前半戦だけ“超過密”。いびつな日程の2023年に備えるチーム&ドライバー「いつも富士が問題」との声も

 2023年、WEC世界耐久選手権は既報のとおり1イベント増となる全7戦のレースを行う。ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズなど、多くのドライバーや関係者がエントリーする他シリーズとの関係などから、特にシーズン前半の日程が非常に過密になってくるなか、これまでにない準備を強いられているチームもあるようだ。

16歳のジョシュ・ピアソン、ギド・バン・デル・ガルデとともにTDSレーシングからIMSAの耐久戦出場へ

 フランス籍のTDSレーシングは、チームとして初のフル参戦となる2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権LMP2クラスにおいて、ギド・バン・デル・ガルデとジョシュ・ピアソンをドライバーに起用することを明らかにした。

オリバー・ジャービス離脱の王者MSR、アキュラARX-06のドライバーにコリン・ブラウンを起用/IMSA

 2022年にIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のDPiクラスを制したメイヤー・シャンク・レーシング(MSR)は、新型LMDh車両『アキュラARX-06』を新たな最高峰クラスであるGTPへと投入する2023年のレギュラードライバーとして、コリン・ブラウンを起用すると発表した。

ABS付きで“政治が絡む”GT3に興味なし。トップアマのベン・キーティング、2023年でWEC参戦は終了へ

 2022年のWEC世界耐久選手権LMGTEアマクラス王者となったベン・キーティングは、新たにシボレー・コルベットC8.Rを走らせることになる2023年シーズンが、WECフル参戦最後の年になる見込みであることを明らかにした。

ポルシェ963のデイトナ参戦はワークス車のみの公算大。カスタマーカーの用意は「非常に難しい」

 2023年から新しいLMDhカーをWEC世界耐久選手権と、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両方で走らせるポルシェは、できるだけ早期に『ポルシェ963』のカスタマーカーを顧客の手に渡そうと「プッシュしている」という。しかし、ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハは、これらの新型マシンがデイトナ24時間に間に合う可能性を基本的に否定している。

 来年のWECハイパーカークラスと、IMSAのDPiクラスに取って代わるGTPクラスに向けて、計4台のポルシェ963を顧客に割り当てているドイツのメーカーは、プライベーターチームがクルマを受け取る時期を確定させていない。

992型ポルシェ911 GT3 Rが、GTDプロ初代王者パフ・モータースポーツに到着/IMSA

 2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTDプロクラスチャンピオンとなったパフ・モータースポーツは11月14日、来シーズンのシリーズに投入する“ニューウェポン”である新型ポルシェ911 GT3 Rがデリバリーされたと発表した。

 カナダ・オンタリオ州の州都であるトロントに拠点を置くパフ・モータースポーツは、来年1月にアメリカ・フロリダ州で開催されるウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースでのカスタマーデビューに先立ち、北米における“タイプ992”新型911 GT3 Rのデリバリーを受けた最初のチームのひとつとなった。

最後のふたりはマコウィッキとタンディ。ポルシェ963の10名のワークスドライバーが確定

 11月14日、ポルシェは2023年のLMDhワークスチームのドライバーとして、ニック・タンディとフレデリック・マコウィッキを起用すると発表した。

 2023年、ポルシェはファクトリーチームの『ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ』として、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスと、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスに、それぞれ2台の新型LMDh車両『ポルシェ963』を投入する。

 通常、WECでは3名体制、IMSAでは長距離戦を除き2名体制となることから、4台のワークス963に対して10名のドライバーが必要となるが、すでに発表されていた8名に、新たにタンディとマコウィッキの名前が加えられることとなった。

プロトン・コンペティション、ポルシェ963のカスタマーとしてWEC&IMSAへの同時参戦を計画。問題は“納期”

 チームオーナーのクリスチャン・リードによれば、プロトン・コンペティションは2023年、新型LMDh車両の『ポルシェ963』でWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の同時並行プログラムを計画しており、現在複数のシナリオが用意されているという。

アイアン・リンクス、GTもランボルギーニに鞍替え。ウラカンGT3 EVO2で2023年からIMSAとGTWCに参戦

 現在フェラーリの車両でGTレースを戦っているアイアン・リンクスが、来季からランボルギーニのファクトリーサポートを受けてGT3レースに挑むことが発表された。IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のミシュラン・エンデュランス・カップと、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSに参戦する。

 11月5日にポルティマオで開催されたランボルギーニ・グランド・ファイナルズで発表されたとおり、2024年から参戦が始まるLMDhプログラムにおいて、ランボルギーニはアイアン・リンクスと提携することになった。

 だが、両者のコラボレーションはひと足早く2023年のGTカテゴリーで始まり、アイアン・リンクスはIMSA開幕戦のデイトナ24時間にランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2を3台投入、そのうちの1台は女性ドライバーラインアップの“アイアン・デイムズ”として参戦する予定だ。

WEC&IMSA参戦予定のキャデラック、セブリングで新型LMDhの24時間耐久テストを実施

 キャデラックV-LMDhで2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスと、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するチップ・ガナッシ・レーシングは、来年1月にデビューする新型プロトタイプカーの24時間耐久テストを完了させた。

 このテストの会場となったのはアメリカ、フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイ。チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)は、1台のキャデラックと6人のドライバーでセブリング12時間レース2回分に相当するシミュレーションを実施した。