トヨタ、2023年の全日本ラリーに2種類の開発車両を投入。TGRラリーチャレンジは11戦開催へ

 11月18日、TOYOTA GAZOO Racingは2023年のラリー体制を発表し、既報のとおりWRC世界ラリー選手権を戦うTOYOTA GAZOO Racing WRTでは、日本人WRCドライバー勝田貴元のワークスチーム昇格がアナウンスされた。

 また、勝田に続く日本人WRCドライバーを育成するTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムが2023年も展開されることが発表され、今シーズンに引き続き、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀の3名が“武者修行”の地であるフィンランドを拠点に、ヨーロッパの地方選手権ラリーを中心に挑戦していくことが決定。使用する車両はラリー4カーとなる。

愛知出身の勝田貴元が地元開催のラリージャパンで3位フィニッシュ「何とか乗り切ることができました」

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加し、WRC世界ラリー選手権にフル参戦している勝田貴元が、11月10日(木)から13日(日)にかけて愛知県と岐阜県で開催されたWRC第13戦『ラリージャパン』に出場。お馴染みのアーロン・ジョンストンとのペアでトヨタGRヤリス・ラリー1を駆り、2022年シーズン2度目となる総合3位表彰台を獲得した。

 愛知県出身の勝田にとって、2010年大会以来12年ぶりの開催となった『ラリージャパン』は、初のWRC母国ラウンドであり“ホームラリー”でもあった。とはいえ、以前の北海道大会と打って変わってターマック(舗装路)イベントとなった今大会については、勝田も他の選手と同様に初出場であり、アドバンテージはほとんどない状態でラリーを開始することとなった。

【いざ、ラリージャパン2022】注目の参戦ドライバー紹介/Vol.3『勝田貴元』

 いよいよ日本に帰ってくる、ラリージャパン。WRC世界ラリー選手権『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』が、11月10~13日にシーズン最終戦として愛知県と岐阜県を舞台に開催される。北海道での開催以来、実に12年ぶりのカムバックとなる日本での世界選手権を楽しみ尽くすべく、ここではエントリーリストに名を連ねる有力参戦ドライバーや、今季より導入の最高峰“ラリー1”クラスの最新ハイブリッド車両の成り立ちや個性を紹介する。その第3回は、地元名古屋の名門ラリーショップを生家としながら、まずはレーシングカート、そしてミドルフォーミュラで頭角を現したのち、TOYOTA GAZOO Racingのスカラシップに挑戦すると、瞬く間に世界選手権まで駆け上がった日本期待のWRCドライバー【勝田貴元】にスポットを当てる。

 国内ラリー界で“勝田”と聞けば、瞬間的にLUCK(ラック)を思い浮かべるほど。勝田貴元は祖父で創業者でもある照夫氏、そして父で現役ラリーストの範彦氏(全日本ラリー9冠)というサラブレッド一家の3代目として生まれた。そんな家業を横目で眺めつつ、自身は幼い頃から自転車競技のBMXに熱中していたという。

TGR WRCチャレンジプログラム2期生、今季最後のラリーは厳しい結果に。完走は大竹のみ

 10月28~29日、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生である大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀の3名は、2022年のプログラムの最終戦としてフランスのターマック(舗装路)ラリー『クリテリウム・デ・セヴェンヌ』に参戦した。結果は大竹がラリー4クラス14位で完走。小暮と山本はリタイアとなった。

 ラリーの本場であるヨーロッパで修行中の3名にとって、今回のラリーは欧州ラリー6戦目。ターマックでのイベントは9月に出場したイタリアの『ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ』以来、2度目の挑戦となった。

勝田貴元、WRCニュージーランドで今季初のリタイア「プッシュ中、直前のコーナーを攻めすぎた」

 9月29日から10月2日にかけて、WRC世界ラリー選手権第11戦『ラリー・ニュージーランド(ラリーNZ)』が開催された。2022年シーズン最後のグラベル(未舗装路)ラリーとなった同イベントにTOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから参戦した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、デイ3午後のステージでコースオフ。マシンを壊してしまい今季初めてリタイアを喫した。

 2012年以来、10年ぶりにWRCイベントとして開催されたラリー・ニュージーランドは、勝田を含む多くの選手たちにとって初めて出場するイベントだった。経験がものをいうラリーという競技においては通常、初めて挑むイベントは難しいものとなるが、この週末に断続的に降り続いた雨はコンディションをより難しいものとした。

トヨタ勢最上位も「納得いかない週末」と勝田貴元。ミスとトラブル、チームの不振も重なったWRCギリシャ

 WRC世界ラリー選手権に唯一フル参戦している日本人ドライバーの勝田貴元。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから、9月8~11日にギリシャで開催されたシーズン第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』に参戦し、総合6位でフィニッシュした彼はイベント後の合同オンライン取材会において、「ミスもあり全然納得のいくような週末ではありませんでした」と今戦を振りかえった。

 初参戦となったギリシャのグラベル(未舗装路)イベントで、トヨタ勢最上位となる総合6位入賞を果たし、開幕戦から続く完走記録を「10」に伸ばした勝田だが、取材時の声のトーンは低く、明らかに満足のいくラリーではなかったことが窺えた。

TGR WRCチャレンジプログラム2期生がイタリアのターマックラリーに参戦。3台揃って完走果たす

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀の3名が9月9~10日、イタリア北部で開催された『ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ』に参戦し、全員がラリーを完走した。

 3選手が出場したラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァは、イタリア・ターマックラリー選手権の一戦。イタリア北部に位置するトレンティーノの山岳部を舞台に、9日(金)と10日(土)の2日間に計5本SSで争われた。SSの合計距離は92.29kmだ。