するという。これは、WECのLMP2プロ/アマクラスが廃止されるとの予想に基づき、先回りした決断だ。

ハイパーカー&GT3盛況の余波でLMP2が消滅? クラス間のバランスに悩むWEC

 WEC世界耐久選手権のフレデリック・ルキアンCEOは、LMP2クラスが2023シーズン終了以降に段階的に廃止されるという兆候が漂うなか、2024年のグリッドについては「バランスを検討する」必要がある、と述べた。

 トップカテゴリーであるハイパーカークラスへのエントリー数が増加すること、そして来季をもってLMGTE(アマクラス)が終了、2024年以降はGT3車両を用いたクラスへの高い関心が予想されることから、LMP2車両の活躍の場に影響が及ぶ可能性がある。

 ルキアンは、LMP2がル・マン24時間レースのグリッドには長期的に存在することは認めたが、それ以外のWECのラウンドでLMP2が除外されるかどうかについては明言を避けている。

コルベット新型GT3、カスタマー供給は北米チームから。欧州他への全面展開は2024年末以降に

 GMスポーツカーレーシング・プログラムマネージャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーによると、シボレーは、2024年のデイトナ24時間でレースデビューを予定している『シボレー・コルベットZ06 GT3.R』について、まずは自国アメリカのカスタマーに焦点を当て、ヨーロッパやその他地域への完全展開は2024年末か2025年初めになることを想定しているという。

 コルベット・レーシングを運営するプラット&ミラー社製の新型GT3マシンは、先日ミド・オハイオで初のサーキットテストを終えた。この新型コルベットGT3は、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とファナテック・GTワールドチャレンジ・アメリカ・パワード・バイ・AWSにおいて最初の存在感を示すように設定され、その後ほかの地域やシリーズを追加する予定となっている。

WEC、2024年は年間8戦に拡大予定。新規開催地は「さまざまな選択肢がある」

 新型コロナウイルスのパンデミックが収束傾向にあることから、2023年は現状から1レース増となる7戦を行うWEC世界耐久選手権。シリーズは2024年、さらにレース数を増やして8ラウンドを開催する予定だという。

 WECのCEOを務めるフレデリック・ルキアンは、2024年の追加開催地については「さまざまな選択肢がテーブルの上にある」と述べている。

新型フォード・マスタングGT3、2023年WEC開幕戦『スーパー・セブリング』で正式発表へ

 フォードが開発を進めている新型マスタングGT3は、2023年3月にアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権のジョイントイベント、通称“スーパー・セブリング”で正式発表されることが分かった。